ノイヌ・ノネコPT

議連レポート

第4回 ノイヌ・ノネコPT(2024.5.13)

(1)関係者ヒアリング(小島望教授)

まず始めに、私自身は、生態学研究の立場から、イヌやネコを捕まえて森林外に出すということ自体には異論はない。

1.奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画

(1)目的
・アマミノクロウサギ、アマミヤマジギなどの希少種保護。
・600~1,200頭と推定されるノネコの早急な捕獲・排除を関係機関が連携して行う。
(2)実施地域 奄美大島森林内
(3)計画期間 2018年4月~2028年3月
(4)アマミノクロウサギが減っていると言われている原因
 森林伐採や道路(林道)開発などの自然破壊
 ロード・キル(交通事故)
 マングースやハブ、ノネコ、ノイヌによる捕食
(Evaコメント:2019年マングースの捕獲数がゼロとなる。2024年9月マングース「根絶宣言」)

(5)アマミノクロウサギの生息分布
現在、陸上自衛隊・奄美駐屯地と瀬戸内分屯地ができており、この2つはアマミノクロウサギの生息地と重なっている。
希少野生動物の最も絶滅を招く原因は開発行為これに関して環境省は何も言わない。

(6)アマミノクロウサギの生息数減少原因
一番トップなのは「死因不明」、それに次いで「交通事故」。あとは「ノイヌやノネコ」じゃないかとされている。まずは交通事故対策が順序として基本。

(7)「野生」の概念について

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の細部解釈及び運用方法について(令和4年9月16日付 環自野発第2209163号 自然環境局長通知)(抜粋)

Ⅱ定義等 1.「鳥獣」の定義(1)「野生」の概念について

「野生」については、当該個体が元々飼育下にあったかどうかを問わず、飼主の管理を離れ、常時(=そこに常にいるということ)山野等にいて、専ら(=90%以上)野生生物を捕食し生息している状態を指している。

⇒ネコは基本的には集落等を行き来している。好き好んで森林内に入り込み、自立して餌を食べることはしない。"専ら"野生生物を捕食しているのなら、糞分析でペットフードのような明らかな人工物が糞に交じっている場合、どう考えてもそれは「”専ら”野生生物を捕食している」とは言えない

だから私の考えからすると、これははっきり言えるが、「ノネコ」なんてものはほとんどいない。

(8)奄美ノネコ計画の問題点
①捕獲したネコの譲渡がしにくい仕組みになっている

  • 「譲渡対象となった場合は、ノネコセンター(奄美大島ねこ協議会)が保管、譲渡希望者に対しては『ノネコ譲渡希望者審査委員会』が審査し、譲渡する」⇒納税証明書や所得証明書等を提出させる非常に煩雑な処理で、譲渡希望者は審査を受ける必要がある。
  • センターでの飼養管理期間は基本1週間と非常に短い。譲渡個体の写真も公表していない
  • マイクロチップの挿入は、島内指定病院(鹿児島獣医師会所属)だけ。島外から来た人は、ここでもしかしたら1泊しないといけない。⇒島外の人への譲渡がしにくい
    (Evaコメント:現在、奄美で捕獲されたノネコは「あまみのねこひっこし応援団!」が9割を保護。参照:第2回ノイヌ・ノネコPT)

②「ノネコ」の定義について

私は餌付けの研究を20年しているが、野生動物はもちろん、動物にとって人間が与える餌はものすごく魅力的で執着する。それを蹴ってまで、人と生きてきた歴史を持つネコがわざわざ森林で自立して生活するとは非常に考えにくい。環境省はなぜ強引に「ノネコ」と称して捕獲するのか。

※環境省が「ノネコ」の呼称にこだわる理由(小島先生による推測)

  1. マングース対策事業の予算の移行
    マングースがかつて強い捕食圧になっているということで環境省は「マングースバスターズ」という組織を作り予算を取っているが、捕り尽くして捕獲努力が実らなくなっている。行政の予算は一度その事業をなくすと次は非常に取りにくくなる。だから、マングースの予算を今度はノネコを対象にしてスムーズに移行させようとしているのではないか。
  2. 一般人や動物愛護団体からの強硬な反対の回避と、計画の円滑な進行
    「ノラネコ」は動愛法の対象なので殺すのは非常にまずく、殺処分ゼロの環境省の方針とも真逆の対応になる。しかし「ノネコ」は鳥獣保護管理法の対象なので、殺処分しても殺処分数にカウントされない。ネコはマングースと違いペット由来の動物で一般人も愛護団体からも強硬な反対を受けるのは明らかなので、「ノネコ」と称して”野生化したもの”として障害を排除し、計画を円滑にするためではないか。

2.環境省への質問

  1. 「ノネコ」と判断すれば捕獲・殺傷が容易であるような言説が流布され、実際に森林部のネコの殺傷事件が広島で起こっている。これについて環境省の見解を聞かせていただきたい。
  2. 捕獲罠によって飼いネコが死傷した場合の責任は誰が負うのか。これは既にやんばるで起きており、住民から「行方不明のネコがいる」という話も私は耳にしている。
  3. 計画立案にあたって、一定期間予備調査としてネコの糞分析は丁寧に行ったのか。

3.環境省への意見

  • 早急に「奄美ノネコ管理計画」の総括を行い、その反省を今度の沖縄島北部ネコ管理計画に生かすべき。
  • 環境省は「殺処分前提ではない」と言うが、私が電話した役場の職員が「この計画は殺処分前提です」とはっきり言っていた。窓口の職員が上の指示もコンセンサスもないのに「生き物を殺すことが前提です」と言うわけはない。だから、殺処分前提で進められているのはほぼ明らかだと思っている
  • 500数頭はネコを捕獲している。ただし「ノネコ」として捕っているだけで、私はどんなに少なく見積もっても、7割以上は「ノラネコ」だと思っている。大体9割は「ノラネコ」かと。
  • 自治体及び都合の良い団体や研究者に事業を丸投げするような無責任体質を改めるべき。
  • 「ノネコ」「ノイヌ」という呼称の使用の即刻中止
  • ネコの罠捕獲では細心の注意を払うこと(例:見回り時間の短縮、殺傷する仕組みのある罠を使わない)
  • 捕獲後は、十分な保護期間を確保して譲渡にまわす時間を最大限取ること。そのためにも愛護団体との協力体制は絶対に必要。

