日本は海外と比較すると動物への配慮が足りていない国だと言われています。では世界の国々には、動物福祉に考慮した、どのような法律や対策があるのでしょうか。ここでは海外の取組みを分類別にご紹介します!
伴侶動物 | 畜産動物 | 実験動物 |
野生動物(カフェ、ふれあい動物園等への利用)|動物虐待罪の罰則
※2024年11月時点
国 | 内容 |
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英国 | (※1) ・イングランド:2020年4月から生後6か月未満の仔犬仔猫のブリーダー以外による販売を禁止。 ⇒生後6か月未満の仔犬仔猫を飼う場合、保護施設か認定を受けたブリーダーから迎える。 ・ブリーダーは購入者に仔犬仔猫をその母親と一緒に見せなければならない。 |
ドイツ | (※2) ・生体販売自体に規制はないが、ペットショップでの犬猫の販売はない。⇒国民の動物愛護精神が高いことや、犬の飼育に関する規制が厳しいことによるもの。 ・犬や猫を迎えるには、保護施設「ティアハイム」で暮らす動物の里親になるか、ブリーダーからの購入が一般的。 |
フランス | (※3) ・2024年1月からペットショップやオンラインでの犬猫の販売禁止。 |
米国 | (※4) ・ニューヨーク州:2024年12月からペットショップでの犬、猫、ウサギの販売禁止。 ※ロサンゼルス市やカリフォルニア、イリノイ、メリーランドなどの州も同様の販売禁止措置を講じている。 |
日本 | ・展示販売自体については規制なし。 |
(※1)https://www.bbc.com/japanese/45279524
(※2)https://www.jiji.com/jc/v4?id=2013tierheim_berlin0005
(※3)https://digital.asahi.com/articles/ASPCM5JTGPCMUHBI00V.html?msockid=218ad297c1c7614617c1c17bc0c66080
(※4)https://jp.reuters.com/article/world/24-idUSKBN2T00CY/
国 | 内容 |
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英国 | (※1)「動物福祉法2006」で、5つの自由について条文に規定。 ・Eカラー(電気ショックを与えて無駄吠え等をやめさせる訓練用首輪)の禁止 ・犬の断尾・断耳は禁止。それらの対象となる犬の輸入禁止。 ・犬、猫のマイクロチップ装着義務あり。 |
ドイツ | (※2) ・犬の保有者には犬税が課せられる。 ・屋外飼育:雨風をしのげる小屋と、小屋の外に日陰で断熱された寝床を用意すること ・屋内飼育:自然採光と新鮮な空気を確保すること ・屋外での十分な運動、飼育者との十分な接触 これらの規制がペットショップにも適用されるため、生体展示販売を間接的に抑制している。 |
フランス | (※3) ・購入者は、飼育に責任を持つなど誓約書類の提出義務が課され、衝動買い防止のため署名から購入までに7日間空ける必要がある。 ・18歳未満の未成年者には親の同意が必要。 |
スイス | (※4)「世界で最も厳しい動物保護法」と言われている。 ・犬にマイクロチップを装着、中央データベースへの登録義務。 ・犬の断尾・断耳は禁止。 ・犬税あり。 ・飼育方法や設備等の規制も厳格。 |
日本 | ・動物取扱業に対しては「飼養管理基準」が省令で制定。 ・一般所有者には責務規定があるが、努力義務(動愛法7条) |
・アメリカは州によって規制が様々であるため、記載は省略しています。
(※1)https://www.env.go.jp/council/14animal/900434945.pdf
(※2)https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8748098_po_0830.pdf?contentNo=1
(※3)https://digital.asahi.com/articles/ASPCM5JTGPCMUHBI00V.html?msockid=218ad297c1c7614617c1c17bc0c66080
(※4)https://www.fedlex.admin.ch/eli/cc/2008/416/fr#a16
国 | 内容 |
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英国 | (※1) 【鶏】 ・肉用鶏の飼育密度:1平方メートルあたり33kg以下。 【豚】 ・妊娠ストール禁止 ・日常的な断尾、歯切りの禁止。 ・生後7日以降の去勢・断尾は麻酔と鎮痛剤の処置が必要。 ・生後28日未満の仔豚の離乳を原則禁止。 【牛】 ・乳牛の断尾禁止。 ・肥育や屠殺のための生きた動物の輸出を廃止 |
ドイツ | (※2) ・採卵鶏のバタリーケージ禁止 ※エンリッチドケージも2025年までに廃止 【豚】 ・日常的な断尾、歯切りの禁止。 ・生後7日以降の去勢・断尾は麻酔と鎮痛剤の処置が必要。 ・生後28日未満の仔豚の離乳を原則禁止。
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韓国 | (※3) ・採卵鶏の飼育環境を表す記号を卵に表記する義務がある。 ・放し飼いの農場拡大を目指し、工場畜産から切り替える農場には国が必要な費用、指導・教育を提供する。 |
米国 | (※4) ・豚の妊娠ストール禁止(10州) ・カリフォルニア州:拘束飼育を禁止。基準に満たない環境で生産された卵・牛肉・豚肉の販売禁止。他州から仕入れる場合も同様。 【その他】 |
日本 | ・規制なし。 ・農林水産省が「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」を畜種ごとに作成し、推進を地方農政局等に通知するに留まる。 ・畜産関係の業者は、動物取扱業の対象すら除外
