第4回(2023.11.8)│第3回(2023.10.16)|第2回(2023.9.19)|第1回(2023.8.25)
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて①国民の間に動物を愛護する気風を招来し、②生命尊重、友愛及び平和の情操の涵かん養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。
■島弁護士:「動物福祉」の文言を加えるべき。下線②を「動物の福祉の向上を促進するとともに」とする。
■JAVA和崎様:動物福祉とは何かを明確にし、下線①を「国民の間に動物福祉を守る倫理的責任を根付かせ」に変更する。
(基本原則)
第二条 動物が①命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、②人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
2 何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。
■島弁護士:「人にとっての利益」という文言を入れるべき。下線②を「人と動物の共生する社会の実現が人にとっての利益でもあること」とする。
■JAVA和崎様:
・「5つの自由」を盛り込む。すでに「飢えと渇きからの自由」「肉体的苦痛と不快からの自由」「外傷や疾病からの自由」に相当する文言は現行法に記されているので、残りの「恐怖や抑圧からの自由」「正常な行動ができる自由」を追加するべき。
・下線①「命あるもの」を「命あるもの、苦痛を感じるもの」とする。「命あるもの」だけでは、動物をただ生かしておけばよいとも受け取られかねず、「苦痛を感じるもの」も並列すべきである。
第三章 動物の適正な取扱い
第一節 総則
(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、①その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。この場合において、その飼養し、又は保管する動物について第七項の基準が定められたときは、動物の飼養及び保管については、②当該基準によるものとする。
2 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その③予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
3 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4 動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
5 動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、④繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
6 動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。
7 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、動物の飼養及び保管に関しよるべき基準を定めることができる。
■JAVA和崎様:
・下線②を「当該基準を遵守しなければならない」と改める。
・下線①「適正飼養」と④「繁殖制限」を「しなければならない」と改める。
・下線③「疾病の予防」は「予防に努めなければならない」とする。
適正飼養・繁殖制限・疾病の予防は、動物を飼養する上で当然のことであるにもかかわらず、違反が後を絶たない。義務とすることで、行政の指導がしやすくなり、指導の徹底と確実な改善のため、遵守を義務化する必要がある。
・第7項の基準に、自治体の収容状況を改善するため、自治体の収容施設に係る全国一律の技術的基準を定め、加える。
(動物販売業者の責務)
第八条 動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の種類、習性、供用の目的等に応じて、その適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明をしなければならない。
2 動物の販売を業として行う者は、購入者の購入しようとする動物の飼養及び保管に係る知識及び経験に照らして、当該購入者に理解されるために必要な方法及び程度により、前項の説明を行うよう努めなければならない。
■JAVA和崎様:
・「動物販売業者の責務」の対象を、販売業者だけではなく動物を譲渡する者全般に拡大する。安易に動物を譲渡してしまう自治体、愛護団体、個人もいるため。
・「動物を譲渡す者は、譲受ける者が適正飼養できることを確認すること」と義務付ける。生き物を安易にプレゼントするイベントがあるため、不適切という事を示す必要がある。また、譲渡については現行法に規定がないため、追加が必要。
・飼養動物のホワイトリスト制を導入し、飼育してよい動物を指定し、それ以外の動物を飼養不可とする。家畜化されていない野生由来動物の飼育は不適切であるため。
第7項の基準のところ、家庭動物だけではなくて、産業動物、展示動物、実験動物の基準も作られているが、動物福祉に配慮した内容に一切なっていない。これらの内容についてもしっかりと見直していく。特に産業動物に関しては、農水がアニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理基準を作成しているので、そういったものと連動させる。展示動物は、日本動物園水族館協会が、世界基準の動物福祉基準というものを作成している。そいういったものを参考にして作られるといい。