私が一番言いたいのは、ノネコの定義すら明確にできていない。曖昧にしたまま「ノネコ」という言葉を事業計画の名称に使用するなど前代未聞。国の予算で、我々の税金で事業をやっているわけで、公務員は法に則って行動するわけだが曖昧にしたまま事業計画をやっていいのか。

地域住民の理解が得られるよう、住民向けの説明会や講習会をやんばるでも重ねていただきたい。ネコもヤンバルクイナの命も大切にできるような信頼関係づくりに今更ながら注力していただきたい。

(2)第3回ノイヌ・ノネコPTを受けて提出した質問事項への環境省からの回答

①奄美大島及び沖縄本島北部やんばる地域における猫に関する対策事業費について、地方自治体分も含んだ総額を、年度ごとにお示しください。

奄美大島・沖縄島北部やんばる地域 契約額

●奄美大島

業務概要:ノネコ及び在来種の生息状況モニタリング、ノネコ捕獲等

年度 契約額(環境省) 契約額(5市町村)
平成30年度(2018年) 20,012千円 約34,200千円
令和元年(2019年) 39,600千円 約42,200千円
令和2年(2020年) 38,874千円 約45,800千円
令和3年(2021年) 46,200千円 約42,600千円
令和4年(2022年) 60,246千円 約54,000千円
5年間の合計契約額 204,932千円 約218,000千円
※奄美大島:上記のほか、かご罠、カメラ等の購入で過去5ヵ年に計1,600万円程度
※5市町村(奄美市、龍郷町、瀬戸内町、大和村、宇検村):各市町村が実施している不妊去勢手術やマイクロチップの装着等の支援及びノラネコのモニタリング、ノネコセンターの運営費を含む。

●沖縄本島北部やんばる地域

業務概要:外来哺乳類の生息情報収集(ヒアリング等)、生息状況調査(センサーカメラ調査等)、ノネコ捕獲等

年度

契約額(環境省) 契約額(沖縄県) 契約額(3村)
平成30年度(2018年) 2,340千円 13,524千円 約8,700千円
令和元年(2019年) 3,894千円 36,683千円 約7,900千円
令和2年(2020年) 3,905千円 43,381千円 約14,200千円
令和3年(2021年) 3,487千円 56,883千円 約11,900千円
令和4年(2022年) 3,377千円 70,000千円 約13,300千円
5年間の合計契約額 17,003千円 220,471千円

約56,000千円

※沖縄県:沖縄県北部の森林域におけるノネコ等の現況調査及び捕獲、捕獲したネコの不妊去勢手術やケガの治療、寄生虫の駆虫などの処置、周知期間中における収容管理や譲渡にかかる費用を含む。また、ヤンバルクイナ等希少種の回復状況調査等の費用も含む。
※3村(国頭村、東村、大宜味村):各村が実施している不妊去勢手術やマイクロチップの装着等の支援やノラネコ・飼いネコの保護を含む。イヌやハブ対策の事業費も含む。

②ノイヌ・ノネコを狩猟鳥獣から解除することは「在来種が捕食される等の被害防止の観点においてリスクである」という趣旨の説明をされている。一方で沖縄県北部やんばる地域においては、すべての猫を対象とした対策事業が進められている。すべての猫を対象とした対策事業が行えるのであれば、環境省が説明する「リスク」は存在しないことになる。この点について見解を教えてください。

⇒(環境省)奄美大島とやんばる地域のどちらにおいても、森林域においては鳥獣保護管理法に基づく許可を受けて捕獲が実施されている。また、ノイヌ・ノネコは狩猟鳥獣であることから、許可捕獲だけでなく、狩猟者の自由な意思で行われる狩猟による捕獲も可能。そのため、「ノイヌ・ノネコを狩猟鳥獣から解除することは、被害防止を補強する手法のうちの一つを失うことになり、被害防止の観点においてリスクである」と回答した。

(3)意見交換

愛護目的ではない捕獲や駆除は動愛法上許されていない。それで各自治体も今まで苦情に対して行っていた駆除や駆除目的の捕獲器の貸出もやめている。

・もし飼いネコを捕獲してどこかに持って行くと窃盗になる。その違法性もある。

・現場では区別ができず、実際捕獲したネコの中に、ノネコとノラネコと飼いネコが混ざっている。捕獲については鳥獣保護管理法に沿って捕獲していても、ノラネコに関しては動愛法で捕獲の根拠条文はない。なぜ行政はノラネコを捕獲できるのか、違法ではないか。
⇒(環境省)法的な許可申請が必要なのに許可を取っていないというのは明確に違法。動愛法上は捕獲に関する規制などの条文はないなかで、種の保存法という別の法律の法目的を達成するために必要性がある程度認められるような行為が違法なのか、というと違うのかなと思う。

・ノラネコは動物愛護法で保護されているわけで、ノネコでさえも鳥獣保護管理法で許可がないと捕獲できないのに、ノラネコだと許可という概念がないから捕獲していいというのは、完全に法律を全く誤解している

・「ノネコ」にこだわる必要があるのか。単に「ネコの管理計画」でいいのではないか。

・見逃せないのは「許可捕獲だけではなく、狩猟者の自由な意思で行われる捕獲も可能」。これをやったら大変なことになる。一般の狩猟者がネコ捕まえて殺した場合、それが飼いネコだったらどうなるか。飼いネコじゃなくてもお世話していた、法律でいうと占有していたネコだったらどうなるか。殺した人は動物愛護法違反になる。そういうことまで考えているのか。

