「動愛法改正のふりかえりと今後の課題」シンポジウム2019レポート1(2019年6月)

2019年6月「動愛法改正のふりかえりと今後の課題」1

動愛法改正のふりかえりと今後の課題

6月19日Eva主催「動物愛護法改正のふりかえりと今後の課題シンポジウム2019」を衆議院第二議員会館第一会議室にて行いました。

6月12日に参議院本会議にて可決成立した動物愛護改正法。2年以上に渡る法改正に携わってこられた超党派議員連盟の先生方、アドバイザリーの方々などをお迎えし、改正内容のご説明、成立までの経緯、また改正後残された課題などについて議論いたしました。

また、私共Evaからは、厳罰化のご報告と御礼を改めてさせていただきました。

開会挨拶

Eva理事長杉本彩

Eva理事長 杉本彩

前回の法改正から7年。これは悲願の改正であったと思います。もちろん、私たちが完全に望む理想のかたちに着地したわけではありません。できることならば、大きく一歩踏み出したかったのですが、各党の様々な意見を取りまとめ、現実的に着実に進めていかなければいけないのが議員立法。今回その難しさを、まざまざと思い知りました。それでも、これだけ色々なことが改正されたというのは奇跡的な事ではないでしょうか。ただ、改正して終わりではなく、今後は正しく法が機能していくよう注視が必要だと思っています。

法改正条文の説明(立憲民主党 衆議院議員 高井崇志先生

法改正条文の説明 高井崇志先生 

1. 動物の所有者または占有者の責務規定の拡充

現行法でも、動物に携わる方が守るべき基準というものが決められています。産業動物や実験動物についても、その基準は決まっていますが、しかしそれを守らなければならないという規定が実は入ってなかった。これでは、実際に守られないんじゃないかということで、当たり前にこの基準を順守しなければならないということを明確にしました。

2. 第一種動物取扱業による適正飼養等の促進等

①登録拒否事由の追加
第一種動物取扱業については、登録制を許可制にすべきという議論も随分ありました。しかし、許可と登録でさほど内容に差がある訳ではなく、登録でも十分厳しく規制をしていけますが、ただその要件が弱かったので、新たに5項目追加となりました。
例えば、禁固以上の刑に処せられた後、5年を経過していない人は登録できません。また暴力団あるいは暴力団員でなくなった日から5年を経過しない
登録できません。あるいは、不正または不誠実な行為をする恐れがあると認められるに足りる相当な理由がある者。こうした要件を更に加えることで、実際許可されない事と同じなのでそういった方々の登録は排除できることになります。

②遵守基準の具体化
ここが非常に重要なポイントです。飼養施設の構造や規模、あるいは従業員数、環境管理の状況。そして繁殖の回数や繁殖方法など。こういった基準はできるかぎり具体的でなければならないと法律に書きました。これらは今後環境省が省令改正を行います。この中で、より具体化されていくことになります。劣悪環境の動物取扱事業者などに登録の取り消しをする際に必要になってきます。ここをどれだけ具体的にできるかが、今後の重要なポイントとなりますが、今回法律にはっきりと「具体的な」と書きましたので、国会としても環境省の動きをしっかり注視していきたいと思ってます。

③犬、猫等を販売する場合における対面による情報提供の充実
これは、インターネット取り引きの際、対面による情報提供を行う義務を前回の法改正でも入れました。ですが実際のところは、インターネットで販売後、空港でちょっと対面したという事で済ませる脱法的な業者が横行してるということに鑑み、そうではなくその事業所で対面販売をする。つまり、事実上インターネット販売というのはできなくなるという規定を設けました。

④帳簿の備え付け等に係る義務の対象の拡大
帳簿の備え付けについて動物販売業者の他、貸し出し業や展示業についても加える。また、犬猫の譲渡を行う第二種動物取扱事業者についてもその備え付けを義務としました。

⑤動物取扱責任者の要件の充実
動物取扱責任者には、十分な技術、能力、専門的な知識、これをしっかりと兼ね備えた人になってもらうということをより厳しくしました。

⑥勧告及び命令の制度の拡充
勧告に従わない動物取扱事業者は多数いるため、そういう人は公表する事にします。公表することで抑止力になります。また、今まで都道府県知事が勧告や命令を出しても、改善の期限が書かれてなかったため、より実効性が強まるよう3カ月以内に対処するよう期限を設けました。

⑦幼齢の犬又は猫の販売等の制限に係る激変緩和措置の廃止
一番の注目である8週齢規制については、現在の49日という附則の条項は削除しました。ただし、専ら天然記念物として指定された犬の繁殖を行う犬猫等販売事業者が、これを販売事業者以外の個人に直販する場合は特例を設けるということで、現在7週が残ってしまいました。この専らという言葉が入ることにより、その天然記念物である柴犬や秋田犬、紀州犬などの繁殖を専門に行っている方が、一般の方に販売する場合のみということでペットショップなどで販売するケースは除外しています。つまり、柴犬をペットショップで売る場合は、8週齢がきちんと適用されます。

国会の答弁でもかなり限定的なことと確認しています。この部分においてはかなり皆さんご心配をされたと思います。もちろん完璧にできればよかったのですが、色々な関係者の賛成を得るために、一部こうなりましたが、かなり限定をさせていただいたということは申し添えておきたいと思います。

