京都ブリーダー無資格帝王切開事件(2023年4月)

 京都ブリーダー無資格帝王切開事件

第3回公判傍聴(2023年9月)

9月12日、京都府京丹波町の犬のブリーダーで代表を務めていた夫とその妻の第3回公判が京都地裁であり傍聴してきました。

検察官
日本獣医師会によると、家庭飼育動物の診療、麻酔、MC装着は動物福祉愛護の観点で…、
農水の資料によると、注射針を使った獣医療行為は獣医師がやらねばならない
(※声が小さい上に発言が明瞭でなく全く聞き取れず。内容が不確実であることをご了承ください)

弁護人

  • 去勢手術について、畜産関係の公益法人によると除角、去勢においては獣医師指導のもと、健康等確認し行う。
  • 農水省畜産振興課の家畜のQ&Aでは、「去勢、断尾、歯切り等を行う際に、「獣医師等の指導の下」とあるが、「等」とは誰を指すのか。に対し「獣医師等の「等」は、当該処置に係る知識と熟練した技術を有する者である。
  • その他、日本獣医師会や東京都、製薬会社の資料を例にあげ、
    ・ペットを所有している者の外科は診療には当たらない、としているため獣医師法違反
     ではない。
    ・利益を持ってではないため業務ではない。
    ・自己の所有する財産権のある動物を所有者自ら行っても診療行為に当たらない。
    ・製薬会社の職員が実験動物に行う場合それに該当しない。

弁護側としては、公訴事実もなく追加立証もないことから公益目的に従って意見を弁論で述べるだけ。


前回に続き非常に納得のいかない公判内容でした。
そもそも獣医師法違反だけで問うから、医療行為に当たらないとか利益は得ていないなどといった理屈になります。動愛法違反であれば、明らかに無資格者による帝王切開は殺傷行為になるでしょう。
なんの知識も技術もない素人が行う帝王切開によって、これまでどれだけの動物が痛み苦しんだのか、そこでどんな行為をしてきたのか、また薬剤の入手など、それらが全く明らかにされない裁判で、ただただ獣医師法は無罪であるとその理屈だけ並べられる裁判を、傍聴席から聞くことしか出来ない世の中の不条理を心底痛感します。

次回は、11月上旬に被告人質問、情状証人。下旬に論告、結審 となります。

第2回公判傍聴(2023年6月)

京都WANLINE(ワンライン)第2回公判

6月13日、京都府京丹波町の犬のブリーダーで代表を務めていた夫とその妻の第2回公判が京都地裁であり傍聴してきました。

傍聴レポート

罪状認否
元代表の男、前回の公訴事実について変更はありません。
弁護人、構成要件に当たらないので無罪を主張します。

元代表の妻、変更はありません。
弁護人、元代表同様、構成要件に当たらないので無罪を主張します。

弁護人冒頭陳述
元代表、元代表の妻共通
帝王切開とマイクロチップの装着、獣医師法第17条飼育動物に当たらないので無罪

獣医師法

第十七条 獣医師でなければ、飼育動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫、鶏、うずらその他獣医師が診療を行う必要があるものとして政令で定めるものに限る。)の診療を業務としてはならない。

自己所有の犬であり、自己所有の動物は飼育動物に当たらない。診療業務とは言えない。

他人所有の物で、診療に限定されていることから獣医師法第17条に抵触しない。

マイクロチップの装着も診療行為とは考えられない。
農水省に問い合わせたところ、除角、断尾、歯切り、烙印も獣医師とは限らない。
利益を持ってやるに限られていて、今回の帝王切開やマイクロチップの装着は、診療ではない。

動物愛護管理法39条2第1項、動愛法施行規則では、獣医師法第三条の免許を取得している者、愛玩動物看護師法第三条の免許を取得している者とあるが、これは動物愛護法であり獣医師法ではない。
畜産動物はよくて犬にだけは違法なのか。自己所有である牛や豚と同じく情状に考慮されなければならない。

