猫13匹を虐待死させ動画撮影した埼玉県元税理士大矢誠の初公判

2017年11月 猫に熱湯をかけバーナーで焼くなどして虐待死させた元税理士の初公判

11月28日(火)Evaは、東京地方裁判所第429号法廷で開催された、猫13匹に熱湯をかけ、バーナーで焼くなどして虐待死させ動画撮影した、埼玉県元税理士の初公判の傍聴券を求め並びました。

東京地方裁判所、玄関脇には約350名程度が並び、実際に傍聴できたのはたったの20数名でした。
代表の杉本彩はじめEvaスタッフ全員抽選から外れましたが、傍聴券を手に入れた獣医師のモコ先生が、「傍聴券を譲りたい」と杉本に申し出て託してくださり、傍聴することができました。

初公判の傍聴を終えてのレポート

1年10ヶ月の求刑、判決は12月12日13時30分からの法廷にて言い渡されます。
この求刑は非常に軽いと言わざるを得ません。今回の裁判で問われている犯行は併合罪です。併合罪とは、確定判決を経ていない2個以上の罪を意味します。2個以上の罪で懲役にするとき、「一番重い罪の1.5倍」が原則となります。今回13件はすべて動愛法違反なので、一番重い罪は2年で、1.5倍で3年となります。併合罪の計算については、刑法に以下の条文があります。

(有期の懲役及び禁錮の加重)

第四七条 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

大矢誠の初公判傍聴

まず、この求刑に納得いかないのは、猫を虐待死させたやり方があまりに凄惨きわまりないものであることに加え、被告人の後悔や懺悔の念、反省がまったく伝わってこなかったからです。

被告人は、終始冷静で淡々としており、憔悴していたり緊張している様子も見られませんでした。

最初に裁判官から、名前と生年月日、昭和40年8月24日、元税理士で現在は無職であることを確認されました。

検察側から、起訴状が読み上げられ、13匹の猫たち(9匹死亡・4匹重体)がどのように殺され傷つけられたのかが明らかにされました。

  • 捕獲器で猫を捕獲し、バーナーで火あぶりにし、熱湯をかける。
  • 獲器に爆竹を投げ入れ、熱湯をかける。
  • パイプにロープをかけて猫の首を吊り、熱湯をかける。

いずれも猟奇的な残酷なやり方で猫を殺し続けました。獣医師の調書によると、死亡の原因は、多臓器不全によるショック死と二度以上の熱傷による死亡とのこと。

私たち人間の想像をはるかに超えた地獄の苦しみだったことに間違いはありません。
その後、裁判官から被告人に対し「話したくなければ話さなくてもよいが、すべては記録され、有利にも不利にも働く。」という黙秘権について説明されました。

被告人は、控訴事実をすべて認め、証拠品の提出や取り調べにも協力的であったようで、その証拠品である自宅から押収されたパソコンに、数々の虐待動画が残っていたとのことです。押収された捕獲器の提出、殺害した猫を棄てた場所などの供述もありました。

殺害の動機は、最初は駆除をするためだったが、途中から動画で記録することが目的になり、駆除は虐待動画を撮影するための言い訳であったと供述しています。

次に弁護人は、このような行為に至る幼少期の背景をしたためた、被告人の母親からの陳述書と、被告人からの反省文とお詫びの陳述書が裁判官に渡されました。その内容は明らかにされませんでした。

次に、弁護人からの質問に対する被告人の答えです。

初めて猫に危害を加えたのは平成28年3月頃。「それ以前に猫に危害を加えたことはない」と被告人は答えましたが、初めての虐待でいきなり動画を撮影するとは到底考えられません。虐待を繰り返し行い、それがエスカレートした結果の動画撮影であると考えられます。それは、本件が犯罪パターンの典型で、動画を撮影し公開したことで犯罪が発覚しただけで、以前より犯行を繰り返していたと充分考えられるのではないでしょうか。被告は「動物虐待愛好家」というサイトの中で英雄視されていたわけですから。

