長野県松本市劣悪繁殖事業者を刑事告発・受理(2021年9月)

長野県松本市劣悪繁殖事業者を刑事告発

第4回公判傍聴(2023年5月)

長野松本犬繁殖業者動物虐待第4回公判

第4回目の公判は、5月10日に行われた。

今回の証人は、今から遡ること約13年前に退職した元従業員の男性で、これまでの証人と違い、検察官や弁護人の質問に対し、終始大きな声ではっきりと答え、その内容にブレがないように感じられた。が、今回の証人尋問も、私たちが知る由もない、現場での身の毛もよだつ内容で非常に厳しい内容だった。

この元従業員が勤めていたのは、平成7年(1995年)から平成22年(2010年)の年末までで、アニマル桃太郎の専従スタッフになったのは、入社から9年後の平成16年(2004年)から退職までの6年間。
我々の認識では、これまで傍聴した内容から、無資格・無麻酔で帝王切開を行っていたのは、被告人と、令和3年(2021年)11月に被告人と同じタイミングで逮捕された元従業員の男(第2回目公判の証人)だけだと思っていた。第3回公判証人の女性元従業員も、自分は手伝いのみだと証言していたから。だが今回の元男性従業員は、平成16年(2004年)から退職するまで専従スタッフとして、帝王切開の立ち合いをする中、辞める前の3年間は自分でも帝王切開をしていたと証言した。しかも、行為者の名前として聞いたこともない名前が2つ語られた。被告人の他に4名もの人間が無資格・無麻酔帝王切開を行っていたのだろうか。

 

第2回公判証人

男性元従業員

第3回公判証人

女性元従業員

第4回公判証人

男性元従業員

麻酔について

帝王切開の時、母犬に麻酔をしていた認識はなかったが、術前に母犬の尻にアトニン(陣痛促進剤)を筋肉注射していた

勤務初日に「手術を手伝って欲しい」と言われた時、麻酔について聞いたら「管理が難しいから麻酔はしない選択になった」と言われ麻酔なしで行われた平成16年から、平成19年の終わりか20年の頭までは麻酔あり。それ以降退職する平成22年の年末までは無麻酔。陣痛促進剤は使ったことも見たこともない
麻酔はどこにあったか陣痛促進剤のアトニンは、注射器に取り分け冷蔵庫のポケットに保管していたメスや道具は元々その部屋に置いてあった物で、注射や麻酔薬は見たことがない。出入口の外の冷蔵庫に行ったかは覚えてない麻酔と麻酔を解く薬は、メスなどの道具と一緒に青い桶の中にあり、外に取りに行くことはなかった
犬の様子陣痛促進剤と思っていたアトニンは、実は鎮痛・鎮静のドミトールだったと被告人から聞き、切開中大人しかったのは麻酔の効果だと思ったから納得した頭を左右に振り苦しんで鳴き叫んでいた。ぐったりしてるのは痛みで失神してると思った。後に「麻酔をしていた」と被告人が証言していると聞き、ぐったりしていたのは麻酔が効いてきたからかと思うようになったぐったりしている犬もいれば、麻酔が効いていない犬もいた。死んだ犬もいた。麻酔が効いてきて切る。効いてないと頭を上げたり暴れる。メスで切った反応は鳴き叫ぶ。鳴き方は暴れるような苦しむ鳴き方

弁護人からの反対尋問では、異変があってから数十分で帝王切開を行っていたことは緊急だったから?とか、一定のレベルで”安全”に出来ていたということ?とか、4、5cmも身をよじって動いていたら手元が狂う?というように違和感を感じるものだった。

まるで、帝王切開は、母犬と仔犬を守るために緊急を要してやったことであり、死んだ犬も多くないし回数を重ねたことにより一定のレベルで安全に出来ていたから問題ないだろう。ましてやそんなに動いていたら手元が狂う訳で、本当はやってなかったのでは、とそういった返答を引き出そうとしているのではないか、と思われた。次回の被告人質問では、そのような論理で固め無罪を主張してくるのかも知れない。

今回も非常に長いですが、ぜひ傍聴レポートをお読みください(内容は手元メモがベースでなるべく話した内容に忠実且つ多少の要約等があることをご了承ください)

傍聴記録

嘘を言わない旨の宣誓をし、裁判官から偽証罪の告知
傍聴記録
主尋問(検察官)

大翼建設には、平成7年(1995年717日の設立当初から平成22年(2010年)12月まで働いていて、そこでは土木、技術屋の派遣などを行っていた。ペット事業の専従は、平成16年(2004年)からでそれ以前も朝晩に動物の世話をやっていた。
アニマル桃太郎での業務内容は、寿犬舎で哺乳(母犬に仔犬を付け授乳)させたり、出産の立ち合い(自然分娩・帝王切開)。自然分娩の時は、仔犬を取り上げ羊水を吐かせ、へその緒を切り、ヒーターに乗せる。在籍中の犬舎は寿と中山で間違いない。中山は、人がいない時、掃除や餌やりをしていたことがあった。アニマル桃太郎では、ペット事業部の部長だった。
帝王切開の手伝いは平成16年(2004年)から。自らやり始めたのは平成19年(2007年)の終わりか平成20年(2008年)の頭から3年間は行っていた。それ以前は自分ではやっていない。平成16(2004年)からの立ち合い時は、ケージの準備など。平成19(2007年)の終わりか20(2008年)頭からは、立ち合いもあったし自分でもやっていた。
立ち合いの時は概ね決まったやり方だった。ケージに入っていた母犬の陰部のチェック。緑色の袋が出たり出血したり、体温が上がってきたら、空のケージの上にヒーターとボロ切れを敷き、母犬をケージの四隅に仰向けに大の字に荷造り用の紐で強固に縛る。お腹の毛を刈って待っている。道具はメス・鉗子糸が、青い丸い桶に入っていて犬舎に置いてあった。麻酔と麻酔を解く薬も。麻酔と麻酔を解く薬のことは社長から聞いていた。桶にある麻酔は、10ccの液体が入ってる小瓶で上がゴムで、ゴムの周りが赤い金属だった。ゴムのところに注射器を指す。麻酔を解く薬は金属部分が青。薬品のことは憶えてないし薬剤の名前は聞いてない。赤が麻酔と分かったのは、社長から聞いたから。
母犬に異変があって、社長に電話して準備してる間に社長が駆け付け手術をする。お尻に注射器で筋肉注射、犬はぐったりしているのもいれば、麻酔が効いていない犬もいた。死んだ犬もいた。麻酔が効いてきて切る。効いてないと頭を上げたり暴れる。追加で打つことも打たないこともあった。打たない理由は、量を使っちゃうと仔犬が死ぬから、極力麻酔は少なくしていた。メスで切った反応は鳴き叫ぶ。鳴いて内臓が飛び出ちゃうこともあった。そういう時は元に戻す。鳴き方は暴れるような苦しむ鳴き方。
立ち会い回数は、200/年間。日に1匹の時もあれば2匹の時も。立ち会いは全てしていた訳ではない。立ち合いは300とか400。自分では100/年間。

麻酔と麻酔を解く薬は、社長が埼玉に犬を売りに行ったその帰り「帝王切開の犬はいるか?」と聞かれ「いないなら薬を買って(もらって)帰る」と。いなの年寄りの獣医が親子でやっていて、息子になってから譲ってもらえなくなったと16(2004年)17(2005年)に、被告人から聞いた。
平成19(2007年)の終わりから20(2008年)の頭から帝王切開をやるようになったのは、社長が市場に行っている間や、具合が悪い時にやってくれと頼まれた。帝王切開は獣医師から習ったことも聞いたこともない。見様見真似で教わった。知識として学んだこともない。初めは麻酔していたが、最後の一年はしていない。麻酔は桶以外に予備は寿の冷蔵庫にあった。抗生剤、ワクチン、薬は全部そこにあった。
筋肉注射はだいたいこのくらいの量、目検で。だいたいこのくらいと社長に教わった(親指と人差し指でこのくらい)何mlというのは一度も聞いたことはない。自分でやっていた時も被告人と手順は同じ。他の人が立ち合い手伝ってくれた。一人で縫合までしていた。

病院に連れて行かないのは「金がかかるから。儲からないから」と社長が言っていた。妊娠犬の手術が終わったあとも病院には連れて行かない。傷口が化膿して口が開いても縫う。何度も開いちゃうが病院には連れていかない。

平成16(2004年)頃から失敗やミスがあった。世話していたマルチーズが死んだので罰金を5万円払った。そのほかにも2件。罰金は天引き、15万円で合計15万円引かれた。故意じゃないけど落して打ちどころが悪かったり、離乳食を気管支に入れちゃたりとかした。
休みはなく犬舎で寝泊まり。家に帰れなかった。給与は10万円そこそこ。逃げるように辞めた。「退職金の説明があるから来い」と言われたが行かなかった。罰金を返す話しはその時にはなかった。罰金を返してもらうこともなかったし、辞めてから会うとか連絡もない。

反対尋問(弁護人)
平成19(2007年)の終わり又は平成20(2008年)から、自分で100回やっていた。年間は300回くらい。
数の根拠は、中山に妊娠犬が800頭いると人から聞き、自分が見たのと一致してる。年にさかりが1回~2回、2頭に1頭は帝王切開だったから。
平成21(2009年)、平成22(2010年)麻酔をしなくなった。寿犬舎から麻酔がなくなった。いなの獣医師から社長に「これが最後だ」と言われ、冷蔵庫を見てもなかった。
罰金3回は、辞める2年くらい前から辞める時まで。理由は

  • 仔犬を落して死なせた
  • 離乳食を器官に詰まらせ死なせた
  • もう一回は覚えてない

(弁護人から、始末書には以下のように書いてある)

  • 社長の指示通りやらずに死なせてしまった→そう書いてあるならそうだろう
  • 社長の注意を聞かず反論し会社の雰囲気を悪くした→そう書いてあるならそうだろう
  • カルテ等に嘘を書かないとあるが、嘘を書くのか?→記憶にない