次回期日は未定


という非常に納得のいかない陳述でした。このような行為が動愛法で裁かれていないこと自体問題だし、利益を得ていないとか自己所有の動物とか、そういった獣医師法を逆手に取ったこじつけの理屈で無罪を主張することに腹立たしさを感じます。当たり前に考えたら、獣医療を学んだことのない獣医師資格のない素人が、帝王切開やマイクロチップの装着を正しく出来る筈はありません。利益を得ていないからといっても、利益を削減するために獣医に診せず自分達で行っていた訳ですから、間接的に獣医師が得るはずの利益は損なわれていたことになるではないでしょうか。

昨年10月には、大阪府泉佐野市のブリーダーが、獣医師免許を取得していないのに犬にマイクロチップを装着したとして、獣医師法違反と偽造有印私文書行使の罪で有罪判決が出ました。

今回、当協会は、動愛法違反の愛護動物傷害罪(動物愛護管理法第44条1項違反)で再捜査の上、訴追していただくよう京都地方検察庁宛に要望していますが、現在、動愛法違反は問われていません。しかもこの先獣医師法さえも無罪となったら、今後自己所有の動物の安全性が担保されなくなってしまいます。引き続き厳しい処罰を切に望みます。

(2023年6月14日)

京都地方検察庁に訴追の要望書提出

このたび当協会Evaは、京都府京丹波町の犬のブリーダーで代表を務めていた夫とその妻に対する獣医師法違反事件について、愛護動物傷害罪(動物愛護管理法第44条1項違反)で再捜査の上、訴追していただくよう京都地方検察庁宛に要望しました。

獣医師以外による帝王切開は、法令上明確に禁止されています。

第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を
定める省令
(令和3年環境省令第7号)

第2条6号チ
「販売業者~にあっては、販売~の用に供するために犬又は猫を繁殖させる場合であって、帝王切開を行う場合にあっては、獣医師に行わせるとともに、出生証明書並びに母体の状態及び今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受け、5年間保存すること」

この省令は、動物取扱業者の基準遵守義務を定める動物愛護管理法21条1項を受けて環境省が制定し、令和3年6月1日に施行され定められています。(前記省令の施行日と同日に環境省が作成した「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針」の第3の6にも同じ記載があります)。

繁殖犬の帝王切開は、獣医師以外の者が行ってはならないことが法令上明確であり、犬猫の身体に対する重大な侵襲を伴う帝王切開行為は、違法であることはいうまでもなく、動物愛護管理法違反(第44条1項)に該当していると考えます。

帝王切開手術には、感染症や出血、麻酔薬の量やタイミング・管理、術後の疼痛管理などさまざまなリスクがあります。獣医療の知識を得ていない者は、これらの問題点を何一つクリア出来ないことから、無資格者の帝王切開は、到底手術などとは言えず単なる腹を切る殺傷行為に他なりません。本件において、被告人が麻酔をしていたことをもって、みだりに傷つけたとの立証が困難と検察庁が判断したとしても、獣医療に関する知識の全くない無資格者が、適切な麻酔の量やタイミングを図れるはずもなく、また何層にも渡る腹部の切開や縫合の手技も自己流の杜撰なものであったに違いありません。ましてや、素人が術後の疼痛管理を出来る筈はなく、無資格者による帝王切開が、犬にとってどれだけの危険と予後が苦痛であったか火を見るよりも明らかです。
長い期間、獣医療を学び獣医師国家資格を取得した獣医師の技術と経験をってしても、帝王切開は、慎重かつ危険を伴う手術であることから、無資格者が適正に行えるものではありません。

現在、長野地方裁判所松本支部で公判中の長野県松本市、犬の繁殖業者「アニマル桃太郎」の動物虐待事案において、長野地方検察庁松本支部の検察官は、繁殖業者の元代表による無資格・無麻酔帝王切開について、動物愛護管理法違反(第44条1項)として追起訴しました。
被告人は、ドミトールという薬剤を使用していたとして動物傷害罪の成立を争っており、当該薬剤を使用していたかの事実が大きな争点となっていますが、麻酔の有無に関わらず、無資格者が安易に腹部を切開することに相当の苦痛があったであろうことが複数の証人により明らかになっています。