そして猫に対する感情は、以前は、好きでもなく嫌いでもない。

なぜ危害を加えたかの質問には、さいたま市見沼区に越してきて猫の糞尿被害に困り、猫よけスプレーなどの対策を講じたが効果がなかったため、平成28年2月頃に捕獲器をネットで購入し、猫を捕獲し家から遠くに放すということを繰り返し、当初10匹以上の猫を遠くに放した、と被告人は答えています。

そして被告人は、「猫被害」「猫よけ」というワードで検索をしたら、残虐な情報がたくさん目に入るようになった。海外のほうが、より残虐な情報が上がっていた。こう述べました。

大矢誠の初公判傍聴

被告人このような答えを引き出すような質問を弁護人がしています。

平成27年の夏頃からウェブで検索し残虐な情報を見るようになり、段々感情が悪化していった。ほぼ毎日見るようになった。

その後、猫に指を噛まれ、完治まで1ヶ月かかり、仕事にも支障を来たしたことから猫に対する憎しみが湧いてきたが、その時点では駆除は考えなかった。

あくまでも、さいたま市見沼区の自宅では遠くに放して問題を解決していた、と主張しています。

しかし、埼玉県深谷市では、管理しているハウス内を荒らされるなどの問題があり、当初は捕獲して遠くに放そうと思ったが、深谷市では猫が戻ってくると思い、また、放した先でも被害が出ると考え、平成28年3月に最初に捕獲した猫に危害を加えたという趣旨を述べました。

猫に熱湯をかけた理由については、動画でそういう虐待を見たから。

素手で殺すわけにもいかず、また刃物もなかったためと、被告人は平然と悪びれる様子もなく答えました。

その時の気持ちを弁護人から聞かれると、最初は抵抗があったが、手を噛まれたり糞尿被害もあり、また、1ヶ月経ち治りかけていた噛まれた傷の爪のあたりにまだ痛みがあり、さらにネットで見た残虐な情報の影響で、殺めることに抵抗がなくなった。
という、すべての原因猫やネットの情報のせいにした責任転嫁とも言える発言を述べました。

さらに、動画を撮影したのはなぜかという弁護人の質問には、ウェブ動画を見ていたため、日頃から撮影して記録することがあったから。また、猫への恨みもあった。検索した動画を見ていたことで、記録することに抵抗感がなくなった、と答えています。

ネット上にアップした理由については、熱湯をかけた動画を見て残虐さを比較したいという気持ちになった。と述べました。

比較したい理由は?との問いに、ウェブのせいだけではなく、自分の至らなさにあったと思う、という理解に苦しむ答えを発することも。

動画をアップしてから2日で1,000件程度のアクセスがあり、その時の気持ちを弁護人から聞かれると「もっとやれ!」という反応だったため抵抗感が薄れていった、と答えています。続けて当時の気持ちを訊かれると、ネットに掲載することで恨みを晴らしたい、という感情だったと答えました。

現在の心境について弁護人から訊かれると、「猫に詫びたい、動画を見て心を痛めた方々にもお詫び申し上げるしかない。人間に例えて考えたら、非常に苦痛なことだ。」

そして、署名が多く集まっていることを知っているか訊ねられると

「知っています。心痛めた方々に贖罪の気持ちをもっていきたい。命を持つものに対し、どんな命も軽んじてはいけない。」と、言葉に温度の感じられない、弁護人と打合せ通りと思われる弁を述べました。

続いて検察側と被告人のやり取りです。

検察 : 糞尿被害に対して今ならどうするか?

被告人  : 今なら保健所に連絡するしか思い浮かばない

検察 : 当時は保健所は考えなかったのか?

被告人  : 当時も考えたが、短絡的に殺してしまおうと思った

検察 : 動画を何度も見返した目的は?

被告人 : 最初は噛まれたことへの復讐

検察 : 見返している時の気持ちは?

被告人 : 気分が良いものではなかった

検察 : 気分が良くないのに何故やめなかったのか?

被告人 : 抵抗感が薄れていった(今まではすらすらと話していましたが、
この回答の時には言葉を見つけるのに少々間がありました。想定していなかったのかもしれません)

検察 : 犯行がエスカレートしたのは何故か?