・今、沖縄県の愛護条例が作られようとしていて13条に「猫に一切餌を与えてはいけない」とある。餌やりを一気にやめるとノラネコは何を食べるのか。餌やり禁止を厳格にすればするほど山のほうに行く可能性もある。それを考えて連動してやっているのなら小賢しいなと思うが、そこまで考えていなくて沖縄県がああいうことをしようとしているのなら環境省は止めたほうが良いのでは。一気に希少生物を食べる方向に進む可能性も否定できない。

・鳥獣統計に出てくるノネコの捕獲数というのは、ノラネコも含めた数が計上されている。それでノネコがこれだけ捕られてますと既成事実のように出されると、ノネコってたくさんいるんだと誤解が生じてしまうことを危惧している。

・今日、論点はクリアになったんじゃないか。この計画でノラネコが混ざって捕獲・殺処分の対象になっていることを解決する方法としては、殺処分前提ではなく、捕獲した後どうするか(保護している愛護団体にお金をつけるなど)を環境省にもご検討いただきたい

落としどころは、譲渡を適切に行って、支援を愛護団体に協力する体制を築くことではないか。

第3回 ノイヌ・ノネコPT(2024.2.16)

第2回ノイヌ・ノネコPTに向けて環境省が提出した資料についての質疑応答
  • 環境省で決めているもの(ノイヌ・ノネコを狩猟鳥獣に指定している事)を今のところ変えるつもりはないか?
  • (環境省)狩猟鳥獣については通常の基本指針の改定に伴う見直しの中で検討するのが通常だと考えている。(5年に1度の改正。次回は2026年)
     
  • 先般、クマ類を指定管理鳥獣に追加するということを環境省が行う話が出ていた。これは随時行ったわけですよね?狩猟鳥獣を見直すことも随時行えるということで考えてよいか?
  • (環境省)クマ類の指定管理鳥獣の指定に向けては現在パブリックコメントにかけている。これに関しては大臣からの指示。また各県知事からの要請、社会的な要請があった。
     
  • 要望が強ければ、省令だから変えることは可能か?
  • (環境省)可能性としては否定できない。
     
  • やんばる地域においては「ノネコ」ではなくて「ノラネコ」を対象に駆除・排除を環境省と県が進めようとしている。「ノラネコ」という概念で駆除が現行法の中で出来るのであれば、狩猟鳥獣の中に「ノイヌ・ノネコ」をいれる必要はない。被害防止の観点からリスクがあると言っている環境省の発言に矛盾が生じるのではないか。
  • (環境省)やんばるは、被害を受ける希少鳥獣への影響排除でネコ類をこのエリアから排除するもの。ノイヌ・ノネコという定義でやっているものではない。
  • そうであれば、ノネコを狩猟鳥獣から解除しても被害防止はできるという事かと思うが。
     
  • 予算について。国だけではなく全体(県・村)の金額を出してもらいたい。少なくとも沖縄県に関しては、最初予算が約1,500万円で始まったが、今約7,000万円まで増えている。国は変わっていないかもしれないが県は何倍にもなっている。すべての自治体の合算を出して欲しい。
  • (環境省)承知しました。
第2回ノイヌ・ノネコPT後に環境省が示してきた回答

①「ノネコと野良猫の区別が難しいことは認識している」(河野通治・希少種保全推進室長)との発言があったが、ノネコの定義について見直す必要があると考えるが、環境省内で定義について検討する予定はあるのか。
②現在の定義でどのような問題が生じているか整理しているのか。

  • (環境省)ノイヌ・ノネコの定義は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の細部解釈及び運用方法について」で整理されている。今後、ノイヌ・ノネコの定義を踏まえて、狩猟と許可捕獲において、ノイヌとノライヌ、ノネコとノラネコを区別することについて、運用面でどのような対応ができるか検討していく。当該検討にあたり、ノイヌ・ノネコの捕獲状況の詳細を確認するため、また、現在の定義でどのような問題が生じているかについては把握するためにも、今年の狩猟期間において、都道府県を通じてどのような調査が実施可能か下調べすることを考えている。

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の細部解釈及び運用方法について
(令和4年9月16日付 環自野発第2209163号 自然環境局長通知)(抜粋)

Ⅱ定義等 1.「鳥獣」の定義(1)「野生」の概念について
「野生」については、当該個体が元々飼育下にあったかどうかを問わず、飼主の管理を離れ、常時山野等にいて、専ら野生生物を捕食し生息している状態を指している。
したがって、当該鳥獣が本来我が国において野生に生息していなかった鳥獣であっても、上のような状態にあれば本法の対象の鳥獣として扱うことになる。

また、狩猟鳥獣である「ノネコ」「ノイヌ」については、生物学的な分類ではペットとして飼われているネコ、イヌと変わらないが、飼主の元を離れて常時山野等にいて、専ら野生生物を捕食し生息している個体を「ノイヌ」「ノネコ」としている。なお、飼主の元を離れてはいても、市街地または村落を徘徊しているようないわゆる「ノラネコ」「ノライヌ」は「ノネコ」「ノイヌ」には該当せず法の対象にはならない。

③奄美大島のノネコ管理計画について、どのような問題が生じているか把握しているか。

  • (環境省)現状の課題については2022年度に実施した本管理計画の進捗状況評価において整理している。本管理計画に基づく事業実施により生じている問題としては、カゴわなによる他の動物の混獲が上げられるが、改善している。また、奄美大島ねこ対策協議会が実施している、捕獲された猫の譲渡に関しては、譲渡認定者の拡大や負担軽減等のため、譲渡要領を改正するなど運用改善に努めている。

④奄美大島のノネコ管理計画について、この計画の見直して根本的に変更、ないしは中止する予定はあるのか。

  • (環境省)奄美大島の生態系に対してノネコが及ぼす潜在的、顕在化した影響を取り除き、さらにノネコの発生源対策を講じることで、奄美大島独自の生態系が保全されることを目指す計画。本管理計画に基づく対策の必要性は、有識者の意見等も踏まえて判断しており、現時点で根本的な変更や中止は予定していない。
第2回ノイヌ・ノネコPT後に環境省が示してきた回答についての質疑応答
  • 「R3年度ノイヌ・ノネコ対策事業」の報告書が出ているが、その中で沖縄県は、「外見からノネコ・ノラネコ・飼い猫を区別することは困難であるため、生態系保全を目的とした本事業では、森林域で捕獲されたネコはすべて希少野生動物の脅威となりうるノネコとして扱う」としている。県が独走して勝手な解釈をしている。これを放置するのはあり得ないと思うが。
  • (環境省)確認する。
     
