第2回(2023/10/18)|第1回(2023/09/13)
●業務概要(奄美大島):ノネコ及び在来種の生息状況モニタリング、ノネコ捕獲等
●業務概要(沖縄島北部やんばる地域):外来哺乳類の生息情報収集(ヒアリング等)、生息状況調査(センサーカメラ調査等)、ノネコ捕獲等
奄美大島・契約額 | 沖縄島北部やんばる地域・契約額 | |
---|---|---|
平成30年度(2018年) | 20,012,400円 | 2,340,000円 |
令和元年(2019年) | 39,600,000円 | 3,894,000円 |
令和2年(2020年) | 38,874,000円 | 3,905,000円 |
令和3年(2021年) | 46,200,000円 | 3,487,000円 |
令和4年(2022年) | 60,246,407円 | 3,377,000円 |
5年間の合計契約額 | 204,932,807円 | 17,003,000円 |
※奄美大島:上記のほか、かご罠、カメラ等の購入で過去5ヵ年に計1,600万円程度
■前回の質問②:アマミノクロウサギの個体数は増えているが今後レッドリストを見直す計画はあるのか?
⇒(環境省)レッドリストは、概ね10年毎に全体的な見直しを行っており、平成24年度(2012年度)に第4次レッドリストを公表した。これをもとに、生息・生育状況の悪化等により再検討が必要な種について一部見直しを行った「レッドリスト2020」(令和元年度公表)が最新版。
現在、次期レッドリストについて、令和6年度(2024年度)以降の公表を目指し「レッドリスト作成の手引」を基準として選定・評価の作業を実施中。
レッドリスト作成の手引き
■前回の質問③:狩猟鳥獣に、ノイヌ・ノネコが指定されている合理的理由は?またそれを削除するとどのようなデメリットやリスクが生じるのか?
⇒(環境省)ノイヌ・ノネコによって在来種が捕食される等の被害を防止するための目的から、狩猟鳥獣にノイヌ・ノネコを入れることは合理的だと考える。
ノイヌ・ノネコを狩猟鳥獣から解除することは、被害防止を補強する手法のうちの一つを失うということになり、被害防止の観点においてリスクである。
■前回の質問④:特定外来生物法では、明治以降に導入されたものを外来生物と扱っている。例えば猫でいうと弥生時代には日本にいるが、ノイヌ・ノネコが「外来」というのはどのように定義されているのか?
⇒(環境省)外来鳥獣についての定義は以下。
鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針
(令和3年環境省告示第69号)(抜粋)
第四 1
(3) 外来鳥獣
ア 対象種
外来鳥獣は、我が国に過去又は現在の自然分布域を有しておらず、人為的に海外から導入 された鳥獣とする。なお、我が国に自然分布域を有しているが、過去又は現在の自然分布域を超えて国内の他地域に人為的に導入され、農林水産業又は生態系等に係る被害を生じさせている又はそのおそれがある鳥獣についても同様の取扱いとする。
イ 管理の考え方
農林水産業又は生態系等に係る被害を及ぼす外来鳥獣については、積極的な狩猟及び被害 の防止の目的での捕獲を推進して、その被害の防止を図る。また、自然分布域を超えて国内の他地域に人為的に野外導入されることがないよう、適正飼養等の普及啓発に努める。特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成 16 年法律第 78 号。以下「外来 生物法」という。)に基づく特定外来生物は、同法に基づく計画的な防除を実施する。
:特定外来生物について
⇒(環境省)原則として、概ね明治元年以降に我が国に導入されたと考えるのが妥当な生物を特定外来生物の選定の対象とする。よって、ノネコ・ノイヌについては、特定外来生物に指定されない。
:生態系被害防止外来種リストについて
⇒(環境省)生態系被害防止外来種リストとは、生物多様性を保全するため、環境省及び農林水産省が2015年3月に作成・公表したもので、リスト上、ノネコは「緊急対策外来種」、ノイヌは「重点対策外来種」として選定されている。
日本の外来種対策_生態系被害防止外来種リスト
■前回の質問⑤:動愛法が制定されて以降「ノイヌ・ノネコ」の位置づけについて議論されたか。
⇒(環境省)「ノイヌ・ノネコ」の位置づけについて議論された経緯は確認されず、今後の課題。
■前回の質問⑥:動愛法第44条4項1号に「人との関わり」などという明記はないが・・・
⇒(環境省)動物愛護管理法第一条(目的)に規定されている「動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項」は、その内容からして人とのかかわりが前提となっていると考えられ、また、「動物の管理に関する事項」については、鳥獣保護管理法に規定されているような野生鳥獣の管理に関する規制事項は動物愛護管理法には規定されておらず、特定動物の飼養及び保管に関する規制など、人との関わりのある動物の管理について規定している。
こうした動物愛護管理法の趣旨・目的を踏まえ、逐条解説では、動物愛護管理法が対象とする「動物」について「人との関わりがあるものが想定されていることから、純粋な野生状態の下にある動物は含まれないものと考えられる」と記載しているものと考える。
また、動物愛護管理法は、逐条解説の記載に沿って運用されてきており、「動物」の範囲について解釈を変えることは、動物愛護管理法の運用全体に混乱を招くものと考えている。
動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)(抜粋)
(目的)
第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵(かん)養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。
ロードマップの進捗評価を2022年度に実施。2023年10月18日(本日)ロードマップ改正版をHPに公表した。
「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」ロードマップの進捗評価について
■関係者ヒアリング①