獣医療資格を持たない者による帝王切開について、当協会Evaは、殺傷行為として動物の愛護及び管理に関する法律違反(同法第44条第1項愛護動物殺傷罪)としてあらためて捜査し、訴追していただくよう要望します。

(2023年5月18日)

初公判傍聴(2023年4月)

京都WANLINE(ワンライン)初公判

4月26日、京都府京丹波町のチワワ・ボストンテリア・パグ・フレンチブルドッグ等の犬の繁殖、販売業で代表を務めていた夫とその妻の初公判が京都地裁であり傍聴してきました。

この事件を知ったのは、2月末。長野県松本市の無資格者による帝王切開事件に続き、またもや獣医師免許を持たない者による帝王切開が行われていたことに愕然としました。その内容は、昨年10月に京丹波町事業所内で、フレンチブルドッグ2匹に個体認証用のマイクロチップを注入器で装着した疑い。また、同月1~24日、フレンチブルドッグ3匹とボストンテリア3匹に帝王切開をした獣医師法と動物愛護法違反の疑いです。

傍聴レポート

獣医師法違反について審理
検察の公訴事実
京都府内の繁殖事業者本部内にて、共謀し、
令和4年10月~(おそらく12月までの間)21回、21頭の犬に麻酔をかけ帝王切開をおこなった。また飼育動物2頭に注射器を使いマイクロチップを装着した。

裁判官から黙秘権の告知

罪状認否
元代表:各事案について間違っていない。
弁護人:公訴事実について間違いはなく争わない。が、獣医師法に違反しているか慎重に検討されたい。

元代表の妻:各事案について間違っていない。
弁護人:公訴事実について間違いはなく争わない。が、慎重な判断をお願いしたい。

証拠調べ手続き、冒頭陳述
元代表は、繁殖の代表取締役で元代表の妻は事業本部長。13年前から元代表は、帝王切開を行い元代表の妻、補助をしていた。
マイクロチップは、当初元代表が行っていたがその後元代表の妻が装着をしていた。

平成29年、令和4年に保健所から指導を受けていたが続けていた。

証拠意見
元代表弁護人・元代表の妻弁護人:全て同意します。

各犬の種類、事業所を明らかにするもの、事業所の手術室を明らかにするもの、獣医師の供述調書「マイクロチップ、帝王切開共にやっていない」との旨。
12~13年前に始めたこと、帝王切開は元代表の妻は補助で犬に触れることはない。マイクロチップのやり方を元代表の妻に教えやっていた。
平成29年行政指導があった時は、帝王切開はある程度慣れてきていた。

マイクロチップは令和4年6月に義務化されてから装着率が増え、元代表の妻がやっていた。

次回公判は両名とも6月。


公判では、動物愛護法違反が取り下げられ獣医法違反のみでした。その理由が麻酔をしていたからだとしたら非常に納得いきません。麻酔の量やタイミングはもちろんのこと、獣医師の資格を持たない素人が、帝王切開などといった大掛かりで母犬にも仔犬にもリスクのある手術が満足にできる訳がありません。しかもやったことは認めるが獣医師法に違反しているか慎重に検討して欲しいとは呆れます。

昨年10月には、大阪府和泉佐野市のブリーダーの男が、香港へ輸出販売する犬7頭に対し、獣医師でないのに自宅で注射器を使ってマイクロチップを装着する医療行為を行った獣医師法違反と、輸出する犬2頭の検査を空港で受けた際、獣医師の記名と押印がある偽造の証明書を提出した偽造有印私文書行使の罪で、懲役2年 執行猶予3年の処分が下されました。

今回の事案は、無資格者による殺傷の罪(動愛法44条1項)でも問えるような行為であることから、麻酔いかんによらず厳しい処分を切に望みます。

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