  • 先日、奄美新聞社の報道で、希少野生生物保護増殖の検討会で、アマミノクロウサギなどの保護増殖事業計画は今後10年で終了を目指すとあったが、この計画とノネコ管理計画はリンクしているのか。
  • (環境省)ノネコ管理計画とは、別計画で見ている。保護増殖事業計画はすべての種で策定できているものではない。猫にもよく食べられているアマミトゲネズミなどの生き物も含めて、生態系保全のためのノネコ管理計画としているので、切り分けている。
     
  • 実際、誰が責任をもって、どうやってノネコとノラネコを区別しているのか。実際不可能ではないか?
  • (環境省)現場レベルのことは協議会に確認して回答します。
     
  • ノネコとノラネコを区別している現場を環境省は確認しているのか?想像で分けてるだろうと言われても困る。
    もともと省令で殺してもいいと言われていた動物が、新しくできた法律(動愛法)で殺してはいけないとなった。しかし、もともとの省令が議論もなく生き残るのであれば、ノネコの判断を相当抑制的にしていかないといけないのではないか。ノネコの判断を拡大解釈するようなことがいろんな地域で起こっている。確実にノネコでなければノネコと判断してはいけない、というような抑制的な判断を環境省が自治体に対して示さないといけない。
「ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン」について関係者ヒアリング
  • ノラネコの捕獲をすすめる法的根拠への疑義
    「ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン」は単なる行政の「計画」にも関わらず「ノネコ」ではなく「ノラネコ」を捕獲・殺処分していこうとするもの。「ノラネコ」は動愛法では愛護動物。同アクションプランで掲げられた計画は44条1項「みだりに殺し、又は傷つけ」る行為にあたる疑いがある。

     
  • アクションプランの3つの背景・理由への疑問
    計画の背景・理由として主に①希少種の保護、②人獣共通感染症、③ネコの安全、が掲げられているが、ネコを駆除する理由にはなっていない。
  1. 希少種の保護
    ネコが希少種を捕食することもゼロではないと思うが、それに多額の税金を投入しネコを全て駆除する理由にはならない。捕食圧は希少種を絶滅させるほど強くはない。やんばるに棲息するノネコの最低個体識別数は50~60頭程度(ノネコ対策事業報告書の数値)との報告があったが、2017年~2021年の5年間で1,861頭ものネコが捕獲され、初期にはそのほとんどすべてが殺処分されていた。現在は、そのほとんどを民間のボランティア団体が無理をして引き取っている。一昨年崩壊した沖縄最大の保護団体ケルビムもこれらのネコを無理に引き取った事が原因で崩壊となった。
    しかし、ヤンバルクイナの生息数はここ10年、1500羽程度で横ばい。これだけ(ノ)ネコの捕獲・殺処分を行ってもヤンバルクイナの数は増えていない。従って、二つの値の間に相関関係はない。
  2. 人獣共通感染症
    トキソプラズマ症などが上げられているが、他の地域と違ってトキソプラズマ症が広がっているなどの根拠が示されていない。
  3. ネコの安全
    ネコの安全を理由に、ネコを捕獲し殺処分のルートに乗せるというのは本末転倒。ネコの安全を理由にするのであれば、ネコの命を守ることを前提とした計画の作成が必要。

国頭、東、大宜味の3村でのネコの捕獲・保護状況(2017年~21年度)

※表は琉球新報より

  捕獲・保護 返還 譲渡 死亡・逃走など 県動物愛護管理センター引取り
環境省

県環境部

144 8 135 1
国頭村 649 81 319 30 219
大宜味村 809 1 535 268
東村 254 112 142
1861 90 1106 36 629

※県と環境省は希少な固有種が生息する森林域でネコ計149匹を捕獲し、3村は集落内で計1,712匹を保護。
※装着されたマイクロチップなどから飼い主を特定できた90匹は返還。
※飼い主が不明なネコのうち1,106匹は動物愛護団体に譲渡。
※センターへは629頭だが、センターから一般飼い主への譲渡はほとんどない。殺処分。

  • 科学的根拠に乏しい調査
    「平成28年度(2016年度)ノイヌ・ノネコ対策事業委託業務 報告書」の中で、「やんばる地域におけるノネコの生息状況でシミュレーションしてみると最低確認数(47頭から58頭)を50頭と設定し、ノネコがヤンバルクイナを月に1羽捕食すると仮定しても、年間約600羽捕食するという推定値が得られる。現在のヤンバルクイナの生息数が1,500羽程度を推移していることを考えると、ノネコの捕食によるヤンバルクイナの死亡数が種の存続に及ぼす影響は計り知れない」(NPO法人どうぶつたちの病院沖縄、株式会社沖縄環境経済研究所、一般財団法人沖縄県公衆衛生協会)
    と結論付けている。既に1,861頭ものネコが捕獲されているが、ヤンバルクイナの生息数は横ばい。報告書が正しいのであれば、ヤンバルクイナは既に絶滅していなければ説明がつかない。

     
  • 行政の譲渡能力の欠如
    同アクションプランでは「返還又は譲渡に努める」としているが、現実は、行政による返還・譲渡活動は全く機能していない。沖縄県動物愛護管理センターは飽和状態で、ボランティア頼み。

     
  • 結論:「TNR活動」及び「保護・譲渡活動」推進への転換を
    「ずっとやんばる ずっとうちねこアクションプラン」及び「ノネコ・ノイヌ対策事業」の即時中止を求めるが、それでも希少種保護を理由に、なおやんばる地域からネコの排除を強行しようとするのであれば、同アクションプランにあるような、捕獲・収容・殺処分によるものではなく「TNR活動及び保護・譲渡活動の推進」へと方向を転換すべき。方向転換を実現できれば、毎年億単位にのぼる税金の無駄遣いを避けることができ「猫の保護」と「希少種保護」という目的が同時に達成できる。

第2回 ノイヌ・ノネコPT(2023.10.18)

(1)環境省から第1回PTの積み残し事項の説明

■前回の質問①:奄美とやんばるの予算はどうなっているか?

