動物を迎えるとき、どこから迎えるかを考えることも命を守る選択です
ペットショップのショーケースに並ぶ幼い犬や猫を見て、「かわいい」と感じたことがある方は多いと思います。しかし、その背景でどのように動物たちが生まれ、流通しているのかを考えたことはあるでしょうか。
一頭が販売されると、その場所にはまた新たな幼齢の犬猫が並びます。その需要を支えるため、多くの繁殖犬・繁殖猫が繰り返し出産を求められています。
もちろん、動物福祉に配慮し、適切な環境で繁殖を行っている事業者もいます。一方で、不衛生な環境や不十分な給餌、病気になっても適切な治療を受けさせないなど、深刻な問題が指摘される繁殖施設も存在し、動物虐待につながる事例が後を絶ちません。
動物を迎えるときに「どこから迎えるか」を考えることがとても大切です。行政の保護施設や民間シェルターには、新しい家族との出会いを待っている動物たちがたくさんいます。
動物を迎えるときは、ぜひ「里親になる」という選択肢にも目を向けてください。
迷子や脱走、災害などの緊急時には、首輪を着けているだけでは飼い主のもとへ戻れないことがあります。マイクロチップや犬の鑑札・狂犬病予防注射済票、迷子札など、飼い主が分かる表示を日頃から身に着けておくことが、命を守る大切な備えになります。
犬の鑑札と狂犬病予防注射済票の装着は、飼い主の義務です。また、マイクロチップを装着している場合は、登録情報が最新の内容になっているか確認することも忘れてはいけません。
もし愛犬や愛猫が迷子になってしまったら、「そのうち帰ってくるだろう」と待つのではなく、速やかに保健所や警察、動物愛護センターなどの関係機関へ連絡し、積極的に探しましょう。
保護された動物は、一定期間が経過すると新たな譲渡先を探す手続きなどが進められる場合があります。大切な家族と再び会うためにも、日頃から飼い主明示を徹底し、万が一の際には一刻も早く行動することが大切です。
飼い主明示は、命を守るための第一歩です。
動物と暮らすということは、一つの命を預かるということ
病気になっても動物病院を受診させない、長時間つないだままにする、ケージの中で過ごさせ続ける、食事や水だけを与えて十分な世話をしない、散歩や運動をさせない、寒波や豪雨、そして炎天下などの悪天候の中で外につなぐなど、適切な飼育が行われないケースは少なくありません。こうした行為は、動物に大きな苦痛を与え、場合によってはネグレクト(飼育放棄・虐待)にあたることもあります。
動物には、食事や水だけではなく、健康管理や適度な運動、安心して過ごせる環境、そして人との適切な関わりが必要です。
もし、ご自身の健康状態や生活環境などの理由から十分な飼育が難しい状況であれば、周囲に相談したり、終生大事に飼育してくれる里親さんを見つけるなど、対策を考えることも命を守る大切な選択です。
目の前のその命を最期まで守り続けられるか。それが、飼い主としての責任であり、動物を幸せにする基本です。
「少しだけだから」「すぐ戻るから」は命に関わる大きな危険
そのわずかな時間でも、車内の温度は急激に上昇し、動物は熱中症や脱水症状を起こし、命を落とす危険があります。また、自宅に動物を残したまま長期間外出し、十分な食事や水を与えないことも、命に関わる深刻な問題です。
Evaには、車内や住宅に閉じ込められた動物について、多くの相談や通報が寄せられます。しかし、たとえ目の前で動物が苦しんでいても、所有権や法的手続きの問題から、直ちに保護や救出ができない場合があります。その間にも、動物は苦しみ続けることになります。
だからこそ、こうした事態を起こさないことが何よりも大切です。
「ほんの少しだから」「大丈夫だろう」という判断が、取り返しのつかない結果につながることがあります。動物は、自分で車のドアを開けることも、水を探すことも、助けを求めることもできません。
命を預かる責任を忘れず、どのような理由があっても、車内への置き去りや十分な世話をしないまま動物を残して家を空けることは決して避けてください。
その一つの判断が、命を守ることにつながります。
多頭飼育崩壊は、一般家庭だけでなく、繁殖業者や保護活動を行う動物愛護団体など、さまざまな場面で発生しています。
「かわいそうだから助けたい」という善意から動物を引き取り続け、不妊・去勢手術が行われないまま繁殖を繰り返し、気づいたときには適切な飼育ができない頭数まで増えてしまうケースも少なくありません。
その結果、十分な食事や水が与えられず、病気やけがをしても治療を受けられないまま命を落とす動物が生まれます。全国では、多数の動物の死骸が発見されるなど、深刻な事案も発生しています。
加え、多頭飼育崩壊は、動物だけの問題ではありません。糞尿や死骸による悪臭、害虫の発生、吠え声、毛の飛散などにより、近隣住民の生活環境や衛生環境にも深刻な影響を及ぼします。解決までに長い年月を要するケースもあり、地域全体の課題となることがあります。
こうした問題を未然に防ぐためには、地域での見守りが欠かせません。急激に飼育頭数が増えている、悪臭や騒音が続いている、動物が適切に世話されていないなど、気になる状況があれば、自治体や保健所、関係機関へ相談してください。
多頭飼育崩壊は、動物の問題であると同時に、人や地域の問題でもあります。だからこそ、行政、地域、関係機関、そして私たち一人ひとりが連携し、早期に支えていくことが何より重要です。
動物虐待は見過ごさないこと。声を届けること
極端に痩せている犬、空になったままの食器、藻が生えた水皿、炎天下や厳寒の中でつながれ続ける動物、暴力を受けている様子、インターネット上に投稿された虐待を疑わせる動画や画像…。
そのような状況は、動物虐待やネグレクト(飼育放棄)が疑われます。
動物は、自ら声をあげ助けを求めることができません。苦しみや恐怖を言葉で伝えることもできません。だからこそ、その異変に気づいた人の行動が、命を守る大切な一歩になります。
動物虐待が疑われる場面を見聞きしたときは、警察や自治体、保健所・動物愛護センターなどの関係機関へ相談・通報してください。また、状況が分かる日時や場所、写真や動画などの記録があれば、確かな情報として適切な対応につながる場合があります。
Evaにも日々、多くの相談が寄せられています。一つの案件が解決するまでには、関係機関との連携や情報収集、裁判の傍聴など、長い時間を要することもあります。それでも、一つひとつの命を守るために、私たちはあきらめずに向き合い続けています。
見過ごさないこと。声を届けること。
その小さな行動が、動物たちの未来を守る力になります。
(注※)
RSPCA:Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals(英国王立動物虐待防止協会)
WOAH:World Organization for Animal Health(世界動物保健機関)