12月12日(火)Evaは、東京地方裁判所第429号法廷で開催された、刑事第15部、大矢誠の猫13匹虐待事件の判決を傍聴してきました。
東京地方裁判所の玄関脇には、初公判の日よりやや少ない200名ほどが並び、抽選を待ちました。
理事長杉本はじめ、Evaスタッフ全員が前回同様抽選から外れましたが、傍聴券を手に入れた方々が口々に「こちらをお使いください。」と譲ってくださり、杉本、Eva事務局も傍聴する事ができました。お譲りくださった皆さま、本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
以下、判決の傍聴記録です。
主文
1 被告人を懲役1年10月に処する。
2 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。
被告人は、28年3月26日から29年4月17日まで、深谷市内で猫を捕獲して捕獲器に閉じ込め熱湯をかけるなどして9件の殺害と4匹の傷害を負わせた。
被告人は、捕獲器で猫を捕獲しバーナーで焼き熱湯をかけたり、パイプのロープに吊るした猫に熱湯をかけるなど、誠に残虐性なもので常習的犯行である。
被告人は、多くの猫の命を奪い、凄惨な映像を流し人々の心に傷を負わせた。これにより裁判所には、非常に多くの厳罰を求める嘆願書が寄せられた。本件が社会に与えた影響は大きい。
被告人は、猫に手を噛まれ、仕事に支障をきたしたという猫への悪感情から感化され、駆除行為として猫を殺したが、駆除とは言えない残虐なやり方で犯行を繰り返すうち、虐待行為自体に楽しみを覚え、ネットで公開することが目的化していた。
動画の残虐さを比較するため、ネットで煽られたためとし、虐待した様子を撮影した動画をインターネット上で公開する行為は、犯行を正当化する余地はなく動物愛護の精神に反する悪質なものである。
被告人は、これまで前科なく生活をし、国税局職員を経て税理士の職についていたが、本件について広く報道され税理士の職業は廃業に至った。
職場や自宅には、嫌がらせや書き込み、危害予告などさまざまな制裁を受けているとの弁護人の指摘も否定できない。
また罪を認めると共に贖罪の気持ちから動物愛護団体に寄付をした。
以上のことから執行猶予に相当するが、残虐で悪質なことから執行猶予期間は長期間とすべきであり、4年とする。
この判決に不服があるのなら2週間以内に控訴してください。
傍聴席から見て右手の扉から大矢被告が入廷し、長椅子に座ると、裁判官から「大矢誠ですね。前へ出てください。」と言われ、大矢被告が中央の証言席に立ちました。その後主文が読み上げられ判決の言い渡しがありました。大矢被告は一切こちらを見ることなく退廷して行きました。
大変残虐かつ常習的な犯行であるにも関わらず対象が動物であるがために実刑に至らないことに強い憤りを感じますとともに、現在の動愛法の法定刑では実刑の壁が厚いことを再認識しました。当協会は来年の法改正に向け、引き続き動愛法44条の罰則強化を求めます。
この判決を受け、署名を呼び掛けた綿引静香さん、佐藤光子弁護士、当協会理事長杉本の3名で記者会見を行いました。以下の動画は会見の模様です。