(環境省)奄美大島及び沖縄島北部やんばる地域において実施したノネコ対策(捕獲を含む業務)について、過去5年間の契約額は以下。

奄美大島・沖縄島北部やんばる地域 契約額

●業務概要(奄美大島):ノネコ及び在来種の生息状況モニタリング、ノネコ捕獲等
●業務概要(沖縄島北部やんばる地域):外来哺乳類の生息情報収集(ヒアリング等)、生息状況調査(センサーカメラ調査等)、ノネコ捕獲等

  奄美大島・契約額 沖縄島北部やんばる地域・契約額
平成30年度(2018年) 20,012,400円 2,340,000円
令和元年(2019年) 39,600,000円 3,894,000円
令和2年(2020年) 38,874,000円 3,905,000円
令和3年(2021年) 46,200,000円 3,487,000円
令和4年(2022年) 60,246,407円 3,377,000円
5年間の合計契約額 204,932,807円 17,003,000円

※奄美大島:上記のほか、かご罠、カメラ等の購入で過去5ヵ年に計1,600万円程度

■前回の質問②:アマミノクロウサギの個体数は増えているが今後レッドリストを見直す計画はあるのか?
(環境省)レッドリストは、概ね10年毎に全体的な見直しを行っており、平成24年度(2012年度)に第4次レッドリストを公表した。これをもとに、生息・生育状況の悪化等により再検討が必要な種について一部見直しを行った「レッドリスト2020」(令和元年度公表)が最新版。

現在、次期レッドリストについて、令和6年度(2024年度)以降の公表を目指し「レッドリスト作成の手引」を基準として選定・評価の作業を実施中。

■前回の質問③:狩猟鳥獣に、ノイヌ・ノネコが指定されている合理的理由は?またそれを削除するとどのようなデメリットやリスクが生じるのか?
(環境省)ノイヌ・ノネコによって在来種が捕食される等の被害を防止するための目的から、狩猟鳥獣にノイヌ・ノネコを入れることは合理的だと考える。
ノイヌ・ノネコを狩猟鳥獣から解除することは、被害防止を補強する手法のうちの一つを失うということになり、被害防止の観点においてリスクである。

■前回の質問④:特定外来生物法では、明治以降に導入されたものを外来生物と扱っている。例えば猫でいうと弥生時代には日本にいるが、ノイヌ・ノネコが「外来」というのはどのように定義されているのか?

(環境省)外来鳥獣についての定義は以下。

鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針
(令和3年環境省告示第69号)(抜粋)
第四 1
(3) 外来鳥獣

ア 対象種
外来鳥獣は、我が国に過去又は現在の自然分布域を有しておらず、人為的に海外から導入 された鳥獣とする。なお、我が国に自然分布域を有しているが、過去又は現在の自然分布域を超えて国内の他地域に人為的に導入され、農林水産業又は生態系等に係る被害を生じさせている又はそのおそれがある鳥獣についても同様の取扱いとする。

イ 管理の考え方
農林水産業又は生態系等に係る被害を及ぼす外来鳥獣については、積極的な狩猟及び被害 の防止の目的での捕獲を推進して、その被害の防止を図る。また、自然分布域を超えて国内の他地域に人為的に野外導入されることがないよう、適正飼養等の普及啓発に努める。特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成 16 年法律第 78 号。以下「外来 生物法」という。)に基づく特定外来生物は、同法に基づく計画的な防除を実施する。

特定外来生物について
(環境省)原則として、概ね明治元年以降に我が国に導入されたと考えるのが妥当な生物を特定外来生物の選定の対象とする。よって、ノネコ・ノイヌについては、特定外来生物に指定されない。

生態系被害防止外来種リストについて
(環境省)生態系被害防止外来種リストとは、生物多様性を保全するため、環境省及び農林水産省が2015年3月に作成・公表したもので、リスト上、ノネコは「緊急対策外来種」ノイヌは「重点対策外来種」として選定されている。

■前回の質問⑤:動愛法が制定されて以降「ノイヌ・ノネコ」の位置づけについて議論されたか。
(環境省)「ノイヌ・ノネコ」の位置づけについて議論された経緯は確認されず、今後の課題。

■前回の質問⑥:動愛法第44条4項1号に「人との関わり」などという明記はないが・・・
(環境省)動物愛護管理法第一条(目的)に規定されている「動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項」は、その内容からして人とのかかわりが前提となっていると考えられ、また、「動物の管理に関する事項」については、鳥獣保護管理法に規定されているような野生鳥獣の管理に関する規制事項は動物愛護管理法には規定されておらず、特定動物の飼養及び保管に関する規制など、人との関わりのある動物の管理について規定している。
こうした動物愛護管理法の趣旨・目的を踏まえ、逐条解説では、動物愛護管理法が対象とする「動物」について「人との関わりがあるものが想定されていることから、純粋な野生状態の下にある動物は含まれないものと考えられる」と記載しているものと考える。
また、動物愛護管理法は、逐条解説の記載に沿って運用されてきており、「動物」の範囲について解釈を変えることは、動物愛護管理法の運用全体に混乱を招くものと考えている。

動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)(抜粋)

(目的)

第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵(かん)養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。

(2)「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」進捗状況

ロードマップの進捗評価を2022年度に実施。2023年10月18日(本日)ロードマップ改正版をHPに公表した。

(3)奄美大島の現状について関係者ヒアリング

■関係者ヒアリング①
「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」は2018年度~2027年度の事業であるが、アマミノクロウサギの数はノネコ駆除が行われていない2003年~2017年の期間にも、2,329頭(環境省中央値)が、11,592頭にまで増加し、増加率をみても、駆除を始めた2018年からのものと殆ど同じである。よって「ノネコ駆除」と「アマミノクロウサギの増加」に相関関係はない、と断定できるので、これまで数億円の税金を掛けてきたこの計画を即刻中止頂きたい。

