先日Evaは、かねてからお付き合いのある北関東の団体さんのシェルターにお伺いしました。お邪魔するのは今回が2度目、こちらの団体では、広い敷地の中常時100頭以上の犬を保護、定期的に里親会を開催し新しい飼い主さんを見つけています。
先日伺った時、そこには最近レスキューしたという25匹の犬がいました。
その犬達は同じく北関東の某所にある引き取り屋から来た犬達です。状態の良い子はお金を払い引き出し、そうでない子は無料で引き出したとのことです。
■引き取り屋とは
ペットショップなどの流通過程で売れ残った子犬子猫や、繁殖場で繁殖能力が衰えた犬を、1匹あたり数千円~数万円程度の費用を受取り引き取るビジネス。
売れる犬は自分の店で転売、繁殖可能な犬は子犬を産ませ販売する。
平成25年9月に施行された改正動物愛護法により、行政は終生飼養の原則に反し、引取りを求める相当の事由がないと認められる場合は、業者等からの犬猫の引取りを拒否できることになったため、ペット業界は引取り屋に頼っているのが現状。
一方でそれでも売れ残る、又は繁殖にも使えない犬猫は、ケージの中に入れられたまま、給餌や掃除の世話などされない状態で置かれる。
大量生産・大量消費の中、食品をはじめ多くの製品でさえ当たり前のように賞味期限切れや余剰在庫、B品、わけあり品、返品があります。
では犬や猫が商品になった場合はどうでしょう。犬や猫だからそのような不良在庫などはない?いえ命を販売するという事は、在庫処分に困る商品同様、犬や猫の命がそれにあたるのです。
先日5月26日には、NHKクローズアップ現代で引取り屋について番組が放送されました。
クローズアップ現代「追跡!ペットビジネスの闇」
そこに映った現場はまさに生き地獄。
そんな中ただ息をしているだけの犬猫の状態はというと、爪が伸びっぱなしで毛玉に覆われぐったりとしたまま動かない犬や、耳ダニが放置され自分でかきむしり大きな傷を負っている猫。金網の上に堆積したフンの山のケージの中で生かされている犬、もはや犬種が何なのかさえも分かりません。
このような動物虐待の状況下で商売を営むことができる現実、では動物愛護法とはいったい何のためにあるのでしょうか。
いかに安く生産し、いかに高く売るか、生体販売というビジネススタイルが、悪質ペット業者の温床となっています。大量生産大量消費があるがゆえに余剰在庫という犬猫を引き取るビジネスが横行するのです。
環境省は、悪質な業者を取り締まるために、「繁殖回数」の制限や「飼養施設規制」に明確な基準を設けることを検討していくことを昨年10月に報じました。ですがこの件は、前回の動物愛護法改正の際の課題のなかで、取り残しになっていた課題です。今だ進まないその課題がいつ確定するのか、ではそのできた新規制を権限を持って業者に規制することが出来るのか、規制ができただけでは「絵に描いた餅」でしかなりません。
そんな中、不衛生な虐待的環境でただ生かされている犬や猫は、今この瞬間も存在し、その中から息絶え人知れず闇へと消えていく命があります。行政殺処分の数にも入らない犬猫の命があることについて、今一度、大量生産・大量消費の流通スタイルの見直しが不可欠です。
新たな規制に時間がかかるなら、虐待的環境で飼育している取扱い業者規制を強化し、今存在している命を救うべきではないでしょうか。そして引取り屋への犬猫の流通ルートを経ち、業界は過剰生産を即刻やめていただきたい。そう願います。
(2016/06/22)