日本の動物福祉の向上を 公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

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日本の動物福祉の現状

現在、日本全国で飼育されている犬猫の数は約2,000万頭。
15歳未満の子供の数が約1,600万人ですから、依然として子供の数より犬猫の飼育頭数の方が多い日本。

家族の一員として穏やかに日々を過ごし生涯を終える動物たちがいる反面、唯一頼るべき飼い主にも見放され行き場をなくした動物や、飼い主にすらめぐり会えず流通過程で命を落とす動物も多数存在します。

殺処分ゼロを目指すのなら・・・

環境省の統計によると、平成27年度136,724頭もの犬猫が自治体の施設(動物保護センターなど)に引き取られ、そのうち約4割は、返還・譲渡となったものの、残りの6割である82,902頭は殺処分となりました。単純計算、一日に約230頭もの犬や猫たちが、望まぬ死を選ばされているという事になります。

それでも、10年前(平成17年度)の殺処分数 約365,000頭に比べると、劇的に減少しており、毎年右肩下がりを維持しています。

その減少に拍車をかけたのが、平成25年9月に施行された改正動物愛護法です。
飼い主の責務、動物取扱業者の責務として、動物がその命を終えるまで適正に飼養すること(=終生飼養)が明文化され、それに伴い、動物保護センターに持ち込まれる犬や猫が終生飼養の原則に反する場合自治体は「引き取りを拒否できる」 ようになりました。

また、環境省は平成25年11月に「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」を立ち上げ、殺処分をできる限り減らし、最終的にはゼロにすることを目指すと謳い、それにより、各自治体も「殺処分ゼロ」を施策の目標と掲げ取り組みはじめたのです。

茨城センター

しかし、行政の殺処分が「ゼロ」になること=動物たちの福祉が守られた、と結論付けられるのでしょうか。

殺処分を減らしていこうといった各自治体での取り組みにより、従来であれば「収容期限がきたから」あるいは「収容オーバーだから」といったセンター側の都合で、健康であるにもかかわらず殺処分が行われていた状況が、徐々に改善され、譲渡可能な動物は1頭でも多く命を繋いでいこう。という流れになったことは確かです。

しかしだからと言って、「ゼロ」を無理矢理推し進めることは非常に問題があります。なぜなら、動物愛護団体の引き出しが頼みの綱である現状は否めず、その愛護団体も、けがや病気の治療から里親探しまでかなりの時間と費用を負担することとなり大きな重荷となっています。また、数字の上ではゼロになったけれど、現実は動物がセンターから団体に移動しただけ、と捉えることもでき、抜本的な解決がなされていないのも現実です。

また、病気の治療やけがの処置もままならず、お散歩などにも手が回らないまま、長い間センターに収容され続ける子も当然増え、その子たちへの福祉はどう守られるのでしょうか。

行政が引き取らなければゼロ、団体に引き渡したらゼロ、センターに収容したままならゼロ。「ゼロ」という数字だけを追うのではなく、本当の意味での「動物福祉」を考えたセンターのあり方がますます求められています。

動物のいのちを考えるシンポジウム「殺処分ゼロバブル?」
シャンプーボランティアを通して見えること

大量生産・大量流通・大量消費が招くもの

引取り屋にて

動物を新しく家族にむかえようと思ったとき、あなたならどこからお迎えしますか?
「ペットショップから迎える」と答える人がほとんどではないでしょうか。

耳が折れていてかわいい、足が短くてかわいい、と特定種の動物をこぞってCMやテレビ番組で起用するため一時的なブームが起き、その需要に追い付くため、繁殖業者は短期間の無理な繁殖を犬や猫に強います。

イギリスでは「雌犬は1歳に達しない場合は繁殖させてはいけない。」 「6回を超えて出産させてはならない。」「最後に子犬を出産した日から1年以内に出産させてはいけない。」との規定がありますが、日本ではこういった法の整備もなされぬまま、繁殖業は登録さえすれば誰でもなれてしまうシステム。正しい繁殖の知識や動物への配慮に欠けた悪徳ブリーダーたちは、遺伝病のリスクが高いと知りながら、あるいは近親交配などリスクの高い繁殖を行い需要に応えます。その結果、虚弱であったり、場合によっては辛い遺伝病を抱えることとなり、動物も飼い主も長きに渡り苦しむことになります。

ペットショップに並ぶぬいぐるみのようにかわいい幼齢の子犬や子猫。誰にも貰われず売れ残ってしまった場合どうなるか、あなたは考えたことがありますか?

