Eva理事長 杉本彩
当協会Evaは、さまざまなご相談を受け時には刑事告発を行っていく中で、動物を取り巻くあらゆる問題にぶつかりますが、その中でいつも感じるのは感受性のある動物の命が適切に扱われていないということ、あらゆる場面で命の大切さが共有できていないことを痛切に感じます。目の前で虐待されていたり、適切に飼養管理されていない動物がいても救うことが出来ません。当たり前のことを当たり前に速やかに行っていける社会にするべく、本日は皆さまと共に考えていきたいと思います。
次回法改正も間もなくで、ようやく超党派動物愛護議連でもこの夏から議論がスタートしました。問題を共有しどのように改正していけば動物たちが守られていく社会が実現できるのか、改めて皆さまと共有したいと思います。
現状の課題
課題解決のために、緊急一時保護制度の整備と飼い主による動物虐待の場合は当該動物の飼養を禁止する罰則が必要不可欠である。
どの法律に入れるのか?
「動物の愛護及び管理に関する法律」に「緊急一時保護の条文を新設」
判断の権限は?
動物愛護管理行政及び警察署が判断の権限をもつ
動愛法内で緊急一時保護を新設するために
法改正案で可能となること
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犬猫の移動生体販売の現状
地方都市のイベント会場に子犬子猫150匹程度を連れて訪れ、週末限定イベントを主には2社が行っている。土日祝日開催のため行政(保健所・センター)は何が起きているのか把握していない。2014年に鬼怒川河川敷で大量の犬の遺体遺棄事件が起きたが、これにも移動販売業者の関係者が関わっていた。
告知は、新聞広告・チラシ・スポットCM等ターゲットを絞った方法。掲載までのリードタイムがあることから表示義務のある第一種動物取扱業登録番号などの情報が欠落していることもある。
移動販売の問題は、環境変化などのストレスに弱い幼齢個体を、毎週長距離移動させ販売させること。どれだけ過酷な移動を強いているかというと
A社:11/11,12山口県でイベント出展後、翌日甲府市へ移動(851km)、翌日1日のみ休養日
でまたその翌日11/15には甲府市から今度は岩手へ移動(647km)
B社:1/19群馬県高崎市から島根へ移動(816km)、48時間目視後2日間のイベント出展
後、1/23高崎市へ移動(816km)、1/26今度は高崎市から香川へ移動(789km)
し48時間目視後2日間のイベント出展後、1/30高崎市へ移動(789km)
A社・B社共に4日を空けず輸送しており、幼齢動物の健康面にとって厳しいスケジュールといえる。
施設は、義務となっている2日間の目視確認は連続して行う必要があるが、ほとんどの会場が犬猫を夜間置くことを拒否するため、業者は輸送設備を飼養設備とし、夜間はトラックの中に全頭押し込んで駐車場に移動させている。車両が敷地内にあれば良しと判断されている。「これでは輸送後2日間目視にならない」と判断すれば販売会は中止できるはずだができていない。
又会場は、暖房施設のないアイススケートリンクの時もあり、温度・湿度の管理も出来ない場所で、温度管理が重要な幼齢個体にとって新しい環境への配慮がなされていない。
動物の状態も、咳が止まらない、下痢をしている、幼齢動物なのに骨と皮、ぐったりと横たわっている等、あきらかに具合の悪い動物がいるが、保健所が指導できるのは展示から外すことだけ。最大の問題は、仕入れたばかりの犬を隔離期間なしに展示するため、パルボを含め蔓延する。
一般消費者に対し、健康そのものであると言い購入させ、その後、パルボで看護の甲斐なく死亡。死亡した場合は新しい生体と交換。例え高額獣医療費をかけ生き延びたとしても、購入の際強制的に加入させられるペット保険が補填すると案内される。
又、幼齢期を脱しても体が大きく育たない、胃腸が弱い、療養食しか食べられない等、消費者の高額獣医療負担は継続する。これらの案内を受けるには社長の携帯電話が繋がる場合のみ。交渉が決裂した場合は電話に応答しなくなる。ターゲットの消費者は高齢世帯、小さな子どものいる世帯など泣き寝入りすることが多い傾向。
エキゾチックアニマルの展示即売会について
現在犬猫以外の爬虫類等の展示即売会が増加している。多数の業者が各地から集まるため長距離輸送が発生している。販売時に動物ごとに表示しなければならない項目(品種等名称、成長時の大きさ、雌雄、生年月日、生産地など)が表示されていないブースがあっても、なかなか改善されない。
現在の基準にも反しているはずなのだが?⇒強制力をもって変えられない
本来は、犬猫同様2日間の目視を義務付けるべきだが、この状態で長期間置かれることになるのは大きな問題。猛禽類は拘束展示。雛も輸送され販売されている。
多くの問題を抱える展示即売会
第一種動物取扱業の登録に関する問題
飼養管理基準の遵守義務等は、あくまでイベント主催者にかかっている。
次の1~4によって、移動展示・移動販売を実質禁止する
飼育できる動物種を指定するホワイトリスト制の導入を
ホワイトリスト制がなぜ必要か?
