3月25日(火)、当協会Evaは、以前から超党派の動物愛護議連でも何度も議論してきました「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」について、予算執行の観点から財務省の予算執行意見箱に意見を送りました。
これまで超党派動物愛護議連のノイヌ・ノネコPT(※過去のPTの内容はこちら)では、出席者全員がこの事業を実施する根拠や事業内容に疑問を感じ、環境省との議論を重ねてきましたが、議論は毎回平行線のまま、納得できるご回答を頂いておりません。
私たちの意見は、希少種の保護について反対するものでは全くありません。
絶滅すれば二度と現れることはない動物種ですから、希少種の保護対策は非常に大切だと考えております。
希少種を捕食するノネコが一定数いるということも否定いたしません。
また、この計画では、ノネコ発生源となり得るノラネコや不適正飼養されている飼いネコについて、適正飼養の促進、ノラネコ増加抑制の取組みも掲げられており、それについても反対するものではなく、重要な対策の一つだと考えております。
問題なのは、この事業における捕獲対象は”山野に生息し、自立して生活”する「ノネコ」であるにもかかわらず、実際には市街地のすぐ近くにも捕獲機を設置しており、捕獲されたほとんどが人馴れした飼いネコやノラネコであることです。
人が所有又は占有する飼いネコを飼い主の許可なく捕獲したり、ノラネコを駆除目的で捕獲すれば罪に問われる可能性があります。
そして、ノネコの生息数や、ノネコによる希少動物の捕食数も正確には把握できていません。そもそも希少動物が減っていると言われている原因が、ノネコによる捕食だけとは限らず、事業を実施するだけの明確な根拠もありません。
また、捕獲されたネコの収容期間はわずか1週間で、元の飼い主や新たな譲渡先が見つからなければ殺処分となります。
現在この事業で捕獲された大半のネコを引取り、譲渡に繋げているのは東京都の保護団体で、活動資金を削って自費で引取りをされています。
ネコは他の野生動物と違い、順化して家庭内で飼育できる動物です。
環境省は「殺処分前提の事業ではない」と話しますが、そうであるならば、ネコの捕獲のみに重点を置かず、捕獲後の譲渡活動においても必要な体制を構築すべきです。
そこで、私たちは事業の見直しが進むことを期待して、今回財務省の予算執行状況調査に着目し、意見を送付しました。
財務省では毎年、予算執行状況の調査を行っています。
調査対象に選定された事案は、実態を調査して改善点を指摘し、翌年度予算額を減額するなどの反映をしています。
「予算執行調査」の概要はこちら(財務省ホームページ)
私たちが意見を送付した予算執行上の問題点は3つです。
事業を実施する根拠が不明確で、動物愛護法など複数の法律に違反しかねない事業を推し進めているため、財務省には今後の予算執行において、事業の必要性や予算額の妥当性を精査して頂きたいと思います。
(2025年3月28日)