沖縄やんばるアクションプラン(2023年2月)

 2023年2月沖縄やんばるアクションプランについて

ずっとやんばるずっとうちネコアクションプランについて環境省ヒアリング

昨年(2022年)10月3日から11月2日にかけて、沖縄県が「沖縄島北部における生態系保全等のためのネコ管理・共生行動計画(案)」に対する意見を募集しました。
案は「ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン」というものにまとめられています。

沖縄やんばるアクションプラン会議

▼ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン
沖縄島北部における生態系保全等のためのネコ管理・共生行動計画

  • 目標1.森林域においてネコが確認されなくなること
  • 目標2.沖縄島北部のすべての飼いネコが適正飼養され、飼い主不明ネコがいなくなること
  • 目標3.沖縄島北部以外からネコが流入しない状態とすること

<参考資料>
https://www.pref.okinawa.jp/site/iken/r4/documents/nekokanrikyouseikoudoukeikaku.pdf

主体は、沖縄県と沖縄県の国頭村、大宜味村、東村の3村、そして環境省沖縄奄美自然環境事務所の5者。2023年度から10年間で、やんばる3村の森林域や屋外にいる猫をゼロにする方針。

この案を巡り、昨年から全国多数の動物愛護団体他、活動している方々から多数のお問合せをいただき、当協会Evaでもこれまで意見交換を重ねました。

先月頭に、この件について超党派動物愛護議連の国会議員の方々が、環境省 自然環境局 野生生物課と動物愛護管理室を呼んでいただき、大学教授や獣医師、動物愛護団体を含め、環境省の見解を伺う議論の場を設けてくださいました。
だいぶ日にちが経ってしまいましたが、レポートをまとめましたので、ここにご報告いたします。

【アクションプランにおける問題点について】
各問題点について、出席者から出た意見は次の通り

根拠が薄弱であり、証拠に基づく政策立案(EBPMエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)になっていない
そもそも対象地域の猫の生息数の推定は行っていないこと。予算を付けるからには、猫の管理計画の中において、仮に何頭位の捕獲になるとし、そこから捕獲にかかる費用を算定されなければならない。たまたま一例二例の糞の中から、希少種の体毛が見つかっただけでは証拠にはならない。
予算の最適範囲を考えた時に、希少種保護という政策目的で、猫にどれだけの金を使い、例えばロードキル対策にどれだけの予算を使うかなどを考えないと、効果達成にはならない。希少種を守るために何が必要なのか、を客観的根拠的に考えた上で計画を立てる必要がある。今のままでは到底エビデンスベースではない。

環境省から示された、ヤンバルクイナ推定個体の経年変化を見ると、2011年以降2021年まで横ばいであるが、その間1,000頭以上のノネコが捕獲駆除されているにも関わらず、ヤンバルクイナの数が増えていないことを踏まえると、そもそもそこに猫との因果関係はないのではないか。
希少動物の数が、事業をやった前と後で変わっていないのであれば、関係ないのでは。そこに事業そのものの正当性はあるのか。影響を及ぼしていることへの科学的根拠があいまい。

◆捕獲対象がノネコから猫(愛護動物)に
奄美大島の管理計画の前提条件は、動物愛護管理法上の愛護動物「猫」とは別に区別された、鳥獣保護法の施行細則の狩猟鳥獣としてのノネコを捕獲するという言い方だった。それが、今回のやんばる計画では「猫」になっている。愛護動物の「猫」とノネコの区別がどこにいってしまったのか。
ノネコだけに限定された捕獲対象が猫全般に広げられた時に何が起きるのか、野良猫は、動愛法上の愛護動物ではないのか?野良猫が駆除対象としてノネコと同じように波及した場合、動物愛護活動を行う人にとっては脅威となるであろう。

環境省から示された質問16の答えに、「動物愛護管理法の趣旨からすると、愛護動物とは"一般的に人間に飼養されている動物を言い"と書いてあるが、動物愛護法の44条の第4項には、1号に無制限に猫が入っていて、2号には人が占有している動物で哺乳類と別れている。
環境省が「一般的に人間に使用されている動物を言い」と言うのは間違いではないのか?

<環境省:動物愛護法の44条の第4項には1号にまず、牛・馬・豚・めん羊・ヤギ・犬・猫・いえうさぎ・鶏・いえばと及びあひる、と列挙されているが、ここにあげられている動物については、人に飼養されることが前提のもの。>
いや、そもそも1号に前提とは書いてない、加え4項2号には、人が占有している動物で哺乳類と書いてあり、1号はそのような条件ではない。
<環境省:法的な解釈について一度確認したい>

そして、鳥獣保護管理法の第2条第7項の規定に狩猟鳥獣に位置づけられていると、環境省が法律に反して入れたのだが国会議員としては法律を無視して書かれるというのは大変遺憾である。
また44条の4項1号には、わざわざ猫のあとに、いえうさぎ・いえばと、及びあひるとある。ここには「いえねこ」と書いてなく、わざわざ「いえばと」「いえうさぎ」とか書かれているが、猫にはついていない。それでいうと、猫は一般的に愛護動物ではないか。
<環境省:確認します>