以前は、売れ残った犬や猫は保健所やセンターに持ち込まれることが主流でしたが、平成25年9月に施行された改正動物愛護法により、販売業者からの引き取りを自治体が拒否できるようになった為、山や河川敷への大量の遺棄が増えたり、偽ってセンターに持ち込んだり、また有料で引き取る「引取り屋」と呼ばれる新たなビジネスを生み出したりと、法の網目をかいくぐり動物の処分が行われるようになってしまったのです。

「売れるから増やす。売れ残ったら処分する。」動物は商品ではありません。大量生産・大量流通・大量消費が生み出す弊害は、いつもこうして動物たちに重くのしかかってくるのです。

飼い主の責任

多頭飼育崩壊

時として、動物好きが悲劇を生み出すこともあります。かわいそうだからと次から次へと保護し、不妊・去勢手術をしないまま、気付いたら手におえない数に増えてしまっていた。このような状況が、全国各地で多発しています。多頭飼育の環境下では、幼くまた弱い個体は、強い子に食い負けをし衰弱します。中には、一つ屋根の下で共食いになるという悲劇的な状況になることもあります。

また、噛んだり吠えたりするから、引っ越しをするから、などの理由で簡単に捨ててしまったり、置き去りにしたりする飼い主も残念ながら後を絶ちません。

命を迎えることは、その命に責任を持つことです。一度動物を迎えたら、その命が尽きるまで終生飼養しなくてはなりません。動物も人間同様、年を重ねれば病気にもなりますし介護も必要です。地震や水害など有事の際は家族同様動物を守れますか?

迎える命に責任が持てない飼い主は、動物と暮らす資格はありません。迎えない、という選択も優しさの一つです。

動物の遺棄・虐待は犯罪です

動物の遺棄虐待は犯罪です

動物虐待とは、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする行為や、十分な餌や水を与えない、ケガや病気の治療をせずに放置するなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含み定義します。

愛護動物への殺傷は2年以下の懲役または200万円以下の罰金。
遺棄・虐待に関しては、100万円以下の罰金が科されます。

最近では、栃木県矢板市の引取り屋ネグレクト事件や、埼玉県の税理士の男がバーナーで猫をあぶり殺した動物虐待事件、千葉県の派遣社員の男による子猫虐待死事件など、残忍な動物虐待事件が相次ぎ、世間を騒がせています。

米カリフォルニア州では、2015年に起きた連続動物虐待死事件で、容疑者の男に懲役16年の実刑が下されました。日本にある動物愛護管理法の第一条には「動物の虐待及び遺棄の防止」と明記されていますが、懲役刑が下されるケースは稀です。

これ以上動物を虐待しても罪に問われないという前例を作らない。そして、動物虐待・殺傷事件を起こす人間は、必ず他者にも暴力的事件を起こすのが周知の事実です。動物虐待を軽んじる社会に人間の安全も幸せもありません。

日本も諸外国のように、動物への虐待行為に対しては厳しい姿勢で臨む。
虐待された動物の一時保護を可能にしたり、不適切な飼い主には飼育禁止命令、業者に対しては業務停止命令を速やかに出せるよう行政或いは警察への権限強化、あるいはアニマルポリスの設立が必要です。

虐待は絶対に見逃さない。動物虐待を見かけたら地元の警察、保健所などに必ず通報しましょう。

動物の生態を理解し正しい飼育環境を

ふれあい

種の生理生態を無視した環境の「動物園」。

ぐるぐると目まぐるしく地面を周り続けるキツネ科の動物。短い鎖で繋留されている猛禽類。休憩する時間もなく、煌々と明るい店内に1日中置かれる夜行性の動物たち。日照もなく通気もなく、十分な運動も出来ないくらい狭い飼育スペースの中で、常に人の視線にさらされている特定動物たち。そんな動物を見てあなたは何を感じますか?

飼育スペースに関する規定がないからと、適切な指導も行われず、日々ストレスに苛まれている動物たち。

また、イベントや店舗などへの集客目的でより 娯楽的要素の強い「移動動物園」などが「ふれあい」の名の下に企画されています。

プラスチックのケースに入れられた大量のうさぎやモルモットが、無造作に1匹ずつ子どもたちに手渡され、片手でつかんだり、 ただ触わっているというだけの「ふれあい」。長時間、日よけのない暑い屋外に展示され餌やりをされ続けるヤギや豚。乗馬体験で休みなく子供を乗せ続けるポニーなど。

「ふれあい」は動物に触れることが目的ではなく「その動物の生態を知り、正しいふれあい方を学ぶ」場所です。

このような動物との「ふれあい」は、子どもたちに命の大切さを教えるどころか逆に動物を粗末にしてもよいということを教えていることになります。

そんな状況をみて少しでも「おかしいな」と感じたら、是非それを声にして下さい。 声にすることが改善の第一歩です。