「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」は2018年度~2027年度の事業であるが、アマミノクロウサギの数はノネコ駆除が行われていな2003年~2017年の期間にも、2,329頭(環境省中央値)が、11,592頭にまで増加し、増加率をみても、駆除を始めた2018年からのものと殆ど同じである。よって「ノネコ駆除」と「アマミノクロウサギの増加」に相関関係はない、と断定できるので、これまで数億円の税金を掛けてきたこの計画を即刻中止頂きたい。
■関係者ヒアリング②
【ノネコ管理計画と現状のギャップについて】
ノネコ捕獲数 | 備考 | |
---|---|---|
2018年度 | 43頭 | ・ノネコ管理計画策定、捕獲開始。 ・固有種や希少種が多く生息していると思われる南西部の森林にのみ捕獲機設置。 |
2019年度 | 125頭 | ・捕獲機の設置場所などのノウハウを得たため捕獲数増加か。 ・アマミノクロウサギを捕食するマングース捕獲数がゼロとなる。 |
2020年度 | 27頭 | ・ノネコの生息域とおぼしき場所に設置しても捕まらなくなった。 ・2020年10月16日ロードマップ策定。 |
2021年度 | 124頭 | ・ロードマップに沿って島内全域に捕獲域を広げた。 ・捕獲数が減少したため、市街地に近い森林も含めた。 ・奄美大島が世界自然遺産に |
2022年度 | 101頭 | ・アマミのクロウサギのロードキル(交通事故死)数が過去最多に。 |
2023年度 | 71頭 |
【要望】譲渡にかかる費用支援
年間5,000万円にも及ぶ予算の一部を空輸費・1日330円の延長飼養費(1週間の収容を超えると自治体へ払う1日の費用)・医療費などに充ててほしい。
※現在、空輸費、医療費、譲渡までのお世話代すべてボランティアが負担。
10月中にはなんとか出したいと思っている。⇒その後10月27日に下記資料が発表された。
ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン 沖縄島北部における生態系保全等のためのネコ管理・共生行動計画の策定について(2023年10月27日)
■「ノイヌ・ノネコ」の定義及びその現状について(環境省 鳥獣保護管理室 室長 宇賀神様)
1.ノイヌ・ノネコの定義
2.現状について
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)(抜粋)
第二条
7 この法律において「狩猟鳥獣」とは、希少鳥獣以外の鳥獣であって、その肉又は毛皮を利用する目的、管理をする目的その他の目的で捕獲等(捕獲又は殺傷をいう。以下同じ。)の対象となる鳥獣(鳥類のひなを除く。)であって、その捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれのないものとして環境省令で定めるものをいう。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則(平成十四年環境省令第二十八号)(抜粋)
別表第二 狩猟鳥獣(第三条関係)
鳥類(26種類)
カワウ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ(コシジロヤマドリを除く。)、キジ、コジュケイ、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス
獣類(20種類)
タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(ツシマテンを除く。)、イタチ(雄)、シベリアイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌ-トリア、ユキウサギ、ノウサギ
3.狩猟鳥獣の選定・見直しについて
■「ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン」の進捗状況について(環境省 希少種保全推進室 室長 河野様)
■関係者ヒアリング①
■関係者ヒアリング②
鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するための基本的な指針
(令和3年環境省告示第69号)(抜粋)
第四 1
(2) 狩猟鳥獣
ア 対象種
狩猟鳥獣は、以下の 1)及び 2)の選定の考え方に基づき、環境省令で定めるものとする。
1) 地方公共団体や狩猟者等の要請を踏まえ、狩猟の対象となり得ると認められるもの。
2) 狩猟鳥獣とした場合に、当該捕獲等が、次の①~③のいずれの観点でも著しい影響 Ⅰ 鳥獣保護管理事業の実施に関する基本的事項 第四 鳥獣の特性に応じた鳥獣保護管理事業の実施 12 を及ぼさないもの。
① 当該鳥獣の保護の観点
② 生物多様性の確保の観点
③ 社会的・経済的な観点
この際、対象となる種の狩猟資源としての価値、生息状況、繁殖力等の生物学的な特性、地域個体群の長期的な動向、当該種による農林水産業又は生態系等に係る被害の程度の側面 等を踏まえ、総合的に検討する。なお、外来鳥獣については、当該鳥獣が狩猟の対象となることによる当該鳥獣の計画的な管理への影響の有無等についても考慮する。
国は、鳥獣保護管理事業計画に係る基本指針を5年ごとに見直す際、対象となる鳥獣の見直しを行う。
イ 保護及び管理の考え方
国は、全国的な狩猟鳥獣の保護の見地から、捕獲等の制限を行うとともに、必要に応じて狩猟鳥獣の指定解除の検討を行う。また、都道府県においても、都道府県が作成したレッドリスト等の情報を活用し、休猟区の指定、捕獲等の制限等によって、狩猟鳥獣の持続的な利 用が可能となるよう保護を図る。
ただし、特に管理を強化すべき外来鳥獣である狩猟鳥獣については、その持続的な利用の観点での保護の取組は行わない。
動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)(抜粋)
第四十四条
4 前三項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
というような議論が重ねられた。環境省がいうように、ノイヌ・ノネコは生物学的にはペットとして飼われている犬や猫と変わらない訳なので、動物愛護法と鳥獣保護法の矛盾について議論し、整合性の取れた施策にするべきだ。今後もノイヌ・ノネコPTの内容をレポートしていく。
(2023年9月27日)