太田昭宏氏ごあいさつ

Akihiro Ohota
Eva名誉顧問太田昭宏氏

「動物は“もの”ではなく、『家族』である」。猫を長く飼っていた私にとって、この考えは揺るぎない信念です。動物たちは私たちに寄り添い、日々の暮らしに喜びや安らぎを与えてくれる大切な存在です。だからこそ、その命と尊厳は守られなければなりません。

私はこれまで国政の場において、「人と動物が共に幸せに暮らせる社会」の実現を目指し、動物愛護管理法の改正をはじめ、動物虐待防止の強化、マイクロチップ装着義務化、幼齢犬猫の販売規制など、動物福祉の向上に関わる制度整備に携わってまいりました。

とりわけ、動物虐待や遺棄に対する罰則の強化は、動物の命と尊厳を守るうえで大きな一歩であったと受け止めています。2020年施行の改正動物愛護法では、殺傷罪の罰則が大幅に引き上げられるなど、社会全体として動物虐待を決して許さないという姿勢が、より明確に示されました。こうした法改正の背景には、杉本彩理事長をはじめEvaの皆様、そして関係団体の皆様による継続的な啓発活動、署名活動、現場からの粘り強い訴えがありました。そのご尽力に、心より敬意を表します。

一方で、法制度が前進した現在においても、悪質な繁殖業者による不適切な飼養管理、多頭飼育崩壊、移動販売や動物カフェをめぐる課題、さらには虐待事案への対応や緊急一時保護体制の整備など、解決すべき問題はなお多く残されています。

なかでも深刻なのは、虐待や多頭飼育崩壊の現場から動物を緊急的に一時保護できたとしても、その後、虐待を行った者や、適切に飼育する能力を欠く飼い主が「自分の所有物である」と主張し、返還を求めるケースが生じていることです。命ある動物を、単なる所有物として扱う発想を放置してはなりません。

大切なことは、制度を整えるだけでなく、その理念を社会全体に浸透させ、現場で確実に機能させることです。虐待を行った者や、飼育環境を改善できない者のもとへ、保護された動物を再び戻さないための実効性ある仕組みを整えなければなりません。

また、動物虐待に対する罰則のあり方、再発防止のための規制強化、行政・警察・獣医師・民間団体が連携した一時保護と譲渡の体制整備についても、さらに検討を進める必要があります。

動物たちは、自ら苦しみを訴えることができません。だからこそ、私たち人間には、その声なき声に耳を傾け、命と福祉を守る責任があります。社会の成熟度は、弱い立場にある存在をどれだけ大切にできるかによって測られるものだと考えています。

Evaはこれまで、動物たちの声なき声を代弁し、現場の実態を社会に伝え、制度改正や意識改革の大きな力となってこられました。今後は顧問として、これまで培ってきた経験やネットワークを生かしながら、関係者の皆様と力を合わせ、動物虐待事犯のさらなる厳罰化を含め、動物福祉の一層の向上と、人と動物が共生できる社会の実現に尽力してまいります。

すべての命が尊重される社会を次世代へ引き継ぐために、皆様のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

元国土交通大臣
元衆議院議員
太田昭宏