<動物福祉を担保することが難しい>
<その他のリスクを社会や環境にもたらす>
犬猫以外の動物の飼養管理基準を環境省が策定作業中だが、取引するべきでないような種の取扱いを止めさせることは困難とみられ、飼育禁止による歯止めが必要
※犬猫移動販売については、PEACEも賛同している「犬猫の移動展示販売を考える会」からスライドをお借りしました。
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日本国内の産業動物の内訳を見ると、年間で殺される数は10億頭(陸生動物のみ)。魚や海老などの水産動物に関しては、t(トン)などの量で数えられるため頭数は不明。
動物に対しての倫理的問題はもちろんのこと、薬剤耐性菌で抗生物質が効かない動物が生まれていることで我々の健康被害に直結している。又新たなパンデミックを引き起こす新型コロナウイルスのような新興ウイルスなど人獣共通感染症の危険性もある。地球上の85%が農地に使用されることで、森林や熱帯雨林の破壊、先住民族の土地の侵略や殺人等の人権侵害もある。温室効果ガスも大量発生し、日本の食文化のブランド価値の喪失もあり、日本で酷い扱いを受けている動物を食べるのかという目から、食品を扱う価値の喪失や投資を得られないリスクもあり経済の問題に関わってくる。影響力が大きくまたその範囲が広いことから、世界の国々が法整備をしている中、日本はそこに追いつこうとしない。
法律がないから詰め込めるだけ詰め込んでいる
とにかく詰め込めるだけ詰め込む。
ケージ飼育を止めさせたいのは山々だが、まずは世界の基準に並ぶことが今回の法改正においての提案になる。
詰め込まれているブロイラー(肉養鶏)の中を死体を探すために従業員が歩くのだが、あまりにも過密のため、鶏の足を蹴ったり踏んだりしないと前に進めない。これが犬や猫だったら?と想像して欲しい。
日本の多くが56kg/m2(大手企業も同様)、タイでは国が定めていて、解放鶏舎の場合は20kg/m2で無窓鶏舎の場合は34kg/m2、日本は世界の1.7~1.8倍の数の鶏を過密飼育している。過密飼育の結果、床は糞が溜り足の裏が焼けただれたり立ち上がれないなったりする状態になる。飼育密度は非常に重要。
農林水産省はこの7月にアニマルウェルフェアの飼養管理指針を出した(1年前にパブコメ)。WOAH(世界動物保健機関)の指針で182か国が同意したもので、レベルは高くない。これは最低レベルと世界が決めた基準で、農林水産省はせめてこれは守らなければならないとしているが、強制力が何もないことで守られないことが問題。強制力も持たせるべき。
WOAH基準に環境省の指針を変更し義務化が必要
としたうえで、
これらについて別途条項を設け、罰則を含め義務化が必要
鳥類の屠畜時、事前の意識喪失をしないのは日本だけ
日本の場合、牛や豚については意識を喪失させるスタニングがなされているが、鳥類(鶏、あひる、合鴨等)はほぼ85%スタニングがされてなくそのまま首を切られている。首を切っただけでは即死せず、出血死させるため長い時間苦痛を感じ死んでいくことになる。これは世界ではあり得ないことで、日本に入ってくるタイやブラジルの鶏は、全てスタニングされている。中国産の鶏も同様で日本だけが出来ていないことから、経済の為にも動愛法の中で整備が必要。世界の企業が有効な気絶処理を屠殺前に行っている。そうでないと売れないから。
スタニングあり・なしの写真は一目瞭然。スタニングしてないと血が出ている状態でバタバタと身を動かすため全身が血まみれになりそれで死んでいく。こんなことが我々が住むこの日本で起きているということを多くの国民が知るべき。
また気絶させずに首を切ることは失敗することもあるため「湯漬け」という次の工程で、生きたまま熱湯で茹でられてこともある。生きたまま熱湯に入れると生体反応で皮膚が真っ赤になるため廃棄処分となる。現状はより"苦痛を与えない"方法があるにも関わらず、その方法を使わない動愛法に反した状態であるが、業者も行政もこの条文を守るつもりはないためこの程度の表現では不十分。
また痛みを伴う外科的切除をする場合は必ず麻酔をするべき。世界は、外科的切除、施術は行わない方向で、行う場合は麻酔をしなくてはならない。畜産と実験施設は現在一般家庭より甘い規定になっており、虐待があっても行政は何もできない。
また魚類においても哺乳類同様、知性と感覚を持っていることから、動愛法の罰則及び動物取扱業の範囲を「すべての脊椎動物」にしてほしい。
世界最低ランクの日本の基準を、せめてWOAHの基準までに上昇させなければならない。
