みなさんからの素朴な疑問にお答えします!
※Evaが取り組んでいる「いのち輝くこどもMIRAIプロジェクト」に参加した小学生からの質問を中心に掲載しています。
2015年現在の殺処分数は、犬15,811頭、猫67,091頭、合計82,902頭。とても多い数ですが、以前に比べると、殺処分の数は年々減っています。これは、1匹でも多くの命を救いたいと考え、日々現場で奮闘している行政の職員さんと、民間のボランティアさんの努力によるものです。
動物保護センターには、ペットが歳をとったから、病気になったから、引っ越しをするから、世話が出来なくなったから、など様々な理由で動物が持ち込まれますが「飼い主の責任」を果たすことが法律に明記されたため、飼い主や業者からの安易な持ち込みによる引取りは拒否できるようになりました。しかし、迷子や放浪、交通事故などでけがをした動物たちは毎日のように収容されています。
動物保護センターに収容できる動物の数にも限りがあります。センター独自での譲渡会の開催など、自治体ごと積極的に命を繋ぐ努力はしています。しかし、現状はそのほとんどをボランティアの引き出しに頼っている部分があり、そのボランティア側も引き出した後は、病院に連れていったり、トレーニングを施したり、日々の給餌や散歩の世話など、新しい飼い主さんが見つかるまでに、かなりの時間とお金と労力がかかります。そしてセンター同様、ボランティアが保護できる犬猫の数も限られています。
そんな現状を踏まえると、「いま、すぐ」全国の保護センターの動物たちをすべて救うことは難しいです。
しかし、「いま、すぐ」は無理でも、人間の身勝手な都合でセンターに収容される動物たちがいなくなること、殺処分される犬猫を減らしていくことは出来ます。これからも、自分たちに何が出来るかぜひ考えてみて下さい。
動物保護センターには、犬や猫以外の動物もいます。ウサギやモルモット、フェレット、小鳥、ニワトリ、カメなどが収容されています。
今我が家には癌を患った11歳の犬がいます。状態的に大がかりな検査が出来ずこのまま看取る覚悟でお世話しています。健康だった時から変わったことというと、食事はドッグフードではなく手作りで作ってあげていること、毎食お薬を飲ますこと、全く歩けないので排泄はオムツです。時にはおしっこやうんちでカーペットやタオルが汚れることもあります。お風呂に入れる時も、カート(犬用ベビーカー)に乗せる時も抱えて運ぶので、腰が痛いです。また、これまでは吠える犬じゃなかったのですが、病気になってから1匹で寝かすと、不安になって吠えるようになりました。なので、夜は一緒の布団で寝ていますし、夜中何度も起こされます。それと一匹で家に置いておけないので職場にも連れて行ってます。電車の中で吠えそうになると周りの人の迷惑にならないよう慌ててなだめます。
でも大変だけど「辛い、もうやだ」とは思いません。これまで11年間、可愛い表情で甘えたりおかしなしぐさで笑わせてくれたり、旅行もいっぱい一緒に行って思い出もたくさんあります。私にとって大事な宝物のような存在です。なのでこの子がちゃんと最期まで安心して、私たちの愛に包まれ幸せな気持ちで天国に行くその日まで、優しくお世話して送り届けたいです。それが出来ることが今一番の喜びです。
2015年度の統計では、国内で販売されるなどの犬猫は、少なくとも約85万匹で、前年度より約10万匹増えているとのことです。(朝日新聞調査)また流通した犬猫の3%にあたる約2万5千匹が流通過程で死んでいたことも判明しました。
人気犬種、人気猫種を追い求める消費者に向けて、犬猫の繁殖が繰り返される状況が日本にはあります。いっときの欲求から購入するのではなく、これから10年~20年もの長い年月を、責任を持ち家族として迎えられるかどうか、よく考えて欲しいです。また犬猫を迎える時は、県や市の動物保護センターや民間のボランティア団体、そして個人で活動しているボランティアさんのもとから、新しい飼い主さんを待ち望んでいる犬猫を迎えてください。そしてもし周りに今度犬猫を迎えようという人がいたら、このことを教えてあげてください。