法改正条文の説明 高井崇志先生 

3. 動物の適正飼養のための規制の強化

①都道府県知事による不正飼育に係る指導等の拡充
都道府県知事が、報告徴収や施設への立ち入り検査を行うことができる。

②特定動物に関する規制の強化
人に危害を加えるような特定動物についての愛玩目的の飼養は禁止する

③犬及び猫の繁殖制限の義務化
みだりに繁殖させ適性飼養が困難となるようなケースについては、不妊去勢手術を義務づける。

④動物殺傷罪等の厳罰化
ここも非常に重要なポイントです。殺傷については「2年以下の懲役200万円以下の罰金」を「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」。虐待・遺棄については今は罰金だけですが「1年以下の懲役100万円以下の罰金」。なかなか2年を5年に引き上げるのは、法律的にも例がなく法制局を説得するのが大変でした。しかし、ここは非常に重要な点ということで、5年以下の懲役にしました。また、動物虐待罪の例示を法律に新たに書き込み、例えばみだりに飼養密度が著しく適正を欠いた状態で飼養する。そういった多頭飼育状態の場合も虐待の一つということで例示をいたしました。

4. 都道府県等の措置等の拡充

①所有者不明の犬及び猫の取り扱い
都道府県、つまり愛護センターが
犬猫の引き取りを求められた際に拒否できる規定を書きました。ただし、これは周辺の生活環境が損なわれてる事態が生じる恐れがないと認める場合という限定です。ですので「猫が邪魔だから引き取れ」というような場合は拒否できるということを明示しました。

②動物愛護管理センター
動物愛護管理センターについては、これまで法律上位置づけがありませんでした。ですから、正式にきちんと位置づけをし、業務内容もきちんと書き込みました。

③動物行政を担う地方公共団体における動物愛護管理担当職員の拡充
「動物愛護担当職員」の名前を「動物愛護管理担当職員」に変えました。またその「動物愛護管理担当職員」を、これまでは都道府県や政令市、中核市では「置くことができる」という規定を「必ず置く」としました。それ以外の市町村については「置くように努める」努力義務を課したというものです。

④動物愛護推進員の委嘱の努力義務化
動物愛護推進員を、これも「委嘱することができる」というのを「委嘱するよう努める」という努力義務、より強い規制にしています

5. その他

①動物を殺す場合の方法に係る国際的動向の考慮
これは、殺処分の方法についてです。いわゆる炭酸ガスのような方法を、国際的な動向も踏まえ、国際基準に合う殺処分の方法にしていくということを明示しています。

②獣医師による通報の義務化
獣医師の通報を、今までは「努力義務」だったのを、虐待を受けたような動物については、獣医師が「通報しなければならない」と明確に書きました。

③関係機関の連携の強化
関連機関との連携については、動物愛護部局や畜産部門、そして公衆衛生というのは屠畜場です。それから福祉との関係でこれは介護師といった、人と動物の関わりも含め、これらの部局がしっかり連携をしてくださいという事です。今までは、それぞれの考え方でしたが、改正後は動物愛護法を守っていただくようきちんと連携を取ることをここに書き込みました。それから地域猫についても、必要な施策を講ずるよう努めることを書いております。

④地方公共団体に対する財政措置等
地方自治体は、財政が厳しくなかなか動物愛護センターの整備が不十分だということもありましたので、国に対してこれはきちんと財政上の措置をして、地方自治体を支援するようにということを書いております。

6. マイクロチップの装着等

①マイクロチップの装着に係る義務
1.犬猫等販売業者の義務/2.一般飼い主等の努力義務

マイクロチップは、犬猫等販売業については「義務化」をしたということで、取得した日から30日までに装着しなさいということを明記しました。一般の飼い主の方については「努力義務」ということで装着するよう努めるものです。

②犬又は猫の登録
1.犬又は猫にマイクロチップを装着した者の義務等/2.登録されている犬又は猫の所有者の義務/3.狂犬病予防法とのワンストップ化/4.指定登録機関/5.その他
マイクロチップを装着したことをきちんと環境大臣に登録する。また登録を受けた犬猫を取得した者は、内容が変更になった場合に変更登録の届けをしなければならない。3番は、狂犬病予防法とも関係があるため、二度手間にならないよう、ワンストップ化を図ることを規定しております。

7. 施行期日等

①施行期日
施行期日は3種類。この法律の公布日は今日(2019年6月19日)です。今日から起算し1年を超えない範囲で政令で定める日となります。ですから1年以内にはこの法律はスタートします。ただし、飼養施設の基準と8週齢については、基準をつくるのに時間がかかるということで2年を超えない範囲で施行となります。マイクロチップについては、より準備期間が必要ということで、3年を超えない範囲ということで猶予期間を置いています。

②検討条項
検討条項ですが、ここはなかなか今回の法律に書ききれなかったことを、今後きちんと検討しますということで書いてるものです。
まず、動物を取り扱う学校、それから実験動物を扱う業者等々を、動物取扱事業者に追加すること。これも随分強く要望があったんですが、今回実現しませんでした。今後検討を加え必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるということを書きました。
両生類、これについても規制の在り方を今後検討していきます。
それから動物取扱事業者全般についての規制の在り方。許可制にすることなども含めて、しっかり検討します。
それから、多頭飼育の状況を改善するような方策についても検討をする。
愛護動物の範囲についても、いろいろ議論がありました。ここについても今回は、改正には至っておりませんけれども検討をする。
それから、これは実験動物の3Rについてですが、これも当初、議連側では盛り込む方向だったんですが、なかなか関係議員の理解が得られなかった。しかし、今後もしっかり検討していきます。
それから、マイクロチップ。これも動物取扱事業者だけじゃなくて一般の方にも拡大すべきという意見もありましたので、そこについては今後検討しましょうということです。
最後に、この法律は5年毎に検討を行う、ということを明記しました。

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