■関係者ヒアリング②

【ノネコ管理計画と現状のギャップについて】

  • 計画⇒殺処分も含めた年間予算5,000万円(殺処分の為の予算1頭:3万円が計上)
  • 現状⇒殺処分ゼロ
     
  • 計画⇒森林内のネコはノネコがほとんどと推測
  • 現状⇒多くが耳カット済(不妊手術済)かつ飼い猫だと推測されるほど人馴れした猫
    ※耳カット済猫の割合:1年目11%⇒2年目17%⇒3年目22%⇒4年目38%⇒5年目46%と年々増加している。

     
  • 計画⇒1年間で300匹のノネコを捕獲
  • 現状⇒5年間で489匹だけ
     
  • 計画⇒希少種生息域(森林内)で捕獲
  • 現状⇒市街地に隣接したエリアで捕獲

ノネコ捕獲頭数の推移

  捕獲数 譲渡数 備考
2018年度 43頭 43頭 ・ノネコ管理計画策定、捕獲開始。
・固有種や希少種が多く生息していると思われる南西部の森林にのみ捕獲機設置。
2019年度 125頭

123頭

 

 

・捕獲機の設置場所などのノウハウを得たため捕獲数増加か。
・アマミノクロウサギを捕食するマングース捕獲数がゼロとなる。

(※捕獲数との差の2頭は収容中の死亡)

2020年度 27頭 27頭 ・ノネコの生息域とおぼしき場所に設置しても捕まらなくなった。
・2020年10月16日ロードマップ策定。
2021年度 124頭 124頭 ・ロードマップに沿って島内全域に捕獲域を広げた。
・捕獲数が減少したため、市街地に近い森林も含めた。
・奄美大島が世界自然遺産に
2022年度 101頭 101頭 ・アマミのクロウサギのロードキル(交通事故死)数が過去最多に。
2023年度 71頭

70頭

(※捕獲数との差の1頭は収容中の死亡)

※上記の他、飼い猫とみられるネコが30頭(2018年1頭、19年3頭、20年3頭、21年5頭、22年8頭、23年10頭捕獲されており、19頭は飼い主に返還済み、11頭は公示後保健所に引き渡している。

【要望】譲渡にかかる費用支援

年間5,000万円にも及ぶ予算の一部を空輸費・1日330円の延長飼養費(1週間の収容を超えると自治体へ払う1日の費用)・医療費などに充ててほしい。
※現在、空輸費、医療費、譲渡までのお世話代すべてボランティアが負担。

意見交換
  • 2団体から現状の報告があったが、反論はあるか?
  • (環境省)細かい数字が定かではないので確認したい。
     
  • 数字を精査すると前回から何度も言っている。ロードマップまで作っているのにクロウサギの増加について精査していないというのはおかしい。始めてしまったから、辻褄を合わせるために強引にやり続けているとしか見えない。反論をするのであればもっと具体的な数値、また答弁をしていただかないと先に進まない。
  • (環境省)クロウサギについては、今年の6月1日に最新の個体数の推定データを出している。過去の見積もりは過大だったという指摘を専門家から受けた事もあり最新のデータを出している。それに基づいて数字は確認したい。
    ※令和3(2021)年度時点のアマミノクロウサギは奄美大島及び徳之島で合わ せて 11,549 頭から 39,162 

     
  • 捕獲される猫の78割が人に慣れている。ロードマップには「外に生息するネコを奄美大島から全部駆除しよう」と計画されている。それは、ノネコ駆除の名を借りた「野良猫駆除」ではないか。実際はノネコはもういないと思っているが、「ノネコの発生源」であるとか「ノネコ予備軍」と言って、野良猫や、飼い主表示のない放し飼いのネコを全部私たちが引き取っている。これは本当に希少種保全のための駆除なのか?
  • (環境省)駆除や殺処分が目的ではなく、森林の中から移動させるのが目的で、全部駆除しようとか、街中のものまで駆除しようとかは思っていない。移動させる、というのが一番のポイント。森林の中にいついてしまう事を防ぐために移動させる、といのがこの計画の大きなポイントだと思っている。
  • クロウサギは何万頭まで増やすつもりなのか?何万頭なら適正な数だと思っているのか。最終的なビジョンはどこにあるのか。
  • ​(環境省)健全な生態系を目指している。数字でクロウサギが何頭まで増えたら終わり、とはしていない。しかしゴールというのはどこかに設けることは必要な視点だと思う。
     
  • ノネコ管理計画に、環境省だけでこの5年間で2億円近いお金を投入している。無駄な税金を使うのではなく、一度立ち止まって、本当にノネコっているの?というような根本的な議論をする必要がある。
     
  • 省内でも議論してほしい。定義はあっても現実には曖昧、ほとんど捕獲は野良猫。この政策そのものの立法理由がない、根拠がない。見直すべきだと思う。
(4)ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン進捗状況報告

10月中にはなんとか出したいと思っている。⇒その後10月27日に下記資料が発表された。

第1回 ノイヌ・ノネコPT(2023.09.13)

(1)ノイヌ・ノネコPTの開催について

(福島議員)「ノイヌ・ノネコPT」とは犬猫殺処分ゼロを目指す動物愛護議員連盟の中に新たに発足したPTで、メンバーは基本「動物愛護法改正PT」と同様のメンバーとし、開催頻度は月に1回程度を考えている。
ここでの議論に基づき、最終的にはある種の提言等に繋げていきたい。

(2)「ノイヌ・ノネコ」の問題点について

■「ノイヌ・ノネコ」の定義及びその現状について(環境省 鳥獣保護管理室 室長 宇賀神様)
1.ノイヌ・ノネコの定義

  • ノイヌ・ノネコ⇒飼主の元を離れて常時山野等にいて専ら野生生物を捕食し生息している個体。
  • 野良犬・野良猫⇒飼主の元を離れていても、市街地または村落を徘徊している個体。
  • ノイヌ・ノネコは、生物学的にはペットとして飼われている犬や猫と変わらない。

