拠点である練馬での活動をもとにプレゼンテーションがあり、適切な地域猫活動を進めていけば近隣住民とのトラブルも軽減し、凶暴だった野良猫も穏やかな地域猫へ変わっていくことなど、人にとっても猫にとっても望ましい環境が整うとのこと。
また、練馬区の手術数・引取数の10年間の統計によると、区の助成による去勢・不妊手術数が10年間で15,364頭、そして区内から東京都動物愛護相談センターへの引取数が平成19年度の136頭が平成26年度には29頭と激減。
また、練馬区では“地域の力で野良猫問題を減らしていきましょう”と区が推奨する野良猫問題の解決策をまとめたチラシを作成するなど「地域猫活動とは何か」また、行政による「地域の取り組みへの支援」などの周知にも積極的に努めている。
黒澤さん
地域住民の理解を得ながら、周辺に住んでいる人と地域の社会問題ととらえ、取り組むことが大事。猫が増えないようまた糞や置き餌の問題等不衛生にならないよう、地域とのコミュニケーションを取りながら進めていくこと。
工藤さん
地域猫の効果は、引取り数の低下等データを見れば明確。これまで地域猫活動を行っていなかったら、ここまで多くの人たちと係ることがなかった。地域猫活動は地域の交流と人間関係の広がりとしての効果もある。
太田先生
地域猫は一つの手段。その概念にとらわれことなく、そこにある猫の命を救ってほしい。本来はすべての猫が暖かい室内で飼育されるべきだが、現実はお腹を空かせた猫たちが厳しい環境の中で生活せざるを得ないので、そんな猫たちのためにぜひ堂々と猫の餌やりを続けてほしい。
溝上さん
全ての人に理解を得られず地域猫の難しさを感じるため、地域猫活動にこだわらず行いたい人がすればいい。
行政との連携が困難とのコメントが多く寄せられるが…。
黒澤さん
行政は、犬猫だけでなく対地域住民についても考え進めなくてはならないため、行政の立場から、ボランティアの方との距離がなかなか縮まらないこと、物事を進めるにあたり時間がかかる。黒澤さんが行政担当者に言っていることとして。
現場を知り、どのようにしたら上手くいくのかを地域住民、ボランティアの方々とコミュニケーションを通じ粘り強く探っていく事が大切。
工藤さん
「地域猫活動」の秘訣は「地域住民とのコミュニケーション」。ボランティアも行政の方々も、家に帰れば「地域住民」。地域猫の活動として一軒一軒のお宅を訪ね「お困りごとはないですか?」と地域を聞いて回りそこに問題があれば仲介役として間に入る。
行政・地域住民・専門ボランティアの三者協働の形が望ましく、地域猫活動をすれば町も綺麗になり、住民同士が仲良く住みよい街になるという。
「地域猫活動」=「地域環境と地域社会への貢献活動」。
溝上さん
野良猫問題には、もう少し行政にも愛護に理解を示し取り組んでほしい。里親会も行政で開いていただきたい。
工藤さん
野良猫はすべての人の責任。昭和48年にはすでに動物保護法が施工され、捨て猫等に対する「遺棄虐待」は3万円以下の罰則があったにも関わらず、全国の管轄行政は、執行はおろか広報も行っていなかった。また30年、40年前には地域住民にも問題があり、不妊去勢手術をせず、外で自由にさせる飼い主が大勢いた。「ご近所同士、余計なことを言って面倒を起こしたくない」など住民の多くが地域環境問題として認識せず無関心でやり過ごし続け、手段を講じなかったことは明確な「地域不作為」である。
溝上さん
地域猫活動を自治会に提案すると、「必要ない」と反対されることもあるため、
自治会⇒理解を得る⇒手術 ではなく
手術⇒理解を得る⇒地域猫活動 の順が望ましい。
工藤さん
まず〇匹手術したので、引き続き続けます。後で自治体の方が読み直せるようチラシを渡し、理解を得る。「猫の問題」ではなく「地域の問題」ととらえることが重要。
飼い主三原則
今回参加した「地域猫シンポジウム」。
あらゆる立ち位置があり、そこに考えの違いはありますが、野良猫の数を今以上に増やさず、一世代の生を全うさせ、環境被害を少なくするために行政・地域住民・ボランティアの人間関係を築き、更なる人と動物が平和に暮らせる環境へと発展していくことが望まれます。