麻酔薬「ドミトール」という名前は記憶にない。指で示すこれ位という麻酔の量は小瓶から取った注射器の中の量。自分での勝手な量の判断はない。ぐったりしてる犬、効かない犬、死亡する犬(そんなにいない)。効く効かないの個体差はあるが一概に言えない。効く犬7に対し効かない犬3。
麻酔して百瀬、証人、他にはO氏、M氏、A氏。一度の帝王切開で23名で多くて3名。仔犬の数が多い時は3名。
ケージに固定してメスで切開、効いてればぐったりして吠えない。取り出し縫合、効いてればぐったり。麻酔を解く薬を筋肉注射。薬が効いてれば鳴いたり身をよじったりしない。麻酔をしてない時メスで切ったら概ね鳴き叫ぶ。叫び声は普通の鳴き声とは違う。ボリュームも大きい。近所の人から苦情もあった。人の手に嚙みついたりしないよう必ず口輪をはめてやっていた。手伝いの人にも噛みつくから、大きな声を出ないようにするのもあり口輪をしていた。内臓が飛び出るのは切った時、裂ければドバっと出るから手で戻す。仔犬を出したあとも手で入れる。犬が体を揺すぶらないように体を手で押さえる。力の強さはデカさによる。
人がいない時、手伝いなしで百瀬がやったことはあったと思う。鳴かない犬もいるんで出来るんだろう。鳴かない犬がどういう犬かは分からない。自分とO氏と百瀬が縫うこともあった。寿犬舎にはもっと大きくなった犬が置いてあった。

帝王切開は見様見真似で特に教わったことではない。縫い方は口で教わった。帝王切開は難しく、2回目以降は癒着して子宮に太い血管が付いてしまっていた。無麻酔で一人で帝王切開をやったことは記憶にないが、でもやったことがあるような気もする。押さえ要員は原則いる。ほとんど誰かに押さえてもらっていた。100回くらい無麻酔でやった。

帝王切開の判断は社長、社長がいない時は電話する。約束事として

  • 緑色の水袋が出たり
  • 出血したり
  • 体温上昇したり

が緊急だと思っていて数時間置くことはない。早くしないと仔犬が死んじゃうから。電話して20分から30分以内にやる。夜中や明け方もある。

手術は見様見真似で出来るようになった。帝王切開のスキルは、社長の方が数こなしてるから上手。一定のレベルで安全に出来ていたかについては、獣医の帝王切開は見た事がないから分からない。犬が亡くなった事は2回くらいあった。無麻酔の時に口輪をしていたのは、四肢は固定していたが首は動かせるから嚙みつけるから。一人でやることは避けたくて手伝って欲しい。手術自体を安全にするためにいたに越したことはない。

再主尋問(検察官)
寿で自分の他にやっていると思う時もあった。平成16(2004年)犬の業務で寿犬舎は200/年間、自分では100/年間、被告に立ち会ったのは100/年回。ワイヤーの抜糸をやった事がない。誰かがやっていたのを見た事もない。取れるのを見た事もなくて自然に取れるということは推測。
暴れてしまって押さえないと出来ない。金銭トラブルは在職中のこと。被告人と返す返さないというのは、在職中に終わっている。その後トラブルなし。

補充尋問(裁判官)
飼育室でやっていた時、青い桶に道具はまとめて飼育室にあって、取りに行く事はなかった。お尻に麻酔を打って5分くらい待って、効いてくればいい。効いてないと暴れる。陣痛促進剤は使ったことも見たこともない。母犬から仔犬を取り出したあと洗浄液は使っていた。桶の中に入っていた。注射器に取り、リンゲルで薄めて洗浄していた。縫合する前に使っていた。被告人から「麻酔はこれで最後」と言われてから使うことはなかった。麻酔を手に入れてくれとも言わなかった。無麻酔になった時、手に入らないと思ったから。その理由は、麻酔はおっかない薬だと思ったから。いな以外の所から仕入れる事もなかった。麻酔をしない時は、注射器でお腹を洗う時だけ。麻酔をする時は、注射は2回打つ。記憶は15年近く前になるけど亡くなった犬とかは覚えてる。

補充尋問(裁判官)
平成19(2007年)の終わり位から100/年間、百瀬がいない時。毎週(多い時週2回)市場に行く時とか体調崩して来れない時にやっていた。最後の1年麻酔しない時は大変だった。夜中に手術の犬が騒ぐと周りの犬もいっせいに鳴いちゃうから、近所の人から手術中苦情の電話が来る。口輪は無麻酔の時。「麻酔は最後だよ」と言われ、このあと平成222010年帝王切開は無麻酔で口輪してやろう、となった。

補充尋問(裁判官)
口輪しても鳴くヤツはいる。連鎖で他の子も鳴く。口輪を付けて頭の後ろにくっ付ける。鼻の長い犬と鼻ぺちゃの犬用の2種類あった。鼻ぺちゃのフレブルとかパグとかシーズーとかいた。社長が逮捕され、警察から電話があり松本警察署で話し、去年検事から電話をもらった。

(2023年5月15日)

第3回公判傍聴(2023年4月)

長野松本犬繁殖業者動物虐待第3回公判

第3回目の公判は、証人は名前を公表しないということで、複数のパーテーションで厳重に囲われ傍聴席から姿が見えない状況で始まった。

前回の公判では、元従業員(男性)が

  • 陣痛促進剤のアトニンは注射器に取り分け冷蔵庫のポケットに保管していた
  • 帝王切開の時、母犬に麻酔をしていた認識はなかったが、術前に母犬の尻にアトニンを筋肉注射していた
  • その後、陣痛促進剤と思っていたアトニンは、実は鎮痛・鎮静のドミトールだったと百瀬被告から聞き、切開中大人しかったのは麻酔の効果だと思ったから納得した

という内容だった。今回の女性従業員の話しでは、

  • 勤務初日に「手術だ、手伝って欲しい」と言われた時、麻酔はしないのか聞いたら「管理が難しいから麻酔はしないという選択肢になった」と言われ、麻酔なしで行われた
  • 頭を左右に振って苦しんで鳴き叫んでいた。グッタリしてるのは痛みで失神してるのかと思った。
  • メスや道具は元々その部屋に置いてあった物で、注射や麻酔薬は見たことない。出入口の外の冷蔵庫に行ったかは覚えてない。
  • のちに麻酔をしていたらしいと聞き、グッタリしていたのは麻酔が効いてきたからかもと思うようになった

検察側は具体的に麻酔を取りに行ってないことを聞き出していた。
また第2回公判で、元男性従業員が百瀬被告に対し、動物を大事にしていた、世話になった、マイナスの感情はないと言い、都合の悪い事を言わないような印象だったが、今回も弁護人からの尋問途中、寿犬舎での百瀬被告の姿勢について聞かれた際、せきを切ったように泣き出し、分からないことはないかとか聞いてくれたり、爪を切ってくれと頭を下げられたり、犬がどうでもよかったとか思ってない、金儲けのためではなく自分の全てをかけていた。経費削減で苦渋の決断だと泣きじゃくりながら答えていた。

爪を切るのも仕事を教えるのも不衛生な老朽化の犬舎を立て直すことも営業していくなら当然のこと、だからと言って病気の犬を放置したり無資格・無麻酔で腹を切っていい理由になど一つもない。犬を大事にしていたんだと泣いて答えていたが、一方、異変があったら報告しろと言われたたけど報告しても犬に何かしてることはないと。開いた首の傷にハエがたかって何度変えても新聞紙に血がついてしまうプードルにしたことは、ハエ取りシートを付けただけだ。これが大事にしてたと言えますか?
動物と暮らしているなら、ほんの少しドアに足がぶつかったりしただけでものすごい声を上げることも知ってるだろう。本来なら、四肢を縛ろうとした時にこれから何が起きるのか、その場で手術をしようものなら犬を奪ってでも止めるか警察に通報だ。雑菌だらけの部屋と道具で生身の腹を素人が切って仔犬を取り出すことに、知識がなくても人間の常識として許されることではなく、何故10回も20回も立ち会い補助し続けたのか理解に苦しむ。

今回も非常に長いですが、ぜひ傍聴レポートをお読みください(内容は手元メモがベースでなるべく話した内容に忠実且つ多少の要約等があることをご了承ください)

傍聴記録

嘘を言わない旨の宣誓をし、裁判官から偽証罪の告知
傍聴記録
主尋問(検察官)
証人は、令和3年2月末から令和3年の10月まで勤務し、勤務形態は、週3日の日勤。夜勤もあったが夜勤の場合は夜から朝まで。夜勤前の昼間及び夜勤明けの昼間は休みだった。
アニマル桃太郎の犬舎は中山と寿だが、証人は寿犬舎で勤務していた。業務内容は、主に母犬の母乳をあげる仔犬の世話。他には体温チェック、掃除、妊娠犬の帝王切開の手伝い。

アニマル桃太郎の手術について、帝王切開手術は10回~20回立ち会った。手術していたのは百瀬被告と元男性従業員で、それ以外行っていた者はいなかった。証人もやっていない。初めて帝王切開に立ち会ったのは勤務初日。寿犬舎で日勤だった。手術になる前は、第6飼育部屋で仔犬に母乳をあげていた。飼育部屋は、寿犬舎2階の百瀬被告が趣味で飼っている鳥の部屋。

母乳をあげている時、同じ部屋にいた百瀬被告から妊娠犬の体温チェックは教わったか聞かれ、まだですというと、体温チェックのやり方を教えてもらった。体温計を肛門か膣か分からないけど差し込みながら教えてくれた。第6飼育室にいた犬の膣から、出血したり緑色の袋が出てたら教えて欲しいと言われた。
第6飼育室の端のケージから順番に体温チェックをやっていたら、パグかフレンチブルドッグの妊娠犬から緑色の袋が出てたので、報告したら「すぐ手術だ」と百瀬被告がケージを持ってきて「初日で悪いけど手術を手伝って欲しい」と言われた。