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(※1)・採卵鶏:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/LSU/?uri=CELEX:31999L0074&qid=1564485278949
・肉用鶏:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1563979471115&uri=CELEX:32007L0043
・豚:https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1563979393143&uri=CELEX:32008L0120
(※2)https://www.bund.net/bund-tipps/detail-tipps/tip/kein-ei-mit-der-3/
https://albert-schweitzer-stiftung.de/massentierhaltung/huehner/legehennen
(※3)https://www.koreatimes.co.kr/www/biz/2017/08/367_235711.html
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002347.html
(※4)https://www.ers.usda.gov/data-products/chart-gallery/gallery/chart-detail/?chartId=109075
https://ballotpedia.org/California_Proposition_12,_Farm_Animal_Confinement_Initiative_(2018)
https://awionline.org/press-releases/america-competes-act-passes-house-big-wins-animals
https://www.humanesociety.org/sites/default/files/docs/hsus-report-tail-docking-dairy-cows.pdf
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002306.html
(※5)https://www.hopeforanimals.org/eggs/japans-egg-laying-space-is-less-than-half-of-the-worlds/
国 | 内容 |
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英国 | (※1)屠畜方法について規定あり。 |
ドイツ | (※2)屠畜方法について規定あり。 |
韓国 | (※3)屠畜方法について規定あり。 ・屠畜の過程で不必要な痛み、恐怖、ストレスを与えないこと |
米国 | (※4)屠畜方法について規定あり。 |
日本 | ・規制なし(動愛法第40条に動物を殺す場合の方法について「できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」と規定はあるが、守られていない。) |
ただし、屠畜前の意識喪失には失敗もある(海外も日本も同様)。
(※1)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/LSU/?uri=CELEX:32009R1099&qid=1563358593157
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex%3A32009R1099
(※2)https://albert-schweitzer-stiftung.de/massentierhaltung/huehner/legehennen
(※3)https://www.law.go.kr/LSW/eng/engLsSc.do?menuId=2§ion=lawNm&query=animal+protection+law&x=0&y=0#liBgcolor1
(※4)https://awionline.org/legislation/humane-methods-slaughter-act
(※5)https://sippo.asahi.com/article/15163338
(※6)https://www.jamti.jp/pdf/tech10-1.pdf
国 | 内容 |
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英国 | (※1) ・毛皮の輸入・販売も禁止の方向で見直す予定 |
イタリア | (※2) |
ニュージーランド | (※3) |
米国 | (※4) |
日本 | (※5) |
ヨーロッパは、25か国以上が毛皮農場を禁止(参照:https://sippo.asahi.com/article/15039168)
(※1)
・https://www.gov.uk/government/publications/action-plan-for-animal-welfare/action-plan-for-animal-welfare
・https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2000/33/introduction?view=extent&timeline=true
(※2)https://www.senato.it/japp/bgt/showdoc/frame.jsp?tipodoc=Emendc&leg=18&id=1325684&idoggetto=1324002
(※3)https://www.farmonline.com.au/story/5635654/new-zealand-bans-mulesing/
https://comcom.govt.nz/business/your-obligations-as-a-business/consumer-information-standards/care-labelling