2.現状について

  • ノイヌ・ノネコは、昭和24年度から鳥獣保護管理法における狩猟鳥獣に指定されている。
  • 狩猟鳥獣の定義については、狩猟鳥獣管理法第2条第7項(下記参照)に明記されている。
  • 狩猟鳥獣は現在、鳥類では26種類。獣類では20種類で登録(下記参照)されている。​

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)(抜粋)
第二条
 この法律において「狩猟鳥獣」とは、希少鳥獣以外の鳥獣であって、その肉又は毛皮を利用する目的、管理をする目的その他の目的で捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)の対象となる鳥獣(鳥類のひなを除く。)であって、その捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれのないものとして環境省令で定めるものをいう。

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則(平成十四年環境省令第二十八号)(抜粋)
別表第二 狩猟鳥獣(第三条関係)

鳥類(26種類)
カワウ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ(コシジロヤマドリを除く。)、キジ、コジュケイ、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス

獣類(20種類)
タヌキ、キツネ、ノイヌノネコ、テン(ツシマテンを除く。)、イタチ(雄)、シベリアイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌ-トリア、ユキウサギノウサギ

3.狩猟鳥獣の選定・見直しについて

  • 狩猟鳥獣の選定・見直しは、基本指針(鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針)の考え方に従い行う。
  • 鳥獣保護管理事業計画に係る基本指針を5年毎に見直すとの規定があり、その際、対象となる狩猟鳥獣も見直す。
  • 直近も手続き(2022年9月)しており、鳥類のゴイサギとバンを狩猟鳥獣から外した。

■「ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン」の進捗状況について(環境省 希少種保全推進室 室長 河野様)

  • こちらの計画に関しては、沖縄県・国頭村・大宜味村・東村・環境省沖縄奄美自然環境事務所の5者で取りまとめを進めている。
  • 昨年の秋に、案を公表し、パブリックコメントの手続きをし、現在、その回答の取りまとめ、対応方針の取りまとめを行っている。
  • パブリックコメントの回答は、10月上旬を予定だが確定ではない。
  • 運用の開始も関係機関で協議中である。運用開始の際は周知期間等を設け、準備説明会の開催も検討している。​

■関係者ヒアリング①

  • 動物愛護法における犬猫の扱いと鳥獣保護法による犬猫の扱いに矛盾がある点が問題。
  • 昭和24年10月1日の施行規則の改正によってノイヌ・ノネコが狩猟鳥獣として定められた。
  • 昭和38年衆議院農林水産委員会で若江農林技官は、ノイヌ・ノネコとノライヌ・ノラネコの区別が非常に困難であるとの認識を示しながら「従前の狩猟鳥獣からこれを外すという特段の理由がありませんので、従前通り入れて参りたい」と語っていた。
  • しかしその後、昭和48年に動物保護管理法が制定されて犬猫が保護動物になったので、この時に狩猟鳥獣からノイヌ・ノネコを除外すべき特段の理由が発生した、という事が言え、この段階で、狩猟鳥獣としてのノイヌ・ノネコに関する文は、死文となった。と解釈するのが合理的ではないか。
  • しかし、平成14年に鳥獣保護法が全面改正し、それを踏まえ鳥獣保護法施行規則も制定されたが、その中に狩猟鳥獣としてノネコ・ノイヌを残してしまった。この時の改正が議論された第154回の国会でノネコ・ノイヌの問題を議論した形跡がほとんどない。
  • 特段の理由があるのか、ないのか、も議論せず、漫然と残してしまった。という事が言える。このような規定が残った事によって、つい最近もノラネコを殺害して、ノネコだと考えていたとした事件が起こってしまった。
  • 希少動物の保護のために、ノネコや、ノイヌの捕獲を行うことが必要であるなら、鳥獣保護法にこのような規定を残すのではなく、希少動物の保護のための別の法律の中に、そのような目的に特化した規定を設けるべき。