ケージは同じ部屋の真ん中辺りに持ってきて、緑の袋が出ていた犬を、ヒーターや新聞紙を敷いたケージの上に乗せた。
乗せる時は仰向きに、百瀬被告が持ち上げてくれた。犬の手足を縛ったが力が強くて犬を押さえられず、「俺が押さえるから結んでくれ」と言われ、ビニール紐で犬を仰向けに大の字にケージに固定した。犬は身動きは取れないが頭を動かしていた。

メスを持ってお腹を開いた。麻酔はしないのかなって思って聞いた。最初手術になるって聞いた時、麻酔する部屋とか手術する部屋に移すのかと思った。これまで帝王切開に立ち会ったことはないが、手術する時は麻酔はするだろう、生きているから麻酔はするものだと思っていた。百瀬被告からは、「昔はしていたけど管理が難しくて死んだりとかするから、なるべく死なないようにと考えた時、麻酔をしないという選択肢になった」と聞いた。
メスで切り開いた時の反応は、頭を左右に振って苦しんでいるように見えた。鳴き叫んでいた。開いたあと仔犬を取り出した。胎盤をはさみで切って仔犬を取り出していた。仔犬を受け取って声を出すまでゴシゴシタオルで拭くがうまく出来なくて「こうやるんだ」と教えてくれて見よう見真似でやった。その時は、数匹取り出して終わったら縫合していた。ずっと見てないけど(縫合を)やっているなと思っていた。
犬は切ってから縫合まで鳴いていたと思う。ずっと鳴いている子もいればグッタリする子もいた。

第6飼育部屋は、普段仔犬がいる部屋で第6飼育室にあったケージを使った。手術をやると聞いてから百瀬被告は部屋の外に出たことはない。自分も出ていない。手術の途中も部屋から出ていない。手術は真ん中辺りでした。

<このあと、ケージを置いた場所、百瀬被告がいた場所、証人がいた場所、保育器があった場所を見取り図に記す>

この日第6にはずっと百瀬被告と2人だった。部屋から出たことはなかった。メスとビニール紐は多分百瀬被告が準備した。始まるまでは麻酔をしている様子はなかった。注射や口から何か飲ませていることはなかった。10回~20回百瀬被告と元男性従業員の手術に両方立ち会ったが元男性従業員も麻酔をすることはなかった。犬は声を振り絞る感じで鳴いていた。頭を振ることもあった。一切鳴かなかったことはない。途中でグッタリした子もいたが眠りなのか意識があるかは分からない。

怪我や治療について、百瀬被告、元男性従業員、他の人から病院に連れて行って欲しいと言われたことも、病院に連れて行ってたこともなかった。
山の犬舎(中山)から首を怪我したプードルが来て、首の傷口に糸みたいなのがあったけど、皮膚と皮膚がくっついてる感じじゃなかった。寿の妊娠犬がいた部屋のケージに一定期間置かれていたが悪くなってきてるのか、傷口にハエがたかって、新聞紙を何度変えても血で赤くなっていった。元男性従業員に言ったら、ハエ取りシートを付けただけで犬には何もしていない。百瀬被告に言ったあと怪我したプードルは仔犬の部屋に移してくれたと思う。その後百瀬被告が何をしたかは分からない。あとから夜勤の子に「死んでしまった」と聞いた。死んだ犬は見ていない。

反対尋問(弁護人)
証人は、ブリーダーの所に勤めたことも動物に関わる仕事についたことも、専門的に勉強したこともないが人間の病院に勤めていたことはあった。
母乳をあげる頻度は2時間おき。母乳からドッグフードになったら、なくなったら継ぎ足していた。担当犬舎の部屋は、毎回変わっていた。ここまだ行ってないからとみんなで共有していた。はじめは、百瀬被告と元男性従業員から指示があり、挨拶したらここをやってと言われたが、グループラインが出来てからは、百瀬被告がメモに書いたものを写真撮ってここやってねと指示が送られてきた。

グループラインは、百瀬被告、元男性従業員、正社員、正社員じゃない一人。(パートさんは入っていない)ドッグフードは朝パートの人が回収、洗って消毒液につける。ドッグフードを出していた。給水器も掃除と一緒に朝取って洗っていた。パートさんは、網の上のうんちを取って、ブラシで金網を掃除して、トレーの新聞紙を取って、固く絞って拭く。子犬部屋の掃除は毎日やっていた。人が足りないから私たち正社員もやっていた。
健康チェックは、お腹が小さくなってないか、変色してないか、目の怪我がないか、パグとか目が大きい子には目薬が2種類あった。知識がないので、いつもと違うことがあったら報告するようにしていた。
中山犬舎の犬をバリカンで毛を刈ったり爪を切ったり、担当ではないから、する日もしない日もあった。百瀬被告に頼まれて動物病院に便を持って行った。体調の悪い子がいたら持って行っていた。頻度は覚えていない。

初日、緑色のものが出ていると言ったら「手術だ」と切迫してる感じだった。メス犬が途中から大人しくする子もいれば、最初は鳴き叫んでいることは覚えているけど、そのあとは分からない。取り出したあとグッタリしてる子もいた。痛みで失神してるのかと思った。グッタリしてるのは麻酔なのかもって思う。仔犬を数分間強く拭くので百瀬被告のことはじっとは見ていない。
仔犬を預かって鳴いたあと、保育器に移して、息してるか体が紫色になってないか確認する。保育器は透明のプラスチックで中にヒーターがある。

帝王切開の最中に亡くなった子はいない。口輪をはめられる子もいない。

1月3日に百瀬被告にラインを送った。麻酔をしてたのにしてないと言ったことを謝りたかった。麻酔をしないのかと聞いたら、してないと言われたからしてないと思った。麻酔をしていたって警察(又は検察)から聞いて、グッタリしていたのはもしかしたら麻酔なのかも、自分は嘘を言ってしまったのかもと思った。

寿での百瀬被告の姿勢は、いつ休んでいるのかと思うくらい365日24時間ずっと働いていた。金儲けのために身を削ってまで…。どうして忙しくても頑張っていたのか?それは、自分のすべてをかけていたからだと思う。百瀬被告の犬に対しての姿勢は、新しい犬舎を建てると言っていて、金儲けのためなら何億もいくらかかってもいいからって思わない。お金がいくらかかってもいいから人を増やそうと言っていた。インディードとかのサイトの名前も聞こえてきた。犬がどうでもよかったら、そう思ってないから。手が回らない。
犬の爪を切らないと犬も私たちも怪我しちゃうから、犬の爪切って欲しいって「少しでも時間があったら爪を切ってくれ、頼む」と哺乳している時頭を下げられた。分からないことはないかとか聞いてくれたり、百瀬被告を信頼してる人いて。他の従業員に対しての暴言とか暴力はなかった。動物たちの環境や無免許は虐待については反論はできないことだけど、いじめたくてやっていた訳じゃない、好きで喜びのためだけにやっていた。引退犬や障がいを持っている子も引き取って育てたり光熱費なんかのお金の確保もあって、仔犬を減らすことも出来ないし、悪循環で負のサイクルから抜け出せない状態だった。

犬に異変があった時、百瀬被告に報告したけど、百瀬被告が直接何かしてることはない。報告しろと指示はあった。
令和3年2月に働き始めて10月にやめた。約8カ月。自分は犬を飼ってて保護犬だった。保護した時に声帯を取られていた。犬の世話っていう求人を見つけた時、面接に行って、犬たちの世話をやってみたいと思った。単にお金を稼ぐだけじゃなく守るとか育てるってこと。
帝王切開見てショックで辞めようと思ったけど、外もガラクタばっかりだし犬の鳴き声も酷い。やばい所だと思った。従業員も犬に話しかけていたり、百瀬被告や元男性従業員の仕事への姿勢を見て、私もここに参加したいという思いになった。人が少ないって聞いてたから少しでも役に立ちたいと思った。
アニマル桃太郎を辞めたのは、9月の頭に警察が入って1カ月後百瀬被告から仕事がないからと言われて辞めた。

帝王切開の時に緑色の袋が出たら知らせてと言われたけどそれは何か知らなかった。重大なものだって分かった。
令和3年9月頭から今まで新聞やネットで書かれていることを見たことがある。私は仕方ないことだと。でも百瀬被告は血も涙もないとか土下座させたとか書かれたのを見てそれは違うんじゃないかと思った。

再主尋問(検察官)
ラインをして申し訳ないと送った理由は、麻酔をしてなくて苦しんでいるように見えた。警察に麻酔はしてなかったと言ったから。警察(又は検察)から「麻酔はしてる」って聞いたら、グッタリしてる時もあったからそれは痛みで苦しんで力付きていたのかと思っていたけど、麻酔が効いてグッタリしてたんじゃないかと思った。
自分の認識は、麻酔はしてない。してたんじゃないか?ってことは百瀬被告はしてると聞いたからで、他が理由でそう思ったことはない。そういう見方も出来るってことで謝罪のラインを送った。専門知識はないから専門的に分かる訳ではない。

便を病院に持っていったのは体調の悪い仔犬のもの。健康な仔犬は水曜日に百瀬被告がオークションに持って行っててそれは大翼建設の売り上げになってる。

麻酔せずメスで切って鳴き叫んで頭を振っていたけど麻酔の管理は難しいと言われたことについて管理出来るところでやりませんか?と証人は言い出せなかったが、病院に行けばいいと思った。他の人が言ったのも聞いてない。百瀬被告に言わなかった理由は、経営的に苦渋の決断だと思ってた。百瀬被告の考えだと思ってた。経費削減だと思ってた。

