ここ最近、インターネットの動画投稿サイトには、かわいい猫動画が多数アップされ、書店に行けば猫の専門書、写真集が棚を埋めています。また「ネコカフェ」は猫人気とともに増加傾向。2016年秋冬のパリ・コレクションでは、有名ブランドがこぞって猫モチーフのアイテムを発表しました。
「空前の猫ブーム」、「アベノミクスならぬネコノミクス!で経済効果を。」などといった言葉も良く見聞きし、猫の飼養についてはというと、犬と比べると散歩も必要ないため世話がラクとか、また犬に比べると飼育費も安価、そして猫と一緒に暮らすとスキンシップによる健康効果があるといった内容の記事や報道をよく目にします。
ブームに拍車がかかり、猫専門店に模様替えしたペットショップは売り上げ20%増になったそう。
河北新報 <ネコノミクス>空前の猫ブーム 商戦熱く
http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201602/20160224_12003.html
現在の行政の犬猫の引取り及び処分数を見てみると、引取り数151,095匹のうち、猫は97,922匹。処分数は101,338匹のうち8割近くの79,745匹が猫です。そして猫の処分数の半数以上が幼齢個体というのが現実です。
(環境省平成26年度 犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況)
全国の動物愛護団体やボランティアの方々は、猫を保護し里親探しに日々奔走しています。産まれた子猫をすべて救うこともすべて譲渡することも出来ません。そのような中、殺処分を減少させるために、不妊去勢手術が不可欠です。今「地域猫」という地域ぐるみで一代限りの命と共生していく取り組みが全国で行われています。
このような現状に逆行する形で、今後猫ブームに乗った購買意欲の高まっている消費者に向け、人気猫種を繁殖させ、店舗にはこれまで以上に猫が並ぶことになるでしょう。そしてブームに乗った購入者は、猫には犬のような狂犬病予防法による登録義務がないことから、猫の飼育に困った場合、簡単に飼育放棄することにもつながると言えます。
また業者の特定猫種の乱繁殖による遺伝性疾患の問題や、流通経路では競り残り売れ残りも生じ、これまでの犬同様、闇から闇へと葬り去られる命があとを絶たないでしょう。
猫の飼育は決して楽ではありません。安易な購入と安易な飼育放棄につながらないために、猫の飼育について学んでください。