緊急一時保護を盛り込む際は、第十条の除外規定を撤廃することは絶対お願いしたい。昨年不起訴になったが、愛媛県で豚が農場で飢えて死んでしまった件や、今年島根県の農場で労働者が牛の虐待をしていた動画が出回った。茨城県の畜産動物センターでも長年、牛たちを従業員(準公務員)が殴る蹴るの虐待をしていた。結局、畜産動物も実験動物も、保護される規定がないことが問題なので。
「緊急一時保護制度」及び「飼育禁止命令」導入に関して警察庁、地方自治体から運用面の課題等についてのヒアリング及び、諸外国の事例について。
10月30日からマイクロチップに関する手数料についてのパブリックコメントを開始している。詳細についてはHPをご確認頂きたい。
⇒動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案に対する意見の募集(パブリックコメント)について|e-Govパブリック・コメント
1. 旧来の「物」概念ではとらえきれない動物の性質
2. フランスにおける議論
農業海洋漁業法典L.214-1条
すべての動物は感受性(感覚)ある存在であり、その所有者によって、その動物の種類の生物学的要請に適合した条件の下で飼育されなければならない。
民法典515-14条
動物は、感受性(感覚)を備えた生命ある存在である。動物の保護に関する法律を留保して、動物は財産に関する制度に従う。
吉井先生から「自然人」「法人」に次ぐ第3の「人」として動物を位置付けるか、という議論がフランスである、というお話しがあったが、日本では今、第2の「法人」として動物を位置付ける、という議論がありそれについてご紹介したい。
1.動物愛護管理法における動物の位置づけ
2. 民法における動物と動物法人の議論
動物の法的な位置づけについて、諸外国の事例について説明をいただく。
国 | 規定内容 |
---|---|
ドイツ | 動物は物ではない。動物は、特別の法律によって保護される。動物には、別段の定めがない限り、物について適用される諸規定が準用される。(ドイツ民法典第90a条) |
オーストリア | 動物は物ではない。動物は、特別の法律によって保護される。物について適用される諸規定は、別段の定めがない場合のみ、動物にも準用される。(オーストリア民法典第285a条) |
スイス | 動物は物ではない。動物に対して別段の定めがない限り、物について適用できる諸規定は、動物についても有効である。(スイス民法典第641a条第1項-第2項) |
フランス | 動物は、感覚を備えた生命ある存在である。動物の保護に関する法律を留保して、動物は財に関する制度に従う。(フランス民法典第515-14条) |
国 | 規定内容 |
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英国 | ・検査官・警察官は、何らかの保護動物が苦しんでいると合理的に考えられる場合、その動物の苦しみを緩和するために、直ちに必要とみなした措置を講じることができる。 ・保護動物が苦しんでいる又は状況が変わらなければ苦しむことが見込まれると獣医師が証明する場合、検査官・警察官は当該動物を押収できる。例外的に、獣医師を待つことが現実的ではないほど押収を行う必要性が高い場合は、獣医師の証明は不要となる。 ・検査官・警察官は、①その敷地内に保護動物が存在し、かつ、②その動物が苦しんでいる又は状況が変わらなければ苦しむことが見込まれると合理的に考えられる場合には、保護動物の捜索及び押収等を目的として、敷地に立ち入ることができる。 (根拠法:2006年動物福祉法第18条、第19条) |
スイス | ・動物が放置されていたり、全く不適切な条件で飼育されていることが判明した場合、所轄官庁は直ちに介入しなければならない。 ・所轄官庁は、予防措置として動物を押収し、動物飼養者の費用で適切な場所に収容することができる。必要な場合は、動物を売却するか安楽死させるよう手配しなければならない。 (根拠法:動物保護法第24条) |
スウェーデン | ・動物が不当に苦痛を与えられており、監督機関の命令後もそれが是正されない場合等に、県中央行政庁は、動物を一時保護するよう決定しなければならない。 ・動物が苦痛を与えられており、かつ動物の苦痛が改善される見込みがないと判断される場合等には、県中央行政庁又はスウェーデン警察は、動物を即時一保護するよう決定しなければならない。 (動物保護法第9章第5条、第6条) |
米国(州) | ・動物を狭い乗物に閉じ込めて危険な状態にさらすことを禁止する又は乗物から苦しんでいる動物を救出した者に免責を認める法律を、31州が制定している。 ・このうち14州は、警察官・消防士等だけでなく全ての市民に対して、動物を救出する権利を認めているが、ほとんどの場合、救出前に「車内に強制的に侵入うる以外に救出手段がないことを確認する」「救急電話番号(911)又は地元の警察に通報する」といった手順を踏むよう要請している。 |
国 | 規定内容 |
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英国 | ・動物虐待等により有罪判決を受けた者が、違反行為が行われた動物の所有者である場合、裁判所は、その者の当該動物に対する所有権を剥奪し、かつ、当該動物に対する措置を命じることができる。 (根拠法:2006年動物福祉法第33条) |