補充尋問(裁判官)
最初に立ち会って緑色の袋が出て手術した時、メスとか紐は元々置いてあったもの。道具をどっかから持ってきたのは見てない。外には出てない。そこに器具があった。出入口の外の冷蔵庫に行ったかは覚えてない。10回~20回立ち会ったが、注射や麻酔薬は見たことない。元男性従業員の時も同じ、元男性従業員に麻酔はしないのかは聞いてない。10回~20回立ち会ったのは妊娠犬の様子の変化を告げて手術になった場合に手伝った、また手伝う人がいない時呼ばれることがあった。いずれも飼育室だった。
4本の足を縛られた犬は頭を左右に振って。4本の足はしっかり固定されているが、一度自分の縛りが甘くて犬が振りほどこうとして動いた記憶がある。麻酔してないんじゃないかと思ってた。

補充尋問(裁判官)
手足を縛る、仔犬を受け取りタオルで拭く以外は取り上げるのを見てるだけ。取り上げたら拭く。それ以外はない。ケージを出して新聞紙とヒーター出して紐を4本分切って。
手術をしてる犬は鳴き叫んでいる。周りの犬は誰かが部屋に入って来た時に鳴くので、手術している犬と鳴き声の区別は出来る。
自分が準備をしている間、百瀬被告が何をしているかは分からない。

補充尋問(裁判官)
手術は妊娠犬がいる部屋で多分4部屋くらい。
中山犬舎から寿に連れてきて、山から下りて来た時は、1つの所に集められてそこから分けられそれぞれで手術。手術の準備は、器具を近くに置いたり、紐を4つに切ったり、ケージを持ってきたり、手伝うのは一人。器具はメスと鉗子が青いケースにじゃらじゃら入ってた。青いケースごと用意した。蓋はないから見て分かる。タオルとか消毒液はあったかも。注射器はなかったと思う。記憶はないと思う、よく覚えてない。
被告人は、術式の中で一番最初に鎮静剤をお尻に打つ、一人の時は縛ってから打ってたと聞いているが?基本的に準備してる時に犬を待機させてたので、もしそうなら見ていたと思う。抗生物質を用意して子宮を洗ってた?液体を吸って用意してた。その注射器があった記憶はあった。

縛って切開して取り出して縫合。鳴くのはいつか?切り終えて胎盤取り出す時、仔犬を出す時も縫合の時はグッタリしてる子が多かった。手術の時間は何時間ではなく順調なら10分以内でやった。手術の鳴き声はワンワンじゃなく奥から振り絞るような鳴き声。

百瀬被告の言い分を聞いて、自分は間違ったことを言ったかと思い、どうしようと思って葛藤あって意を決してラインを送った。
弁護士から陳述書を書いて欲しいと言われ、(謝罪のLINEを送るキッカケは弁護士の手紙も一つの要因だったようだ)検察からは裁判に出て欲しいと。でも出たくなかった。陳述書を書いてないのに裁判に出るのを、百瀬被告にどう思われるかと思い、百瀬被告が怖かったからラインした。

器具はどの部屋にもあったか?運んだ記憶はない。毎回同じようなもの。青いケースに入っていて各部屋にあった。

(2023年4月17日)

無麻酔で帝王切開をしていた史上最悪の劣悪繁殖屋による
動物虐待犯を実刑に!署名にご協力を

被告人は、5件の帝王切開については、44条1項の傷害罪は成立せず、無罪であると主張しています。
公判では、被告人が帝王切開の際に麻酔薬を使用していたか否かが争われ、時間が費やされています。しかし、そもそも、麻酔薬を使っていたか否かにかかわらず、獣医師資格のない被告人や元従業員が、自然分娩での出産をさせず、本来は例外的な処置とされる帝王切開を日常的に行うことは、母犬をみだりに傷つけるというべきではないでしょうか。ましてや、今回起訴されている5件は、法改正により、獣医師に行わせることが明記された後の帝王切開であり、禁止された行為であることは明らかです。

今回の事件は、動物殺傷罪が厳罰化された後に行われた、5件の帝王切開であり法定刑は「5年以下の懲役」となります。また、5件の傷害行為なので、併合罪として、最も重い罪の1.5倍である「7年6月以下の懲役」の中で量刑されることになるはずです。
そのことから、長野地方検察庁に対し、帝王切開による傷害罪により、懲役7年6月の求刑を求めるべく署名を募りたいと思います。
短期間で多数集めたいと思いますので、ぜひ皆さまの声、皆さまの力をお貸しいただけないでしょうか。

どうか、過去に例を見ない劣悪繁殖屋の男に執行猶予のつかない実刑判決を!

ネット署名はこちらから

署名用紙はこちらから

ネット署名の他に、真筆(直筆用)署名用紙を作成しました。ダウンロードしてお使いください。ご記入いただきましたら当協会に送付ください(宛先は署名用紙に記載してあります)

第2回公判傍聴(2023年2月)

長野松本犬繁殖業者動物虐待第2回公判

第2回目の公判は、まず初めに追起訴についての審理が行われ、その後、元従業員の証人尋問が行われました。
被告人は、帝王切開は鎮痛剤を使っており、みだりに傷つけてはいないと無罪を主張し、元従業員からは、陣痛促進剤と思って使っていた薬剤が、実は麻酔薬だったとあとで知らされ、無麻酔でなかったことを強調したかったようですが、質問を受けるたびに答えがブレ、一貫性のない主張が続きました。
都合の悪い事を言わないよう答えを探しながらなのか、またその答えを探しているうちによく分からなくなっている感じが見て取れました。
約4時間に渡る裁判でしたが、その内容は、動物に対しての反省どころか、被告人擁護と自身の言い訳にしか聞こえないものばかりでした。
次回公判は4月の予定です。史上最悪の動物虐待事件を風化させることないよう、引き続き注視してまいります。

非常に長いですが、ぜひ傍聴レポートをお読みください(内容は手元メモがベースですので多少の要約等があることをご了承ください)

傍聴記録
  • 弁論の更新
    初公判は、1名の裁判官で審理されていたが、今回から、裁判官3名による合議事件となり、弁論が更新された。
  • 令和489日付起訴状の朗読
    ◇第1:令和24/112/31の間、シーズー犬8頭について狂犬病予防注射を打たせなかった狂犬病予防法違反
    ◇第2:令和38/278/31、獣医師資格がないのに、同市寿北犬舎において、犬5頭に対し、麻酔をかけず腹部を切開し、みだりに傷つけた動物愛護管理法441項違反
  • 黙秘権の告知、被告人の罪状認否
    狂犬病予防法違反は間違いない。帝王切開については、難しいので弁護人から説明します。
  • 弁護人の意見
    狂犬病予防法違反の点は争わない。「麻酔をせずに」について釈明を求めたい。(検察官の釈明を受けて)麻酔をしなかったことを否認し、みだりに傷つけたことを争う。

検察官の冒頭陳述

公訴事実第1の狂犬病予防法違反について
アニマル桃太郎では、頭数を超える飼養で交配用の犬のみワクチンを打っていた。
令和2年4/1~12/31の間、中山犬舎、寿犬舎のシーズー全8頭につき狂犬病予防注射を打たせなかった。令和3年9月の中山・寿犬舎の捜索差押の時、シーズー11頭の抗体価を調べるため血液鑑定をしたところ、うち2歳以上の8頭に3年以上接種していないことがわかった。

公訴事実第2の動物愛護管理法違反について
被告人は、妊娠犬の出産時に松本市の獣医師に依頼し、被告人は手伝いをしていたが、獣医師は被告人に手術を教えたことはない。獣医師は、妊娠犬にドミトールは使ったことはなく、被告人に譲ったこともない。
平成15年頃、アニマル桃太郎の犬をその獣医師の病院に連れていった際、犬が死亡したことに苦情を訴えてから獣医師との関係は悪化した。

平成21年か平成22年頃から、被告人は、妊娠犬に麻酔を使わず、自ら帝王切開をおこなった。元従業員Aは、寿犬舎で妊娠犬の帝王切開の補助をしていた。犬は叫び声をあげ、身をよじって暴れた。内臓が外に出ることもあった。
スタッフから、麻酔はしないのかと質問を受けた際、被告人は「麻酔は管理が難しいし、効きすぎると危ないので使わない」と説明していた。
法改正により、帝王切開は獣医師がすることと明記されたため、令和3年8月以降、表向きは止めたとしたが、被告人方で帝王切開は続けており、
元従業員Aが補助をしていた。
陣痛剤アトニンを投与。5頭にドミトールは投与していない。

弁護人の冒頭陳述

(虐待罪についての事情)
両犬舎とも人の数より飼育頭数が多くなり人手不足になった。特定の社員が新人にパワハラし、次々と辞職させた時期があった。人を増やすために募集していたし、週1回のペットオークションに数頭連れて行き、飼育頭数を減らす努力をしていた。
法改正により、ケージの大きさや運動場を設けるようになったから、新犬舎を竣工しようとしていた。具合の悪い犬がいたら、獣医師に連絡し治療をしていた。便の検査もして回復もした。
給餌給水は毎日欠かさず、清潔な井戸水をおしみなく与え、高級なドッグフードを使い、室温管理もしていた。中山犬舎は、夏はビニールシートを開けると25度くらいになる。冬はストーブを付け空気を循環させていた。寿犬舎は、夏は、エアコン、扇風機、サーキュレーター。冬は、エアコン、扇風機、サーキュレーターを使用。仔犬がいた場所には湿度計もあり換気もしていた。
令和3年には、SNSによる投稿が増えた。死んだ犬は弁当箱に入れられたとか内臓を食いちぎっていたとか、帝王切開を無麻酔でやっていたとか、メスで腹を切ったことに対し罵られ過度な社会制裁を加えられた。被告人は飼育していた犬を知人に譲りブリーダーを廃業し中山犬舎を解体した。大きな経済的損失を受けた。被告人は、深く反省し今後ブリーダーをやる気はない。