ヨーロッパにも殺処分はあります。欧州では「ペット動物の保護に関する欧州条約」に基づき、ペット動物の殺処分については、獣医師等が安楽死させることを基本としています。ドイツでは「ティアハイム」の運営指針において、基本的には殺処分してはならないと定め、ただし治る見込みのない病気やけがで苦しむ動物については、動物福祉の観点からむしろ殺処分が必須であるとしています。また、アメリカには殺処分を行う「キルシェルター」、極力殺処分を行わない「ローキルシェルター」、殺処分を行わず終生飼育を行う「ノーキルシェルター」があり、殺処分方法も州によって異なります。2012~2013年の推計では年間270万頭もの犬猫が処分されている、という報告もあります。また、ドイツやオーストリア、スイスなどでは狩猟動物を保護する目的で野良犬・猫の駆除を認めており、狩猟者は合法的に野良犬や猫を殺すことができる、という現実もあります。
諸外国でも日本同様、施設の空きがないという理由で、健康であるにもかかわらず殺処分されている場合もありますし、治る見込みのない病気やけがで苦しむ動物に対し、動物福祉の観点からむしろ殺処分が必要であろうとの判断から安楽死を選ぶこともあります。
学ぶべき取組みとしては、ドイツでは犬の飼育者が順守すべき飼育方法の基準が具体的に規定されており、例えば屋外飼育の場合は、雨風をしのげる小屋と、小屋外に日陰になる断熱された寝床を用意すること。と明記され、違反すれば罰金となります。またドイツ、オランダ、フィンランド等では犬税を課しており、これにより犬を安易に飼うことを防止し、殺処分数の減少の一助となっています。また、アメリカでは営利目的で繁殖させた犬猫の店舗販売を規制する動きがあり、実際にペット売買を規制した州では、シェルターでの殺処分数が3割ほど減ったという報告もあるそうです。
このように、海外の動物事情や法律など、お手本に出来ることはたくさんありますので、日本も参考にしながら動物福祉の向上を目指していくべきだと思います。
実際にお世話をすること以外でも、例えば、動物に関しての話しを聞いたことを、あるいは本を読んで感じたことなどを、おうちの人に話したり、お友達に話したり、誰かに「伝える」「現状を知ってもらう」ということも、動物の幸せのために皆さんができる大切なことの一つです。
家族の一員であった犬や猫は、それぞれのご家族がペットの葬儀屋さんやお寺など通じ、火葬しお墓にいれてあげたり、遺骨をご自宅にて引き取り手元供養したり、あるいは散骨したり…とそれぞれの方法で供養しています。
動物保護センターなどで殺処分された犬や猫は、焼却炉に移され燃やされます。遺骨は事業系廃棄物(ゴミ)として処理されます。残念なことです。
センターによっては上記のような処理をしていないところもあります。例えば、火葬したあと、全ての遺骨を敷地内にある慰霊碑に埋葬している、というセンターもあります。
また、事業系廃棄物として処理されるという事実に大変ショックを受けた青森県の女子高校生たちが保護センターから遺骨を譲り受け、砕いて土に混ぜ花を育てる「いのちの花プロジェクト」という取り組みをしている学生さんたちもいます。
人が生まれた時、人はかけがえのないただ一つの存在として、願いをこめて名前をつけられます。
では、犬や猫が名前をつけられる時は、どういう時なんでしょう?
人が、犬や猫を飼うことになった時は、きっとこれから一緒に暮らす生活を思い描いて目の前にいる犬や猫に名前をつけるでしょう。名前をつけられた時から、そこにいるのはただの犬や猫でなく、個性があって、感情がある、その人にとって大切な家族になるのです。
動物保護センターでもその犬猫が幸せになるよう願いをこめて名前をつけているところも多いです。
飼い主さんが優しく名前を呼んでくれたとき、犬や猫も名前と一緒に飼い主さんの愛情を受け取っているのです。だから、犬や猫も自分の名前をちゃんとわかっています。
私達もそうやって名前をつけられた犬や猫たちが、最後までずっと名前を呼んでもらって飼い主さんと一緒にいられることを願っています。
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