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改正に向けて4点を要望
4点とも動物実験の内容に踏み込む要望ではない。理由として動物実験は多くの省庁が関わっており法律や分野も多岐に渡っていることから、それぞれの関連法(薬機法や化審法)で行うべき。
「動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等」(第41条)第1項の<動物実験の代替>や<実験動物数の削減>を義務とする
動物実験の3Rの原則の理念のみ盛り込まれている
代替(Replacement)⇒ 配慮事項
数の削減(Reduction)⇒ 配慮事項
苦痛の軽減(Refinement)⇒ 義務
日本では、動物実験業界側の「科学の発展に悪影響を与えるのではないか」といった反発があり実現できてないが、日本より3Rが進んでいる欧米では科学の発展に悪影響が出ていることはないことからその理由は通用しない。
41条について具体的にどのような改正を望んでいるかというと、現行法は3Rを用いるか否かの裁量を実験者に委ねる状況になっている。それ故、代替法があるのに動物実験を行う企業や研究機関が多いなどこの規定はザル法になっている。
「科学上の利用の目的を達することができる範囲において」とか「その利用に必要な限度において」など3Rの遵守を制限している部分があり、また「利用することに配慮するものとする」という非常に弱い規定になっている。なので「科学上の利用の目的を達することができる範囲において」とか「その利用に必要な限度において」を取り除く改正が不可欠で「配慮するものとする」を「しなければならない」に書き換える必要がある。
代替法があるものについては、それを利用することを義務付ける
要望1の<動物実験の代替>の義務化をより明確に規定する。
OECD(経済協力開発機構)やICH(医薬品規制調和国際会議)など、日本が加盟している国際機関で公定化された代替法が多数ある。が、代替法にするか動物実験にするかの判断は、企業や研究機関に委ねられている。代替法があるにも関わらず動物実験を続けていることがある。国も弱腰で代替法を「利用してもよい」という程度。国の弱腰姿勢を表す例として、医薬部外品の代替利用について国が出しているものとしては、以下の2つの事務連絡のみ。
Q3 動物実験代替試験法による試験成績を申請資料として用いることは可能か
A3 OECD等により採用された代替試験法あるいは適切なバリデーションでそれらと同等と評価された方法に従った試験成績であれば差し支えない。ただし、通知等で代替法に関するガイダンスが示されている場合は、その方法を優先して用いるべきである。
⇒「代替法でないといけない」とまでは言っていない。
もう一つの事務連絡が、JaCVAM(日本動物実験代替法検証センター)という厚生労働省の関連機関のHPに、代替法が掲載されているから参考にしてに留まっている。情報提供レベルの内容になっている。
そのため企業も積極的には考えておらず、代替法の利用に関する日本化粧品工業連合会 技術委員会参加会員へのアンケート結果では、4割以上が「代替法の利用は考えていない」8割が「代替法で申請したことがない」という情けない結果となった。
代替法の開発・普及を国の責務とする
「国は動物実験代替法の開発・普及に努めなければならない」と定め国の責務とする。このように動愛法の中で定めることにより、
動物実験施設、実験動物販売業を「第一種動物取扱業」の対象とする
現在の動愛法では、ペットショップや動物園などが第一種動物取扱業となっているが、第10条の例外規定によって畜産関係業と実験動物関係業は対象外となっている。対象動物種は、哺乳類、鳥類、爬虫類に限られている。これを生きた脊椎動物を扱う業は、すべて平等に「動物取扱業」にする改正を行えば、両生類や魚類も含めた実験動物を扱う動物実験施設、実験動物販売業も自治体に登録されることになる。
3Rの改正と、この改正両方が実現すれば、登録施設に基準順守を設けることで実験動物の福祉が守られる。登録する事項は、現行の「第一種動物取扱業」の登録内容と変わりなく、動物実験の内容まで踏み込むものではない。
改正を要望する理由
日本では兵庫県に「動物の愛護及び管理に関する条例」で定める動物実験施設の届出制があり67施設が届出されている。又静岡県では、動物愛護管理推進計画に則り把握できた動物実験施設42に対し自主的に年一回の立ち入り調査をしている。それにより多くの施設で獣医師がおらず、またケージサイズは、国際基準以下であることが分かった。