(傷害罪について)
帝王切開はしていたが、麻酔薬ドミトールを投与していた。みだりに傷つけた行為に該当しないため、動物愛護管理法44条1項違反について無罪を主張する。
被告人は、平成2年当初は帝王切開を行っていない。当時松本市の獣医師が開業したばかりで、買った犬をその獣医師に診せていた。獣医療は夜間も休日も必要だった。24時間365日診てくれる獣医師は有難かったが、平成12年頃、獣医師から事実無根のことを言われ、もう来るなと言われ、やってもらえなくなった。24時間365日診てもらえるところを探したが断られた。帝王切開はその獣医師から学んだから犬を助けるためにやっていた。悪いことをしているという認識はなかった。法改正により、獣医師が必要であると法律に書かれたことから帝王切開はしないとし24時間365日にやってくれる獣医師を探した。
だが、母犬はそのまま放置したら死ぬから、帝王切開を続けていた。

被告人は獣医師から習得していた。当時、獣医師の妻しかいなかったら、獣医師が被告人を手術室に入れて助手をさせていた。鎮痛・鎮静にドミトールを使用。帝王切開の知識を得、縫合することもあった。それを元従業員Aに教えた。仔犬が亡くなったことはない。
被告人は帝王切開の前にドミトールを投与。獣医師に言われた通り被告人はドミトールを購入。薬事法違反になるから聞かれたら嘘をついていた。麻酔を使わずにやっていると誤解していた。投与を告白。ドミトールの小瓶を捨てた。母犬は死んでない、みだりに傷つけてないため無罪。

検察官請求証拠に対する弁護人の意見(第1回公判で留保した分を含む)は意見書のとおり(傍聴人にはわからない)
採用された証拠書類について、検察官から要旨が読み上げられる
54号証~71号証まで 有賀の警察官調書、検察官調書
112号証~甲152号証まで
30号証~乙51号証まで

 

元従業員Aの調書内容の概要)

25歳で大翼建設入社、その後犬の部門である「アニマル桃太郎」に配属される。動物取扱責任者の講習を受けていた。
犬舎は次第に汚れが増し体調管理は後回しになっていた。中山犬舎では、ケージは4段に積み重なり、糞尿が溢れ、犬は爪が伸び、毛玉が出来ていて眼球も白く濁り、皮膚にコブがあったことも認識していた。メスの発情期をチェックしていた。犬の特徴や自然分娩か帝王切開かの出産記録のメモを作成していた。
中山犬舎も寿犬舎も犬の頭数が多く、人手不足で掃除に手が回らなかった。死亡した犬は寿犬舎の冷蔵庫に入れていた。新聞にくるみ段ボールに入れた。被告人は、警察の立ち入りの時にアルバイトに清掃を指示していた。
出産状況は被告人と
元従業員Aの判断。発情期のチェック時、病気に罹患している犬がいることを認識していた。黒目が白く濁り、コブができている犬もいた。ヨード液を塗るが、動物病院には連れて行っていなかった。

 (追起訴分の捜査報告書、警察官調書などの概要)

保健所職員が、捜索立ち会い時に狂犬病の説明。令和392日、中山犬舎のシーズー11頭を領置し、採血して鑑定を依頼。鑑定書には、9頭については有効抗体が足らず、2歳以上の8頭について3年間は接種していないと記載。
5匹の犬の腹部に傷がある。犬の出産記録569回(うち帝王切開は321回、自然分娩は244回、不明4回)

照会の結果、被告人に獣医師免許はないとの回答。捜索差押調書、メス、 鉗子、縫合するもの、ドミトールはない。スマホ内に保存されていた写真。切開中で、犬がケージのようなものに仰向けで四肢を縛られて固定。瓶入りの薬剤押収。鑑定結果は、ドミトール含有。被告人は平成19年に別の動物病院からドミトールを購入していた。ドミトールの効能、鎮痛鎮静剤で妊娠動物には避けること。ドミトールの入手方法を全薬工業に電話で確認。

大翼建設のライングループにメッセージ。犬舎が捜索された令和392日、麻酔薬を持っているとヤバイ。捨てに行く。ドミトールを使っていたとは言ってない。河川敷を捜索したが、発見できなかった。

証人尋問 元従業員A

嘘を言わない旨の宣誓をし、裁判官から偽証罪の告知
【主尋問(検察官)】
大翼建設に勤めていたのは、平成10年1月から令和4年5月まで。そのうちぺット部門に平成24年から10年くらい。犬の世話全般。会社の中の立場は、社長(被告人)の次の現場の立場。
自分は他の従業員に指示。
被告人の姿勢はどうだったか?→動物を大事にしていたから厳しかった。命を落とさないよう従業員に注意していた。従業員に対しても私に対してもやることを忘れないように言っていた。被告人に対しどう思うか?→(…長い間があった上で)世話になった。マイナスの感情はない。
アニマル桃太郎は、繁殖させた犬をオークションに入れて収益をあげていた。出産は帝王切開と自然分娩が行われていた。帝王切開は、寿犬舎の子どもを産ませる部屋で被告人がやっていた。被告人が切開するときは
自分は補助をしていた。平成30年頃から4年位は自分がやることもあった。方法は被告人から教わった。被告人は松本市の獣医師から教わったと聞いている。週1回、仔犬のオークションで被告人が不在のときに帝王切開が必要となったときは、被告人なしで手術していた。頻度は1カ月に1回くらい。はっきりじゃないが4年で10~20回やっていた。被告人が切開するのを補助で見たのはそれより多い。
帝王切開の方法は、母犬を手術台に乗せて両手両足を縛り付け固定し腹部を開いて、子宮から仔犬を全て取り出す。それから切開部を縫合する。帝王切開の時、犬が起きていたか眠っていたかは分からない。目はぼーっとしていた。呼吸はしていた。

切開時に使う薬品は、消毒するセット、患部を消毒するペニシリン、アトニンと呼ばれる陣痛促進剤、術後に抗生物質エボタックス。アトニンは子宮が収縮する効果があり、母乳が出やすくなる。出血が止まりやすい。術前に母犬の尻に筋肉注射する。アトニンは自然分娩でも使っていた(毎回ではない)。
(自然分娩はどのような目的で?)陣痛促進剤なので何匹もいると出にくくなるから被告人の指示があれば筋肉注射していた。押し出す効果はあった。被告人の帝王切開を見た際、尻にアトニンを使っていた。保管は、1㎖の注射器に取り置き保管されていた。小さなガラス製の瓶(アンプル)。出産部屋の冷蔵庫のポケットに入っていた。そこに瓶も注射器もあった。自然分娩の時にアトニンは注射器の物を使っていた。被告人がいない時一人で自然分娩で立ち会った時も冷蔵庫の中のアトニンを使う時もあった。瓶から注射器に入れていたのは主に被告人で、取り分けているのを見たこともある。被告人に頼まれて取り分けたことはある。
自分自身が瓶の封を切ってアトニンを移し替えていた。
寿犬舎で帝王切開をやめたのは令和3年8月。法改正があったから。対応できる医師が見つからず自分たちでやると決めたが、他の従業員にはやめたと嘘をついて、被告人の自宅で自分は補助で続けていた。自宅での帝王切開も、使う薬品や手順は犬舎のときと同じ。

帝王切開を行っていた時、母犬に麻酔を使っているという認識はなかった。疑問を感じていたが、母犬は痛がらず手術できていたし、野良猫が尻尾や耳が大丈夫なように外傷的な痛みには強いのかと思っていた。被告人に伝えたら、「麻酔は母犬や子犬に影響がある」と言われた。帝王切開の時に麻酔をしていたという認識。
(認識が変わった理由は?)令和3年9月2日の夜に、被告人から帝王切開の術前に使っていたのはアトニンではなく、ドミトールだったと聞いた。ドミトールは被告人に見せてもらった。ラベルの貼った小さい瓶(箱に入っていたかも。箱は見てない)1瓶だけ見た。被告人の近くの土場(どば)の敷地内、倉庫の外で見せられた。被告人は、倉庫か車から出してきたと思う。9月2日の夜より前に見たことはない。被告人がアトニンと言っていた物がドミトールだと言っていた。
(帝王切開の時に、麻酔の手順はなかったけど?)アトニンと思って使っていた。ドミトールの使い方は教えられていなかった。
自分も取り分けたことはあった。自然分娩の時もアトニンを使っていた。アトニンの効果は自然分娩の時にあった。帝王切開の時は止血の効果があった。帝王切開の時アトニンは母乳を出しやすい効果だが打っても出ない犬もいた。麻酔薬でドミトールを使っていたと認識している根拠は、被告人から説明を受けたことだけ。
(それ以外で認識が変わった理由は?)麻酔を使っていても不思議ではない、犬が痛みを感じてないように思ったから納得した。ドミトールを使っていると聞いた時は、「帝王切開の際にアトニンを打っていたが、それは実はドミトールっていう麻酔だったんだけど、麻酔を所持していると罪が重いから隠していた。今から薬を捨ててくる」と言われた。9月2日の捜査でドミトールを持っているとばれたくなかった。警察にばれないよう捨てにいくため。令和3年9月2日の夜、時間は覚えてない。深夜だと思う。9月2日も捜査、翌日も捜査。
どういう経緯で土場に行ったのかは全く覚えていない。

9月2日の捜査では寿犬舎の立ち合いをした。被告人は中山犬舎。当日は、夜中出産の確認と仔犬のミルクに定期的に回らないといけない。常駐してはいけないということだったから夜中1、2回犬舎を回った。朝方コンビニで朝食をとった。当時は覚えてなかったが、その後ドミトールを処分したことを思い出した。どこに捨てたかは覚えてない。
(9月2日の夜にそういう事があった事を思い出したのか?)ドミトールを使っている事に関しては、黙っていて欲しいと言われたから。捨てに行った事は、とにかく9月2日と3日の事は動揺していて記憶がない。ドミトールを処分する8月に帝王切開をやらないと、薬を隠すように言われた。捜査前にドミトールのことは知らない。令和4年に徐々に思い出した。令和4年1月に有賀は弁護人と打ち合わせしたのがきっかけの一つだった。弁護人からは、検察官請求証拠のうち、自分の供述調書に目を通した。被告人に話しを合わせている訳ではない。