ドイツ | ・合理的な理由なく動物を殺害する、動物に対して著しい痛み、苦しみ又は危害を与える等の違法行為に関連する動物は没収される。 (根拠法:動物保護法第19条) |
フランス | ・飼い主が動物虐待で有罪判決を受けた場合、又は飼い主が見つからない場合には、裁判所は虐待された、又は遺棄された動物の処遇を決定する。裁判所は、当該動物の没収を宣言し、動物愛護団体に引き渡すことを命じる判決を下すことができる。 (根拠法:フランス刑法典第521-1条第6項) |
米国(アラスカ州) | ・裁判所は、虐待を受けた動物が、州又は当該動物に保護、世話、医療を提供している保管者に没収されることを求めることができる。 (根拠法:アラスカ州Stat. 11.61.140) |
国 | 規定内容 |
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英国 | ・動物虐待等により有罪判決を受けた者につき、裁判所は、動物全般又は特定種の動物の所有・飼育・取引・輸送等に関して、裁判所が適当と考える期間の資格剥奪命令を出すことができる。 (根拠法:2006年動物福祉法第34条) |
ドイツ | ・合理的な理由なく動物を殺害する等の違法行為により有罪判決を受けた者等に対して、裁判所は、その者がさらに同様の違法行為を行うであろう危険が存在する場合には、動物全般又は特定の種類の動物につき、その保有、世話、取引、その他業として当該動物を扱うことを、1年以上5年以下の期間又は永久に禁止することができる。 (根拠法:動物保護法第20条) |
スイス | ・動物保護法及び施行令に定める規定等に繰り返し又は重大な違反をして有罪判決を受けた者に対し、所轄官庁は、特定又は不特定の期間、動物の飼養、繁殖、取引等を禁止することができる。 (根拠法:動物保護法第23条) |
スウェーデン | ・県中央行政庁は、動物を虐待した者等に対して、動物を管理することを禁止(動物禁止)するよう決定しなければならない。ただし、動物禁止を導く事情が他で繰り返されない可能性が高い場合には、動物禁止を決定してはならない。 ・動物禁止は、全ての動物種を対象とすることも又は単一若しくは複数のづ物種に対象を限定することもできる。動物禁止は、特定の数よりも多数の動物を管理することを対象とすることもできる。動物禁止は、一定の期間、又は当分の間適用うることができる。 (根拠法:動物保護法第9章第1条、第2条) |
フランス | ・動物虐待で有罪になった者について、永久に、又は非永久的に動物を所持することを禁止する補充刑を科す。 (根拠法:フランス刑法典第521-1条第7項) |
米国(州) | ・2022年現在、20の州が、動物虐待で有罪判決を受けた者に対して、動物の所有を禁止している。この他、20の州、グアム、ワシントンD.C.では、動物虐待で有罪判決を受けた者に対して、裁判所の裁量で動物の所有を禁じることができる。 |
<Evaからの意見>
「動物の緊急一時保護に関する所有権の課題」に関して、これまでの国会での議論を整理して頂き、衆議院環境調査室にご報告頂いた。
(避難等の措置)
第四条 警察官は、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、又は財産に重大な損害を及ぼす虞のある天災、事変、工作物の損壊、交通事故、危険物の爆発、狂犬、奔馬の類等の出現、極端な雑踏等危険な事態がある場合においては、その場に居合わせた者、その事物の管理者その他関係者に必要な警告を発し、及び特に急を要する場合においては、危害を受ける虞のある者に対し、その場の危害を避けしめるために必要な限度でこれを引き留め、若しくは避難させ、又はその場に居合わせた者、その事物の管理者その他関係者に対し、危害防止のため通常必要と認められる措置をとることを命じ、又は自らその措置をとることができる。
(立入)
第六条 警察官は、前二条に規定する危険な事態が発生し、人の生命、身体又は財産に対し危害が切迫した場合において、その危害を予防し、損害の拡大を防ぎ、又は被害者を救助するため、已むを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において他人の土地、建物又は船車の中に立ち入ることができる。
第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
(基本原則)
第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
<Evaからの意見>
<関連意見>
第四章の二 処分等の求め
第三十六条の三 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
<その他意見>
第六章 罰則
第四十四条 2 愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
上記いずれかで検討。
次期改正に向けた論点項目に沿って「緊急一時保護制度の導入」「所有権の制限・動物の法的な位置づけの見直し」について各アドバイザーより報告を致しました。
Evaからも「緊急一時保護にまつわる課題」について事例を交え説明を致しました。
他のアドバイザーからも、
などの意見がでました。引き続き議論を続けていく予定です。
日本獣医師快からのマイクロチップ装着事業に関する要請について
デジタル規制改革推進に関する、動物愛護法省令の見直しについて(進捗の報告)
議連アンケート(次回動物愛護管理法改正に向けてのご意見、ご要望等のアンケート)の現状報告