被告人 : 書き込みや情報にたくさん触れたから。猫が苦しくてもかまわない、という気持ちになった

検察 : 何万通もの署名に対してどう思うか?

被告人 : 社会に影響を与えた認識がある。命の尊厳に対する希薄さがあった

と以上のようなやり取りがありました。「命の尊厳」という言葉をあえて被告人が選んできたことに大きな違和感を感じずにいられません。「命の尊厳」などという精神と真逆行為を行ってきた大矢から、果たして発せられる言葉でしょう。税理士という職業柄、理路整然と話すことは得意なのかもしれませんが、終始通り一遍の反省と謝罪の弁を述べるだけで、そこにはなんの人間的な気持ちも存在していないように感じました。

大矢誠の初公判傍聴

続いて、裁判官からの改めて質問

裁判官 : 最初は気分が良くなかったが、後半は気持ち良かったのか?

被告人 : 気分の良いものではないが、いくらかは
         そういう部分もあったかもしれない。
         残虐なことをしてネットに上げることが
         目的になり、猫の被害にあったという事を
         言い訳にしながらやっていた部分もある。許されると思った。

裁判官 : 現在、無職ということで仕事はどうするのか?

被告人 :  税理士は辞めた。現在、就職活動の情報を集めている。

裁判官 : 怪文書が撒かれたりしているようだが? 生活に支障は?

被告人 : 今も怪文書の被害がある。出歩くのに支障はないが、私を監視している人が
         いるようだ。

という裁判官とのやり取りがありました。検察側から求刑にあたり述べられた見解は以下です。

常習的犯行は明らかで、13匹の猫への犯行は、あらかじめ計画的で悪質。駆除目的とは考えられず、楽しみながら虐待し、犯行後は不特定多数が閲覧できるようネットに動画を掲載し、人々の心に傷を負わせた。厳正な処罰を求める。

そして、懲役1年10ヶ月が求刑されました。

最後に、情状酌量を求め、弁護人からは以下のような発言が。被告人は、税理士として社会の中で一定の地位を築き、社会に貢献してきた。猫の被害や怪我を負うなどがなければ、本来であれば犯罪とは無関係の人間だ。さらに、以前起きた動物虐待事件の事例を3件持ち出し、そのうちの一件(おそらく2002年の福岡で虐殺されたこげんたちゃん事件のこと)が類似事件だと説明し、それを参考にすべきと発言。そして、現行法においては、動愛法は器物損壊罪を下回るものであるから執行猶予をつけるべき、と、弁護人の理解しがたい発言がありました。

この「こげんたちゃん事件」の犯人松原潤には、たった懲役6ヶ月の求刑に3年の執行猶予の判決が下されました。15年も前の、さらに動愛法が未整備で未熟だった時代の判決を参考にせよとはほとほと理解に苦しみます。

被告人大矢誠の稚拙な自己弁護、弁護人による強引な弁護が、裁判官にはどのように受け取られるのか、12月12日の判決が注目されます。

とにかく、この傍聴を通じ、来年の法改正が厳格に大きく改正されるべきと、いっそう強く思います。

そして、「動物虐待愛好家」と称してネットで集い、大矢を煽った者たちへには幇助罪(ほうじょざい)の適応が急務です。少なからずネット上で煽られ、歪んだ自己承認欲求を満足させたい、という気持ちが犯行をエスカレートさせていったことは、法廷での大矢の供述からも間違いありません。12月12日の判決の結果次第で、今後の動物虐待予備軍の動向は変わるはずです。動物虐待・殺傷は、殺人や傷害事件など人への犯行の前兆であることは周知の事実です。動物虐待犯にゆるい判決は、子どもや高齢者をはじめ、非力なものを危険にさらすのと同じこと。

現行の法律が未熟であることを前提に、動物虐待の人への危険度と深刻さを熟慮した判決であってほしいと切に願います。

杉本彩Beauty blogもぜひご覧ください。

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