アニマル桃太郎で、会社に損害を与えたとき給与から天引きされた。3年位の期間で合計1,000万円位。後から返してもらえると思っていなかったが、被告人を悪くは思っていなかった。給料を上げることなどで帳尻を合わせてくれると期待していた。令和3年12月に釈放された後、全額一括で返してもらった。理由はわからない。令和4年5月退職、退職金は受け取っている。

専用の手術台はない。ケージに仰向けで縛り付ける。犬は身をよじらせる程度。身をよじらせる時は、仔犬を取り出して筋肉を縫っている時に多少あった。
天引額について、自分で記録はしていなかった。被告人の妻が記録していたものを見せられた。

反対尋問(弁護人)
(帝王切開を
元従業員がやる時、手術の前に投与はあったか?)アトニンと認識してた。取り置いたものを使っていた。取り置いたのは被告人。中身をアトニンと思った理由は被告人から言われたから。アトニンを瓶から抜き取ることも被告人から指示があってやった。自分の帝王切開の時、瓶から抜き取ることはない。使いきった注射器に入れた時、出産以外の時も取り置いた。
元従業員Aが瓶から抜き取ったことはない。冷蔵庫に取り置いた物。帝王切開の時に被告人から習った。元従業員A被告人は同じ方法。注射器の中の量や追加は元従業員Aの判断で0.3~0.5位、それより少なかったが、追加はない。量は被告人から電話で指示された。被告人の帝王切開の最中に死んだ母犬はいない。縫合がうまくいかなく腸が出たことは一度だけあったが、すぐに縫合した。獣医師には診せていない。令和3年8月27日~8月31日に被告人が帝王切開した5匹についても、全てではないが立ち会った。仔犬を受け取って羊水を吐かせ鳴かせて拭いて乾かし仔犬を犬舎に持って行く。術後の犬も運ぶ。8月27日~8月31日以前も立ち合い。被告人のやり方はいつも同じ。母犬を寿犬舎から自宅まで運ぶ。手術道具やタオルの用意。体温を計り直したり、アトニンの注射をする。
手術台代わりの場所にヒーターやタオルを引いて、母犬を仰向けに固定し、腹部の毛をバリカンで刈って、術後点滴もするので腕の毛も刈る。腹部を消毒液で消毒。開腹はメスで、下から10cm。5mm開けたらハサミで開腹する。子宮を取り出す事もあれば癒着してる場合は、2cm位ハサミを入れて片側づつ仔犬を取り出す。仔犬の臍の緒を鉗子で止めて胎盤と臍の緒を切り離す。仔犬を受け取って羊水を吐かせたり、母犬は仔犬と胎盤を出してペニシリンをブドウ糖で希釈したものを子宮内部にかけて、子宮を縫合する。
メスで切開する5分くらい前にバリカンで毛を刈る。母犬の呼吸はあって目も開いていてぼーっとしている。メスを入れた時痛がっている様子はない。吠えもない。先に産んでいる犬が吠えていることはあった。縛っている時に身をよじらせている。術中は手術がしずらいことはない。暴れたこともない。子宮を縫っている時や筋肉を縫っている時に、身をよじらせることはあった。術後はじっとしているか産室で寝ているか。

元従業員Aの手術で母犬が亡くなったことはない。被告人は縫合でミスをしたことはない。糸がほつれて開きかかる事はあった。傷は1週間位ふさがるまでにかかる。犬は舐めたりするから手術のせいではない。
被告人からドミトールの話を打ち明けられて、驚いたが納得はできた。切開中大人しかったから麻酔の効果だと思ったから。
寿犬舎は水道水、中山犬舎は井戸水。飼育状況で給餌給水はどのように?給水器の飲み口が故障していたらすぐ替えていた。中山犬舎は世話が間に合わず藻が入る事もあった。病気や怪我は従業員が変化があれば社員でグループラインで全員に周知できるようになっていた。状態を被告人に報告。当時の獣医師に必要であれば検便、薬を処方する。被告人の判断。動物病院に連れて行かずに処置をしたこともあった。オークションで獣医師から処方される薬の使い方の説明を読んでいた。分量も理解していた。

(元従業員A被告人はどの様な犬にどんな治療をしていたか?)例として、仔犬が吸わなくなった、体温を正常にとって処方する薬を伝えられる。皮膚病の時は、3カ月おきに全頭ダニの薬。ヨード液を散布。咳の犬には咳用の薬を与えていた。治療により治っていた。目ヤニ、皮膚炎、耳垢にはダニの薬を一緒に与えていた。目ヤニには抗生物質の目薬を与えていたが一頭一頭は出来ない。

中山犬舎は、夏はブルーシートは開けたまま、春秋は一定時間開ける。冬は開け閉め、扇風機で空気が流れるようにしていた。中山は温度計の設置。室温調整し夏は涼しい外気で30°以下。冬はダルマストーブ。寿犬舎は開けられる時は換気。ストーブを置くことはあったが基本的にエアコン。熱中症は通算して一度のみ中山犬舎で起きた。頭数は一頭、室外に出して被告人に連絡したらすぐ駆けつけてくれた。
従業員の数は中山は足りていない、寿は何とか出来るまで出来た。

元従業員Aは4年前位に足りてないと思った。人が足りなくなった理由は、その時別の従業員によるバイトが辞めてしまう言動が多く、やっていない事に対する罵声、やった事をやってないと、仕事が出来ないと陰口を言っていた。その別の従業員の陰口が一番酷いのは3年前、別の従業員がやめる前。やめたら明らかに増えた。辞める前後では違う。
アトニンから注射器に、瓶から出すのは大変なことではない。いつ起きるか分からないから常に用意している。
天引きされた1,000万円は令和3年12月に返してもらった。返す話しがあったのはもっと前の令和3年の8月か9月で、捜索の前かは覚えていない。給与のベースアップとか。戻せるように言われていた。
緊急で帝王切開をやらないと仔犬は栄養も酸素もいかず亡くなってしまう。母体も危ない。令和3年には従業員にはもうしないと。元従業員A
は続けていたが止めることはできなかった。当時の獣医に頼んでもダメだったと聞いた。専従の獣医師を探している。

再主尋問(検察官)
アトニンは出産の前以外で使ったことはない。注射器に取り分けられていた。
元従業員Aが取り分け。一人で出産対応の時に、(アトニンを帝王切開でも自然分娩でも使っていた?)不在時に自然分娩で指示されたことはない。被告人不在の時に被告人に確認していた。瓶から直接言われたことはなかった。帝王切開で吠えることはなかった。(元従業員被告人の時も?)なかった。帝王切開の時に腸が一度だけ出た。被告人が縫合した。獣医師には見せなかった。
(犬舎の様子で令和3年の9月当時中山はどうであったか?)不潔だった。温度管理も苦労した。(よくない状況だったという認識は?)老朽化が激しかった。早く改善しないと。修理が必要な状態だった。(中山が不潔になったのは?)老朽化はその時から。嫌がられていたから
元従業員Aがやるしかなかった。ずっと汚くてどんどん酷くなっていった。平成24年から改善されないままだった。新しい犬舎を建設中だった。
補充尋問

(左陪席裁判官)
(寿犬舎の冷蔵庫には何が入っていた?)アトニンの瓶。
(それ以外の薬剤は入っていた?)他にもあった。抗生物質、吐き気止め、皮膚病ダニの薬、手術に使う物、注射器は一本だけ。他には冷蔵庫以外にペニシリン、ブドウ糖で希釈したもの、注射器。
(帝王切開が必要になる犬の状態は?)子宮頸部に指を入れて産道が狭い場合、触診で仔犬が大きい場合、頭が大きく鼻の短いフレブルやパグの場合、以前切開したことがある犬の場合は、自然分娩が出来ないから帝王切開にする。犬は元気。たまに活発じゃない子もいるが。(アトニンの様子は自然分娩でも帝王切開でも打ったら犬の状態に違いはあるか?)違いはない、思ったことはない。

(右陪席裁判官)
元従業員は寿犬舎で自然分娩も帝王切開もあった。補助もあった。出産部屋で行っていた。被告人が不在の時に自然分娩する時アトニンは出産状況を説明して。指示があれば。被告人が自然分娩の時アトニンの投与はある。(アトニンの目的は?)子宮が収縮して陣痛が強まるのでいい。水曜不在の時、自然分娩があったけどアトニンの投与は指示があれば。
(緊急を要する場合の帝王切開に際して、アトニン投与せずやることに問題はあるか?)むやみに使ってはいけない。不可能ではないが出血がある。
自然分娩でも帝王切開でもある程度の予測は出来る。何週で産み月が遡って。体温が下がる。1日3回調べる。帝王切開したことがある犬は自然分娩ができない。

(2023年2月1日)

第2回公判を受け記者会見(2023年2月)

当協会Evaは、2月1日の第回公判傍聴後、記者会見を行いました。

初公判傍聴(2022年3月)

2022年3月16日、当協会Evaは、長野地方裁判所松本支部の初公判を傍聴してきました。

日時:2022年3月16日(水)午後1時30分~午後3時
場所:長野地方裁判所松本支部
事件番号:動物の愛護及び管理に関する法律違反 令和3年(わ)第158号
被告人:百瀬耕二
裁判官:高橋正幸
立会検察官原田淳史
弁護人2名
一般傍聴者12名

  1. 人定質問
    氏名、生年月日、本籍、住所は書面記載のとおりで間違いない。
  2. 起訴状朗読
    その前に、検察官から、公訴事実第2について、107頭から90頭に変更する旨の申し立てあり。弁護人異議なし。訴因変更を認める。
    第1 令和3年9月2日、中山犬舎において、犬362頭に対し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させ 
    第2 同日、寿犬舎において、犬90頭に対し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させたものである。
  3. 黙秘権の告知
    裁判官から説明
  4. 罪状認否
    被告人:2件とも間違いない。
    弁護人:被告人と同意見。
  5. 冒頭陳述
    建設会社で勤務しながら犬や鳥の繁殖を始めた。H7頃会社を退職。大翼建設でペット部を作りH10頃からブリーダー業をメインに。