このように自治体は自ら情報を収集し、施設の場所などを把握できるよう努めているが限界はある。登録を義務付けていれば容易に把握できるようになる。
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当協会Evaの次期法改正の要望について
はもちろんのこと
野生動物を使ったカフェの禁止
第2種動物取扱業に、現行の第1種動取同様、登録制を導入
第1種には一定頭数を超えた場合、獣医師を常勤
幼齢動物の販売禁止
◆イングランド
ペットショップで生後6ヵ月未満の子犬や子猫の販売を禁止(2020年4月施行)
劣悪繁殖業者の撲滅が理由
◆フランス
ペット店で犬猫販売禁止へ(2024年から)
保護団体や個人からの譲渡、ブリーダーからの直接購入となる。動物の福祉や衝動買い防止の観点から
と、同時に、法律の運用面が非常に危惧される。
どんなに法改正で細かく縛っても、では緊急一時保護制度が出来たとしても、その制度を発出するのは行政。現在の動愛法や環境省令、ガイドラインには、しっかりした多くの規制があるが、現状虐待事件が起き、そこに死体があっても「虐待ではない」とか「自然死じゃないか」などとし、対応しないケースが非常に多くみられる。
行政が動かない場合の方法について、動愛法44条に明確な虐待の定義を設け、例え衰弱していなくても当てはまれば虐待とみなす。
かつ行政が権限を行使せず放置した場合、行為の是正を求めることができるのか?など、より動物愛護法の実効性を高める必要がある。
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刑法19条に「没収」制度がある。組成物等の所有権を国に帰属させる手続きがあるが実行出来てない現状がある。所有権を飼い主に残す「押収」というのもあるが、これに関しては、虐待が繰り返される点を踏まえると不十分である。所有権を奪うことが最終目標ではあるが法律の規定は一歩一歩進めていくものなのでその前に一時的に保護をしていきたい。
<諸外国情報>
ドイツ:動物保護法
19条:犯罪行為(17条など)または秩序違反行為(18条1項1号等)に関連する動物を「没収」することができる。「没収」することというのは所有権を奪うこと。
フランス:フランス刑法典
被虐待動物の所有者が有罪となった場合や所有者が不明の場合裁判所は被虐待動物の処遇について判断する。所有者から動物を没収して、公益性を認められた届出をした動物保護基金・動物保護団体へ引き渡すことができる。「没収」後の帰属先が明らかになっていることや、動物保護団体と一括りにせず、信頼性を置ける”公益性を認められた”と絞りを掛けているところが特徴的でよい。
スイス:動物保護法
24条:動物が放置されていたり、全く不適切な条件で飼育されていることが判明した場合、所轄官庁は直ちに介入しなければならない。所轄官庁は、予防措置として動物を没収し、動物飼養者の費用で適切な場所に収容することができる。
イギリス:動物福祉法2006
当該動物に対する所有権を剥奪する裁判所からの剥奪命令、動物全般の所有についての資格剥奪命令を規定が法律上認められている。
我が国で出来るのかどうか?
日本における導入の許容性①
動物の緊急一時保護制度について
最終的に動物の所有権を奪うことは、憲法上認められた財産権に対する制限になる。憲法29条には「財産権は、これを侵してはならない。」だが、憲法上の権利は「公共の福祉」のためであれば制限をしてもよいということになっている。
そもそも「公共の福祉」とは?
人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理⇒人権制約が許されるのは、他者の人権を保障するため⇒人の人権・利益がないと人権制限不可
今現在の動物愛護法の所有権の制限規定は
44条における犯罪(殺傷罪や虐待罪)に対し罰則規定が定められていて制限となっている。
「動物を愛護する気風という良俗」これは動物愛護の良俗を守るために規定されている。⇒つまり人間の利益に繋がり、緊急一時保護も「良俗」に合致するのではないか。よってこうした規定を設けることは憲法上問題ないのではないか?
人間の利益のためでないと人権制限出来ないという考え方は、憲法学者から疑問や批判もある
これは、人権を制限するために、他人の人権のためでないといけない。直接的に人権の為になっていなくても、広く法律を作らなければならなくなってくる。そうなるとどうしても他人の人権を広く解釈しなくてはならない、ということになるのではないか?