◆目標1の実現可能性の低さについて
生息頭数も分からない中で、「森林域において猫が確認されなくなること」を目標とするのは実現可能性が極めて低い。
ヤンバルクイナを保護するというのであれば、ヤンバルクイナを守るには何が必要かを考えるべき。「猫を見かけなくする」というのを目標にするのは、猫が一匹もいなくなるまで延々と税金を投与し続けることになる。
<環境省:頑張って捕っているから、この数字になっている。もし捕獲をしてなかったらもっと減っていたという見方もある。>

◆殺処分がなくなることを目指す動物愛護管理法との矛盾
全国的な動物愛護の機運の高まりで、殺処分ゼロの方向に向かっている中、沖縄県でこうしたことが並行して公然に認められることに政策的な整合性はとれるのか。

◆「捕食」という語句の使い方について
採取した猫の糞から希少種が検出されたことが、捕食が判明したとの理由付けになっているが、そもそも捕食とは捕らえて食うことであり、例えば数匹の猫が1体の死体を食しそれが糞になるというケースも考えられる。一例をもって全てが「捕食」による統計とは言えず統計の信用性に欠ける。
<環境省:確かに生きている物・死んでいる物の区別は分からない。ご指摘を踏まえて検討したい>

◆沖縄本島から次は本州にまで波及
アクションプラン(4ページ)は、沖縄県にとどまらず日本全体の一般論として示されており、猫に対する影響が沖縄県だけにとどまらず、日本全体の話として拡大解釈される可能性がある。
「ペットとしての猫は、国内において犬の飼養数を超え、約900万頭が飼養されている、その一方で飼い猫とは別に飼い主不明猫が屋外に多数生息しており、不適正飼養や無責任な餌やりなどの行為が飼い主不明ネコの発生を助長している。そうした状況が生態系に深刻な影響を与える可能性がある(抜粋)」
となっており、この部分が、手始めにこのような理由で沖縄本島から行ったから、次は日本列島全般でやるのではないかという危機感や恐怖感に繋がる。

◆猫そのものを敵視するような政策に対し、国民意識への悪影響
全国的にただでさえ動物虐待の標的になりやすい猫について、猫は生態系を乱し希少種を絶滅させる生き物であると解釈をする者も現れ、虐待行為すら正当化する恐れがある。一つの施策が、どのような影響を及ぼすか想像力を持ち且つ正確性を期するべき。



事前に寄せられた質問1~質問21に、環境省が答える形式であったが、以上のように全体的に科学的根拠があいまいで納得いく説明を聞くことが出来なかった。

誰もが希少種も大事だと思っていて、では希少種を守るためにはどうしたらいいのか?ということなのだが、はっきりとした猫の生息数も分かってなく、また調べ方もあいまな中、愛護動物の猫まで対象とすることで、譲渡先が見つからなければ殺処分を懸念する声が上がるのは当然であり動愛法の観点から政策的な整合性は取れない。捕獲するだけして愛護団体だけに引き取りを頼る状況が続けば団体が立ち行かなくなる恐れも大いにある。
TNRの実施及び捕獲した猫の情報をオープンにしそして積極的に譲渡されること、対話を通じて殺処分ではなく話し合いをしていくということを是非していただきたい。希少動物の重要性は分かるけれど、それが、虐待してはならない存在の愛護動物である猫を全滅させるような取り組みになっていることが間違っているため、解決できるよう環境省には改めて譲渡の在り方や計画の見直しなどをお願いし今後の動きを注視したい。

【環境省から現状のスケジュールについて説明】
昨年10月パブリックコメント実施をし、皆様の意見をいただいた。現在沖縄県でパブリックコメントに対する整理・まとめをしている。その作業次第でいつ案が案でなくなるか。年度としては、2023年度からのものになる。沖縄県には物事がきっちり解決していくように、働きかけたいと思う。

(2023年3月15日)

アクションプラン4月からの実施は延期

2023年3月14日沖縄タイムス

こちらのアクションプランですが、当初目標としていた4月からの実施は困難とのことで、延期の一報がありました。

【記事より】
アクション世界自然遺産区域内に生息する希少種を保全するためのネコ管理計画案を巡り、目標としていた4月からの実施は困難との認識を示した。
県が昨年実施したパブリックコメントに600以上の個人・団体が意見を寄せ、計画を立てている国頭、大宜味、東の3村、環境省沖縄奄美自然環境事務所との調整に時間を要するためという。
2022年度、野良猫に不妊去勢手術をして元の場所に戻す「TNR活動」に試験的に取り組んでいると明らかにした。本島内4か所を対象に今年1月から運用に着手。23年度も継続する予定。

(2023年3月14日沖縄タイムス)

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