  6. 検察官請求証拠
    検察官から、甲1号証~111号証、乙1号証~29号証の証拠請求があり、弁護人が不同意または留保した以外の大半の証拠について、法廷で取り調べられた。
    もっとも、膨大な証拠の全てを読み上げるのではなく、検察官がポイントを絞って、記載内容や証拠の趣旨を指摘した。

  7. 次回に向けた進行について
    検察官:告発事実について4月初旬に警察から送致予定。追起訴の有無を検討し、する場合は4月中に追起訴する。追起訴した場合、検察から弁護人への証拠開示は520日までに行う。それを受けて、次回公判は621日午後130分。弁護側は有賀証人を予定。

~杉本彩 傍聴記録~

報道席に記者13名~14名おり報道関係者席は全て埋まり、事件への関心の高さがうかがえた。

裁判官から百瀬被告へ起訴状朗読、黙秘権の告知が告げられたあと、検察から起訴事実、元スタッフ11名による証言が読み上げられた。

松本市内の中山犬舎と寿犬舎の2ケ所で、452頭の犬を劣悪な環境で拘束して飼育し衰弱させ虐待した。百瀬被告は、起訴事実に間違いないと認める。

1995年(H7):大翼建設にてプレハブで犬の繁殖を始めた
2000年(H12):中山犬舎が本件の構造になった
2003年(H15):主に母犬を収容する施設として寿犬舎が出来た
2007年(H19):2月28日に中山犬舎施設登録済み
2008年(H20)~2021年(R3):保健所の指導が入るも改善せず

  • 大翼建設のペット部事業となる。
  • 自宅裏敷地にも犬舎を設けるが苦情があり2008年(H20)にやめる。
  • 従業員は、被告を除いた15名にとどまる。
  • 週1回の頻度で約20頭をペットオークションに出品。関東ペットパークに5年前から出品。
  • 2018年(H30)10月~2021年(R3)7月で約4億2千万円を売り上げる

中山犬舎
犬種:19種、500~600頭を収容、見るからに酷い病状の犬は58頭。
453頭を4段に積み上げた小さなケージに2頭ずつ収容。金網の犬舎は固定されていない。ケージが壊れていることから犬が怪我をする。
16.1PPMアンモニア臭で異常に高い濃度を測定しており、臭い物質が生体に影響を及ぼすことが明確で体調に不調をきたすレベル。
ハエとウジが発生。
エアコン等の空調設備はなし。暑い日は、天井のブルーシートを上げ下げするのみ。
散歩やトリミングはなし。
犬舎内は、糞尿が堆積し溢れていて掃除は追いつかない。
病気の犬、繁殖に使えない犬など多数。ぐったりしている犬や体調不良の犬多数。

2008年(H20)前後から、このような劣悪な現状が続いていたと百瀬被告は陳述。
2019年(R1)保健所が立ち入り、清掃スタッフの増員や犬を減らすよう指導。保健所は、松本市内で最も犬の数が多く、最も劣悪施設だと認識していた。

寿犬舎
犬種:15種、捜査報告書によると493頭のうち2頭の死亡確認。291頭が衰弱で虐待頭数は90頭。
劣悪な環境が原因で呼吸器系に問題。その他、殆どの犬に何かしら疾病があり、床ずれ、皮膚病や白内障等の眼病多数。33頭に腫瘍あり。
百瀬被告自ら帝王切開をするが、そのタイミングは百瀬被告が決める。帝王切開していると話しだけ聞いていたスタッフも、術後縫合がうまくいかず腸が飛び出している犬を犬舎にて確認。ドミトール(鎮静剤)を使用。
ハエやネズミが発生し、毎日清掃するが追いつかず悪臭が酷い。犬舎にいるフレブルのほぼ全てにコブのようなものがあった。

2ケ所の犬舎には主に、ミニチュアダックス、シェルティ、フレンチブルドッグ、他不明な犬種もあり。
百瀬被告は、動物取扱事業者の講習も受けていたが改善の努力はなし。
中山犬舎には毎日、寿犬舎には2日に1回行っていたため、本人は現状をすべて把握。
交配に使えなくなった犬は、週1で関係団体に1頭ずつ引き取ってもらっていた。

「虐待の事実についてどう思うか?」に対し、本来なら病院へ行くべきだと百瀬被告は認識していた。
フレブルを主に、2年間で数億円の利益を得ていたが、人手不足と利益を追求したことが理由であること、また法改正により規制が厳しくなったことで、改善は無理だと諦めたと百瀬被告の陳述。

【検察側が証拠として施設内部の映像を公開】

中山犬舎
凄まじい犬の鳴き声。狭いケージの中で狂ったように鳴いている。
犬舎は薄暗く外光は入らない。床は濡れたような感じに見えた。
4段積み上げられたケージには、大量の被毛が網に付着している。
特に酷い犬は、ボロ雑巾のように毛が汚れていた。ケージとケージの間の通路は、人1人歩くのがやっとの狭さ。中山犬舎の奥の壁に大きな扇風機が見えたが、なんの役にも立たないと思われる。時々、壊れたケージから頭を出しているような犬も見えた。

寿犬舎
中山犬舎よりかなりまともな印象ではあるが、それは中山犬舎があまりにも酷いだけで、寿も同様に4段にケージは積み上げられた状態。身動きできない小さなケージに入ったフレンチブルドッグを多数確認。出産した母犬と仔犬もいた。母犬の体調までは確認できず。

現場に入った捜査員や獣医師は、防護服と防毒マスクのようなものを付けていて、どれほど健康被害のリスクがある現場環境かが分かる。
ケージから出て抱っこされていた犬が数頭映っていた。身動きせず抱っこされている犬、腕に顔を埋めて体を固くしている犬、地獄から救われたことを感じたのか、恐る恐るだが、しっぽを振っている犬もいた。

本件は、4月初旬に検察庁に。起訴か不起訴かは、4月28日までに決まる見込みで起訴する場合、次回公判での結審は難しい。
次回公判:6月21日(火)13:30~15:30

初公判を受け記者会見(2022年3月)

当協会Evaは、初公判傍聴後記者会見を行いました。
■記者会見の動画はこちらから⇒https://youtu.be/b608Rch7O58

アニマル桃太郎初公判後記者会見

長野地方裁判所松本支部

動画を見たという話しがあったが、特に印象に残った点は?(信濃毎日新聞 野村様)

身動きも前脚を上げて立つことも出来ない小さなケージの中で大体2頭くらい入れられていて、狂ったように犬が吠えまくっていました。とにかく異常な鳴き声で、心身ともに正常ではないと誰が見てもその状況の異常さというのは理解できたと思います。これまで劣悪繁殖場の虐待状況を見てきましたが、その中でも遥かに程度が悪く、これほど酷い繫殖場を見たのは初めて、というぐらい災害級レベルの虐待現場でした。(杉本彩)

昨年の9月2日に警察が捜索した時の動画がそれぞれ再生されたのですが、中山犬舎と寿犬舎で私の印象は少し違いました。いずれも4段ケージで、先ほどお話しされたのは恐らく中山犬舎の方だと思いますが、映像は10分程でしたが、見ているだけでも耳が痛くなる吠え声で、こちらもおかしくなる程でした。こちらに立ち入られた警察や獣医や関係者は、さぞ大変だっただろうと感じました。(細川敦史弁護士)

長野地方裁判所松本支部

次回以降、被告人質問が予定されていますが、被告人にはどういった姿勢で臨んで欲しいですか?
(信濃毎日新聞 野村様)

「反省している」といった文章の読み上げもありましたが、それは分かりません。あの状況に至ったことを、法改正されたことを理由に現実的に自分たちは改善できなかったから諦めたなど、法改正そのものに責任転嫁し言い逃れしている印象を受けたので、心から反省しているとは到底受け止められません。
とにかく私たちは、行った行為、罪に対し厳正に裁いていただきたい。これは、単に不適正に飼養したといった虐待のみで終わらせるというような事案ではありません。あのままでは明らかに死ぬであろうという事は当たり前のように分かりますし、死亡した事実衰弱した事実が証拠として沢山でてきている訳ですから、明らかに殺傷罪に問われるべき事件だと思っているので厳正に裁いて頂きたい。(杉本彩)

ペット業界が利益を追求する傍らで起きた事件であると思いますが、業界全体の改善についてEvaとして発信していくつもりはありますか。(中日新聞松本支局 右田様)

アニマル桃太郎のように劣悪環境で大量生産した犬がオークションに流れ、ペットショップのショーケースで展示販売されています。これが繁殖場の温床になっていて、ペットビジネスを支えているので、生体展示販売という業態が存在する限り、こういう業者が出てくるのは当たり前だと思います。
今回の事件は、内部告発者がたまたま当協会にご相談下さり、刑事告発をしたから事件となりましたが、これは何も特別な事ではなくまだまだこういった事は顕在化していないだけで氷山の一角に過ぎないと思います。事実、当協会には他の地域のこれに等しい、あるいはこれを上回るのではないかといった相談も受けています。

しかも、街中でよく目にする大手ペットショップがアニマル桃太郎の犬を販売していました。大手ペットショップとこうした劣悪な繁殖場が繋がっていて、商売は成り立っている事は明らかです。生体展示販売という業態自体を今後見直していかなければ、いくら法律が厳しくなっても行政のチェック機能が働いていない限りは、こうした大量に犬の繁殖をする劣悪な繁殖場はなくなっていきません。(杉本彩)

長野地方裁判所松本支部

行政の失態もあるとのことですが、法改正があった事も踏まえ、今後行政はどういった対応をしていけばいいとお考えですか。(中日新聞松本支局 右田様)

法改正前からこれは明らかな虐待でした。本来であれば、きちんと行政が動いて、指導、勧告、命令、業の取消が出来たわけですから、しっかりと自分たちの役割を果たしていれば、ここまでの被害は出なかったのです。ある種、分かっていながら見逃してきた、という部分の罪は大きいです。しかも常にマンパワー不足とか、明確に指導できる基準がないという言い訳をずっと言ってきました。ですが今回、飼養管理基準省令(数値規制)が定めれられ、指導しやくなったので、今後行政がどれだけ責務を果たしてくれるのかを注視していきたいです。今後はそういった言い訳は通用しないと心底思います。