■関係者ヒアリング②

  • 国が明確にノネコ、ノラネコの定義を示してはいるが、事実上判別は不可能
  • ノラネコというのは、所謂愛護動物の猫。愛護動物を殺傷した場合、500万円以下の罰金又は5年以下の懲役となっている。やむを得ず殺す場合は安楽死せねばならないとされているが、これがノネコと判断された場合、狩猟動物ですから、捕獲罠に入った狩猟動物の殺傷方法に法的規制はなく、殺す場合も苦痛など一切配慮はなくていい、となっている。
  • 北海道厚岸町(あっけしちょう)で、2020年度にノイヌ11頭を銃殺駆除していた。(2016年度からの3年間には39頭、16頭、25頭を銃殺。)
    厚岸町は「ノライヌの銃殺はしておりません。ノイヌの駆除を実施しています。」と説明していた。また駆除の理由は「毎年、子牛を襲うなどの農業被害や人を威嚇するという事案などが発生していたため」としたが「子牛を襲う」という事から、専ら野生生物を捕食していないことが分かるし、農業被害が起きていることから、人の生活圏、市街地、又は村落に出てきた、という事で、常時山野にいない。と言える。
  • このことから、国が示したノイヌの定義から外れていると考えられる。2021年厚岸町は全国からの抗議を踏まえ「今後は銃器の使用を辞めノイヌもノライヌとして対応していく」と公表した。
  • 広島県呉市の山中で、今年(2023年)2月上旬に起きた猫殺傷事件は「ノネコだから捕獲した」「動物の殺傷になんら法的規制はなく、それを公開する事に何ら問題はない」と考えていた大学院生による犯行。
  • これは法制度を悪用し、合法にみせかけた悪質的な犯罪であり、ノネコ・ノイヌの指定があったために、起こった事件であると考えている。
  • 鳥獣保護管理法の狩猟鳥獣からノイヌ・ノネコを削除するよう要望する。
(3)意見交換
  • アマミノクロウサギの個体数は、12年の間に10倍に増えて推定生息数は約15,000頭。(2003年:2,000~ 4,800頭⇒2015年:15,200~39,900頭)奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画は2018年に事業を開始しており、23年8月時点でのノネコの捕獲数は485頭。アマミノクロウサギを絶滅危惧種のレッドリストから外す、という検討はしているのか。
  • (環境省)数が増えていることを踏まえて、見直しはしていく。今順次分類群ごとに見直しをしていますので、何年か後になるかわかりませんが、令和6年度(2024年度)以降としている。
  • 今まで「これは確実にノネコだ」と、完全に証明できた例はあるのか?
  • (環境省)狩猟において、ノネコが捕獲される、という前提については、狩猟免許を取得した方が、適正な狩猟の範疇の中で捕っていくというかたちになる。その判断というのは、個々のハンターに任されている。
  • 何を持ってノネコと断定して殺しているのか?その確認はどのように取っているのか?推定の中でやっている事業なのであれば、アマミノクロウサギも増えている事からしっかりと見直さないといけないのではないか。
  • (環境省)ノネコとノラネコの定義は出ているが、運用が難しい中で、実際にヤンバルだったり、そういった地域での猫の捕獲については、罠を使ってどちらでも問題ないような形にしながら捕獲していると聞いている。生け捕りという形で運用している。
  • 奄美大島において猫がいなくなる、というのは、過剰な捕獲に当たらないのか?
    ある一定の地域からその動物種をなくす、というのはその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれ、だと思うが。
  • (環境省)基本指針(下記参照)の狩猟鳥獣の部分、イ 保護及び管理の考え方 の「ただし、特に管理を強化すべき外来鳥獣である狩猟鳥獣については、その持続的な利用の観点での保護の取組は行わない。」としており、ノイヌ・ノネコは外来鳥獣のため保護の取組は行わない。

鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針
(令和3年環境省告示第69号)(抜粋)
第四 1
(2) 狩猟鳥獣

ア 対象種
狩猟鳥獣は、以下の 1)及び 2)の選定の考え方に基づき、環境省令で定めるものとする。

 1) 地方公共団体や狩猟者等の要請を踏まえ、狩猟の対象となり得ると認められるもの。
 2) 狩猟鳥獣とした場合に、当該捕獲等が、次の①~③のいずれの観点でも著しい影響を及ぼさないもの。

 ① 当該鳥獣の保護の観点
 ② 生物多様性の確保の観点
 ③ 社会的・経済的な観点

この際、対象となる種の狩猟資源としての価値、生息状況、繁殖力等の生物学的な特性、地域個体群の長期的な動向、当該種による農林水産業又は生態系等に係る被害の程度の側面 等を踏まえ、総合的に検討する。なお、外来鳥獣については、当該鳥獣が狩猟の対象となることによる当該鳥獣の計画的な管理への影響の有無等についても考慮する。

国は、鳥獣保護管理事業計画に係る基本指針を5年ごとに見直す際、対象となる鳥獣の見直しを行う。

イ 保護及び管理の考え方
国は、全国的な狩猟鳥獣の保護の見地から、捕獲等の制限を行うとともに、必要に応じて狩猟鳥獣の指定解除の検討を行う。また、都道府県においても、都道府県が作成したレッドリスト等の情報を活用し、休猟区の指定、捕獲等の制限等によって、狩猟鳥獣の持続的な利 用が可能となるよう保護を図る。

ただし、特に管理を強化すべき外来鳥獣である狩猟鳥獣については、その持続的な利用の観点での保護の取組は行わない。​

  • 特定外来生物法では、明治以降に導入されたものを外来生物と扱っている。
    例えば猫でいうと弥生時代には一気に到来している。奄美大島では少なくとも文献資料を見る限り江戸時代には既に猫がいる。この場合「外来」とはどのように定義されているのか?また、ノイヌ・ノネコが外来種だというのは通知や文献など何か確認しているものはあるのか?
  • (環境省)狩猟鳥獣の中で、外来と考えているのは、鳥:コジュケイ、哺乳類:ノイヌ・ノネコ、シベリアイタチ、ミンク、アライグマ、ハクビシン、台湾リス、ヌートリアの9種類。この法的根拠に関しては後日報告をする。
  • 大きな変化があったときに、狩猟鳥獣から外す、という議論になってくると思うが、やはり、広島の事件というのは非常に大きな転換だろうと思う。つまり環境省がこれまで、ノネコであれば、捕獲して殺してもいい、というメッセージを発信してきた結果、犯罪をする状況になかった一般市民が犯罪に手を染めてしまった。広島の事件、これからどういう判決が司法の判断で出るかはさておき、外形的な事実として「ノネコであるから、どんな虐待をしてもいいと思った」という事で、逮捕に至るような行為をしてしまったという事自体は、やはり役所としては重く受け止めるべきだと思う。
  • 44条4項の1号(下記参照)は、人が占有していなくてもいい、というものだが、その中に「いえうさぎ」と「いえばと」があるが、野兎と雪ウサギ、或いは土鳩?(キジバト)と分けているという事は、鳥獣保護管理法とは違うのだ、という事を法律的にも明記している。

動物の愛護及び管理に関する法律昭和四十八年法律第百五号)(抜粋)

第四十四条

 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。

 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

  • 鳥獣保護管理法でノネコ・ノイヌが規定されているのは、法律施行規則で、片方は動物愛護法という法律で、法律は規則より優先するので、解釈とすれば、動物愛護法の法律を優先して、ノイヌだろうが、ノネコだろうが、犬であり、猫であると、いう原則に戻すべきではないか。

というような議論が重ねられた。環境省がいうように、ノイヌ・ノネコは生物学的にはペットとして飼われている犬や猫と変わらない訳なので、動物愛護法と鳥獣保護法の矛盾について議論し、整合性の取れた施策にするべきだ。今後もノイヌ・ノネコPTの内容をレポートしていく。

(2023年9月27日)