(※4)https://www.federalregister.gov/documents/2001/08/10/01-20081/dog-and-cat-protection-act
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-031108.html
(※5)https://sippo.asahi.com/article/15039168
(※1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/sociotechnica/5/0/5_0_132/_pdf/-char/ja
(※1~4)http://www.alive-net.net/animal-experiments/jikken-Q&A03_201505.pdf
(※1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/sociotechnica/5/0/5_0_132/_pdf/-char/ja
http://www.alive-net.net/animal-experiments/jikken-Q&A03_201505.pdf
(※2)https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/TA-8-2018-0202_EN.html
(※3)https://www.hsi.org/news-resources/outh-korea-animal-testing-draft-regulations-011215-jp/?lang=ja
http://www.alive-net.net/animal-experiments/jikken-Q&A03_201505.pdf
(※4)http://www.alive-net.net/animal-experiments/jikken-Q&A03_201505.pdf
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-continues-implement-administrator-wheelers-directive-reduce-animal-testing
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-finalizes-guidance-waive-toxicity-tests-animal-skin
https://cosmeticsbusiness.com/news/article_page/US_steps_closer_to_animal_ban_with_Humane_Cosmetics_Act_reintroduction/211310
国 | 内容 |
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英国 | (※1) ・霊長類の飼育者にライセンス制度を導入。 |
オランダ | (※2)2024年から、ペット飼育できる哺乳類を300種以上の中から30種に限定、それ以外のペット飼育を禁止。 |
韓国 | (※3) ・「ホワイトリスト制」を導入し、感染症の伝播や生態系に及ぼすリスクが低いと判断された種のみ輸入可能。 ・動物園、水族館以外の施設における野生生物の展示を原則禁止。 ・動物園、水族館を登録制から許可制に変更。許可要件を厳格化。 |
米国 | (※4) |
日本 | ・特定動物(詳細▶こちら)の飼養管理:許可制(動愛法25条の2) ・国内希少野生動植物種の販売、譲渡、捕獲、輸出入等の禁止。 それ以外の規制はない。 |
(※1)https://www.gov.uk/government/publications/action-plan-for-animal-welfare/action-plan-for-animal-welfare
https://www.gov.uk/government/news/keeping-primates-as-pets-banned
(※2)https://www.eurogroupforanimals.org/news/netherlands-introduces-new-positive-list-mammals
(※3)https://www.koreatimes.co.kr/www/nation/2024/10/113_322271.html
https://rki.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=83960
(※4)https://www.congress.gov/bill/117th-congress/house-bill/263
https://awionline.org/press-releases/america-competes-act-passes-house-big-wins-animals
国 | 内容 |
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英国 | (※1) |
オランダ | (※2) ・サーカスでの動物の使用・輸送を禁止(家畜の特定の種は例外) |
フランス | (※3) ・2026年から水族館でのイルカやシャチ等のショー禁止。 ・2028年から移動型サーカスでの野生動物利用を禁止。 |
韓国 | (※4) ・動物へのライド禁止(イルカショーなど)。 |
米国 | (※5) ・大型ネコ科動物の動物園などでのふれあいや幼獣を抱いた記念撮影を禁止。 |
日本 | 上記1と同様。 |
(※1)https://www.gov.uk/government/publications/action-plan-for-animal-welfare/action-plan-for-animal-welfare
https://www.gov.uk/government/news/keeping-primates-as-pets-banned