また動物だけの問題ではなく、人獣共通感染症の問題などもありますし、社会全体を守っていく、人の健康と安全を守っていくという、重要な使命感を持って行政には動いていただきたいと心から願います。(杉本彩)

コロナでペットを購入する人が増え...という背景を訴える人もいます。儲かるビジネスモデルというのは、需要と供給があるからだと思っているのですが、コロナ禍でのペットブームやこうした背景についてはどう思いますか。(テレビ信州 大和様)

コロナ禍でおうち時間が長くなり、動物に癒されたいとか家で楽しく過ごしたいとか、人間目線の勝手な理由で、動物を安易に購入している方が激増したという事は厳然たる事実です。ですが徐々に生活が元に戻る中で、動物の飼育がこんなに大変だとは思わなかった、もう世話することができないと、飼育放棄する人たちが本当に多いです。結局こういった事が起きる原因は、安易に購入できる生体展示販売があるからです。とにかく売れる時に売り損じたくないペットショップが販売を促す宣伝をし、繁殖屋がとにかく無理な繁殖を強いるわけです。アニマル桃太郎でも、飼育管理が難しいフレンチブルドッグを多数飼育していて、2年間で、数億円の利益を上げていました。
法律を改正するのは非常に時間が掛かります。ですので消費者には、責任ある、モラルある、消費行動を心掛けていただきたい。
大量生産、大量流通には不良在庫や余剰在庫がつきもので、普通の商品であればみんな廃棄されていきます。それと同じように、動物の命も流通過程の中で多数命を落とし、犠牲を強いられている現状があります。展示されている仔犬仔猫のバックヤードや展示される前の流通過程、そして繁殖場の親犬にどれくらいの苦しみと犠牲があるのかを少しでも想像して頂きたい。動物が好きで動物を守りたいと思われる方は、どこから犬や猫を迎えるのがいいのか今一度考えていただきたいです。(杉本彩)

こういう機会を通じ、メディアの方に報道していただくというのはかなり意味があると思います。(細川敦史弁護士)

長野地方裁判所松本支部

フランスはペットショップ(での犬猫の販売)を禁止にしますが、その辺りはどうお考えでしょうか?また、今回の会見の意図は?(NHK長野放送局 川村様)

2024年からフランスもペットショップでの犬猫の販売が禁止になりますが、その背景には、衝動買いによってペットが捨てられることを防ぐという意味があります。可愛いものを見ると衝動的に欲しくなるというのが人間の弱さなのですが、冷静に考えていただくためには、より多くの方に、今回の事件を知って考える機会にして欲しいです。今回の記者会見は、傍聴後の率直な思いと、動物虐待の現状というものを一人でも多くの方に知っていただきたいという思いから開かせていただきました。(杉本彩)

今回動物愛護法違反、第44条1項と2項で告発しています。年末から年始にかけ「厳罰に処するべしだ」という署名活動も行い、その流れで今日の初公判で何を認否するか分からなかったのですが2項虐待については認めた、という事が分かった中で、改めて厳罰に処すというメッセージを出す。という事で開きました。(細川敦史弁護士)

ペット業界はいつも「世の中にニーズがあるから売るのだ」と必ず言うので、ニーズを減らす重要性を非常に感じている中、こうして会見することで多くのメディアに取り上げていただき、市民の皆様気にづいていただきたいという目的があります。ずさんな繁殖をしているので、購入後に体調が悪くなって死亡してしまったり、また知らずに先天性疾患を抱えた仔犬仔猫を購入してしまい、後から莫大な医療費が必要になったりとそういう被害もたくさんあります。動物の苦しみはもちろんですが、飼い主さんも精神的金銭的に、もの凄くきつい事です。そうならないためにもこういった問題を知って欲しいと切に願います。(杉本彩)

令和4年3月16日

長野地方検察庁松本支部へ署名提出(2022年1月)

Evaは、1月6日に締め切った5,0842筆の署名を、兵庫県の細川弁護士と共に長野地方検察庁松本支部の担当検事に提出してきました。
検事からは、現時点で詳しい事はお伝えできないが、警察の全ての捜査内容を見た上で慎重に判断していきたい。これだけ短期間で多くの方が署名に賛同したという事、そして一人の人間として無資格者による帝王切開といった行為はあるべき事ではないということは理解している、との事でした。
このあと公判請求となり裁判が始まります。今回の署名にある「殺傷罪」が追起訴となるかどうかは初公判まで確定し、追起訴されたら虐待事件と併合して審理することになります。
Evaでは引き続き裁判の行方を厳しく注視していきたいと思います!

令和4年1月7日

長野地方検察庁松本支部へ署名提出

厳罰化を求めるネット署名について(2021年12月~2022年1月)

当協会evaでは、逮捕された長野県松本市の劣悪繁殖屋の男性による母犬の腹を無麻酔帝王切開で仔犬を取出していた事件について厳罰化を求める署名を集めました。

■署名期間:2021年12月21日~2022年1月6日(木)<16日間>
■署名数:50,842筆

ご賛同と拡散にご協力頂いた皆様、心より感謝申し上げます。皆様の署名は、責任を持って長野地方検察庁松本支部にお届けに上がります。

令和4年1月6日

長野県松本市 犬の劣悪繁殖屋 元代表逮捕(2021年11月)

当協会が刑事告発していた、劣悪な環境で約1,000頭もの犬の繁殖を続けていた元代表と、従業員の男が、今朝動物愛護法違反容疑で11月4日朝逮捕されました。

▼劣悪環境で犬多数飼育 動物愛護法違反の疑いで逮捕へ(信州NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20211104/1010020413.html

劣悪環境飼育 松本署が前代表ら2人逮捕へ 犬400匹虐待疑い
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021110300595

【速報】劣悪環境飼育 松本署が前代表ら2人逮捕
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021110400122

令和3年11月4日

告発状提出・受理(2021年9月)

長野県松本市劣悪繁殖事業者を動愛法違反で刑事告発 告発状受理

2021年6月に、当協会に一本の虐待通報が地元動物病院の奥原淳獣医師から寄せられました。その内容はにわかには信じられないほどの頭数と管理の悪い環境での飼養、そして人間の行為とは思えないほどの残酷な行為が具体的に綴られていました。

すぐに連絡を取り、まとめてくださった報告書を確認すると、これまで経験した虐待事件とは比べものにならないくらいの災害レベルの規模と劣悪飼育の実態が分かりました。

その後、長野県警に連絡を取りその報告書を提出、告発状提出の前に通報者である動物病院や関係者に細かな聴取をしてくださり、皆さんが知ることになった9月2日と3日に大規模家宅捜索が行われました。警察署ご担当者様においては心より感謝いたします。

当協会は、動物愛護管理法違反(44条1項・2項)及び狂犬病予防法違反により刑事告発し、その他各種法令違反についても鋭意捜査を要請しました。告発状は、9月14日付で受理されました。

長野県松本市劣悪繁殖屋

施設では、4段から6段もの手の届かないほど高く積み上げられたケージに1~3頭ずつ入れられ、糞尿が上段から垂れ落ち、世話はもちろん行き届かず死体も多数出ていました。毛玉に覆われようが爪が伸びっ放しだろうがそんなことは序の口で、怪我や病気であっても適正な医療にもかけず、死んだら生ゴミと一緒に捨てられます。

人気犬種のフレンチブルドッグは、陣痛がくると毎回四肢をキツく固定し動けぬようにし、獣医師免許を持たないド素人のオーナーが毎回無麻酔で腹を切り仔犬を取り出していました。

そんな命を命を思わない管理であったので、狂犬病予防接種についても未接種の疑いがあります。

そして、今回史上最悪の多頭飼育であることから、捜査段階から犬の行先について検討していました。当協会や通報してきた獣医師の先生も信頼できる動物愛護団体さんや関係者にお話しし「そういう段階になったら協力して欲しい」と事前準備をしていました。

ですが、9月2日、3日の捜査後、オーナーは少しずつ所有権を手放し保健所に移す、また保健所もそのように指導するということでしたが、9月6日になり、どうやら全頭事業者に移動したようだとの連絡が入り関係者一同愕然としました。聞くところによると、恐らくオーナーと付き合いのあるペット関連事業者に全頭の所有権が移り、そこから業界団体と繋がりのある業者に移動したとのこと。
そこから終生家族同様大切に育てていただける家庭に行けるならばいいのですが、おそらく事業者絡みでは、販売か、繁殖可能の若い個体なら繁殖犬に回されるでしょう。

捜査中にも関わらず、嫌疑がかけられている者の所有権が通用してしまうこと自体由々しき問題だと思います。所有権は、どの動物虐待事案にも大きな壁となることから、かねてより訴えている緊急一時保護と所有権の一時停止の制度作りは、今後最重要課題だと言えます。

それと同時に、登録制が始まって以降、15年以上取扱業の登録・更新を認めていた県の動物行政においては大きな責任があると思います。これまでも虐待通報があったにも関わらず、適正な行政指導を行ってこなかったことで、計り知れない長い期間そして多数の命が日の光を見ることもなく、まさに闇から闇へと葬られたことになります。

当協会は、今回の事案において事業者だけの問題とは思っていません。法改正、行政の在り方について厳しく声をあげていきたいと思います。

処分については随時このページからご報告していきます。

令和3年9月14日

Evaオリジナルグッズの販売ぺージへ

teamexpo2025

地方創生SDGs官民連携プラットフォーム

いのち輝くこどもMIRAIプロジェクト

yahooネット募金

つながる募金

Otameshiおトクに試して社会貢献

『公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva』に、いいね!やシェアだけで支援金を届けられます。~ NPO/NGOを誰でも簡単に無料で支援できる!gooddo(グッドゥ) ~