・近年の世界規模で勃発しているテロの脅威やパンデミック禍への対応として、国民の生命・財産・安全・健康・生活等を国家が保護することの重要性は以前にもまして増大している
⇒公民全体の「生命・自由・幸福追求権」の基礎となるべき公益を保障するために、他の人権を一定程度、制約しなければならない場面は避けがたい
人の利益のためでなくても、もっと広く例えばテロの脅威とかパンデミックなどやむを得ず人権を制限しなくてはならないこともあるとなると、人の利益に直結する、他人の人権に直結する為でなくても、人権に対し何らかの制限をしていかなければならないのではないか。
人間の利益を超えた公益・社会秩序の部分にペットの財産権の制限というのが該当してくるのではないかと考えられる。
日本における導入の許容性②
例えば、屋外広告物(チラシの貼り付け等)を禁止する条例
⇒都市の美観風致維持のため合憲(大阪市屋外広告物条例違反事件最判S43.12.18、大分市屋外広告物条例事件最判S62.3.3)
⇒美観風致という利益のために、最高裁の判断で表現の自由を制限
風景という抽象的な利益のために民主国家における重要な「表現の自由」の制限を許された。そのことから
⇒動物の命を守るために、財産権を制限することも可能では?
最高裁の結論のバランスを考えた時に「緊急一時保護制度」によって動物たちを守ることは出来るのではないか。
日本における導入の許容性③
緊急一時保護
⇒一時的に占有を移転するのみであり、所有権剥奪ではない。占有権(持っている状態)を制限するということ。厳しい訳ではない、というもの
⇒動愛法44条で、「懲役」刑という身体的拘束を課している。これは人権制限にとってもっとも厳しいものでこれが認められている。
動物虐待があった時に、占有を一時的に制限することは認めらてもよいこと。
導入にあたり…
・「虐待」認定の公平性確保 判断をどこの機関が行うのか? 恣意的判断とならないことが重要
Ex 裁判所、愛護センター、獣医師
cf イギリス:RSPCA所属の獣医師以外の第三者的立場の獣医師
・引取り施設
自治体(動物愛護センター、保健所等)
愛護団体・動物病院(協定が必要)
人間による動物保護のためのシステム構築(法制度化)の必要性
動物はモノという法的なポジションはあるが故に大きな壁がある。しかしながら動物はモノという認識を持っている国民は少ない。動物は単なるモノではない。感情もあるし感受性もありますし我々はさまざまな恩恵を動物から受けている。動物は苦しみから助けてと声をあげて行動することが出来ないことから、我々が主体的に動物を守っていく必要性があり、それには動愛法の法整備が必要である。
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犬猫の展示販売規制の経過
22条の5 幼齢の犬又は猫に係る販売等の制限
犬猫等販売業者(販売の用に供する犬又は猫の繁殖を行う者に限る。)は、その繁殖を行つた犬又は猫であつて出生後56日を経過しないものについて、販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない。
21条 第1種取扱業の遵守基準の具体化
動物の種類、習性、出生後経過期間等を考慮して、次の事項を環境省令で定める
法改正によって改善したか?
繁殖業等に対する強い規制
許可制と登録制の違い
繁殖業等に対する強い規制
段階的規制(自治体の人的資源の問題)
第1段階・・・届出制 (現行の第2種動物取扱業)
第2段階・・・登録制 保管、貸出し、訓練、展示、譲受飼養業(現行の第1種動物取扱業)
第3段階・・・許可制 繁殖、販売、競りあっせん業
海外のペットショップ禁止の流れ
国立国会図書館『諸外国における犬猫の販売規制』—アメリカ・イギリスの動向(2018.10)
アメリカ
イギリス
フランス
日本での可能性
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Eva 代表理事 杉本彩
本日は、長時間に渡りどうもありがとうございました。
講師の皆さまにおかれましては、ご尽力いただき誠に感謝申し上げます。改めてお話しを聞き、抵抗力も多いですしハードルの高い改正になるだろうということは重々承知していますが、やはり私たちの民意で社会を変えていくんだ、動物を取り巻く問題を解決していくんだと、強い意志を持ち皆さんで力を合わせて取り組んで行きたいと思います。動物愛護団体だけでは実現は難しいので一般の皆さまのご協力とご理解が必要です。
私たちは動物の代弁者です。その意識を強く持ち、次期法改正に向けて必ず議員の皆さまに変えていただけるよう、またしっかり運用されるよう今後も全力で取り組んでいきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
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