(※2)https://www.ad-international.org/animals_in_entertainment/go.php?id=281&ssi=10
(※3)https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000044387560
https://www.peta.org/blog/new-law-france-protects-animals/
(※4)https://rki.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=83960
(※5)https://www.congress.gov/bill/117th-congress/house-bill/263
https://awionline.org/press-releases/america-competes-act-passes-house-big-wins-animals
国 | 内容 |
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英国 | (※1) ・狩猟トロフィーの輸入禁止。 |
カナダ | (※2) |
インド | (※3) 【イルカ・クジラに関すること】 ・環境森林大臣がイルカを「人類ではない人」だとし、飼育を禁止。 ・イルカやクジラの捕獲、輸入を禁止。 |
韓国 | (※4) |
米国 | (※5) ・国内で侵入種とならないことが判明するまで新たな動物種の輸入を禁止。 |
日本 | (※6) |
(※1)https://www.bbc.com/news/uk-england-35832175
https://www.gov.uk/government/publications/action-plan-for-animal-welfare/action-plan-for-animal-welfare
https://www.gov.uk/government/news/keeping-primates-as-pets-banned
(※2)https://www.thepacificpost.ca/jp/canada/2019/06/10/ottawa-bans-whales-and-dolphines-in-canadian-aquarium/
(※3)https://wired.jp/2013/06/12/dolphin-identified-human/
(※4)https://rki.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=83960
(※5)https://www.cnn.co.jp/travel/35177370.html
https://awionline.org/press-releases/america-competes-act-passes-house-big-wins-animals
(※6)https://www.jfa.maff.go.jp/j/whale/attach/pdf/index-77.pdf
(※1)https://www.cnn.co.jp/fringe/35179819.html
(※2)https://www.rvo.nl/onderwerpen/dieren-houden-verkopen-verzorgen/dierenmishandeling-dierverwaarlozing
(※3)https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000044387560
(※4)https://www.congress.gov/bill/116th-congress/house-bill/724/text
このように世界では、イギリスやEU加盟国を中心に、動物福祉に配慮した取り組みが様々な分野で行われています。お隣の韓国でも様々な施策が講じられていますが、日本は特に畜産動物・実験動物・野生動物に関しては、全くと言っていいほど動物福祉に配慮した取り組みはされていないのが現状です。
畜産動物や実験動物の問題はテレビではなかなか報じられません。ましてや卵は「物価の優等生」と呼ばれ、安いことが当たり前にように報じられます。安さの裏には、飼育環境に一切配慮されないまま命を搾取される採卵鶏がいます。また、ほとんどの鶏は屠畜直前に意識喪失すらされず、想像を絶するほどの痛みのなか、苦しみ抜いて屠畜されています。
日本の畜産動物はほとんどが拘束飼育です。「どうせ殺される命だから」ではなく、屠畜される前まではせめてストレスのない環境で伸び伸び育てるということが、どうして日本では難しいのでしょうか。畜産動物の福祉に配慮することは、食肉処理施設で働く方々の福祉にも繋がり、お肉や卵、乳製品を口にする私たちの健康面にも繋がる非常に重要なことです。
また、日本は動物カフェやふれあい動物園の数が世界と比べても圧倒的に非常に多く、多種多様な動物が扱われています。そこで飼育される動物の多くは、生態や適正な飼養環境等を考慮されないまま展示されていることが専門家の調査により分かっています。
それだけでなく、こういった展示は野生動物の乱獲や密猟にも繋がっており、それにより個体数が減っている動物も多数いるのです。動物の福祉を無視し、犠牲にしてまでも、人間の娯楽を優先する必要があるのでしょうか。人間の飼育下にいる動物は必ずしも幸せであるとは限りません。「可愛い」の裏側には、数多くの動物の犠牲があるのです。この子たちはどこから来たのか、この飼育方法で本当に幸せなのか、ぜひ疑問に思うことから始めてみてください。
日本人は思いやりがあって礼儀正しい。本当にそうでしょうか?動物の福祉に配慮しない国のままでいいのでしょうか?
海外のような動物福祉に配慮した規制や施策を講じるためには、何より国民の皆さんの声が重要です。ぜひ日本の動物福祉に対する意識の低さを知っていただき、周りの人に広げていただくなど、私たちと共に声を上げてください!動物にも優しい国を目指しましょう。