3月14日に地検から下された罰金20万円の判決を不服とし、被告人側が控訴したため、7月2日に控訴審、そして先日8月27日に控訴審判決が東京高裁で開かれました。
◆控訴を棄却する
【要旨】
猫の頭数が登録時の30匹を超え44匹であったにもかかわらず、所定期間中に変更届けをしなかった。また、令和3年9月頃から10月29日の間、病気の猫9匹に適切な医療を受けさせず虐待した。
これに対し被告人側からは「令和4年11月の確定判決(猫1頭に対する虐待罪)と同時期に起きた同一のものであり、観念的競合と言え、免訴判決とすべき。また、20万円という罰金刑は重すぎる、金儲けの為に医療に掛けなかったわけではない。」との主張がありましたが、裁判長からは「別個の意思に基づく別個の行為であり併合罪。免訴は認められない。また、別件は1頭の猫に対して30万円の罰金だったのに対し、9頭の猫に対する虐待と届出の懈怠を含めての20万円であるため十分考慮している。また、難治性中耳炎、結膜炎、耳ダニ、下痢などの症状からも、出来る限りの対応をしていたとは到底言えない。」と被告人側の主張を退けました。
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令和3年(2021年)10月の通報から、足掛け4年、やっと今年8月の控訴審判決をもって終了となりました。
昨年の再捜査から先日の控訴審判決までの経緯でございますが、令和4年(2022年)9月に提出した私共の告発状が不起訴となり、且つ1回目の処分結果(猫1頭に対する虐待罪:罰金30万円)に納得がいかず、検察審査会に異議を申し立てをしたところ、「起訴相当、不起訴不当」の議決となったため、再捜査となり、その結果、届出義務違反と、9頭の猫に対する虐待罪で起訴、裁判となりました。
しかしながら、1回目の処分も今回も、動物虐待への判決が本当に軽すぎると言わざるを得ません。
今回立件された9頭の猫は、病気に罹っていても治療しないまま一つの部屋に閉じ込められていました。保護した猫の中には、獣医師の手厚い治療も空しく命を落とした猫もいます。病気の猫を閉じ込めたら、そこで病状が悪化し衰弱、その先は死しかないということは火を見るより明らかです。
今回届出違反(罰則:30万円以下の罰金)と猫9頭への虐待罪(罰則:懲役1年又は100万円の罰金)にも関わらず、罰金20万円という結果には納得いきません。このような軽微な処分結果では類似事案の抑止にもならないでしょう。
2019年に動愛法が改正され厳罰化が実現されたものの、司法の場で罪に見合った処分が出されたのは皆無です。特にこの不適正飼養(ネグレクト)による動物の長期に渡る痛み苦しみに対し慮るどころか、軽視する処分が出続けることに憤りを隠せません。
このことからも、虐待罪の罰則強化は急務だと考えるのと、このような繁殖業者が淘汰されていくよう、飼養管理基準省令に基づいた行政指導の強化を望みます。
さいたま地検は、2024年4月のさいたま第二検察審査会の議決を受け再捜査した結果、猫の頭数の変更を届出していなかった届出義務違反(動愛法47条1号)と、病気の猫9匹に適切な医療を受けさせず虐待した罪(動愛法44条2項)で、同年10月元猫の繁殖販売業者の女性をさいたま地裁に起訴しました。
【公訴事実】
公判は2025年1月から3度に渡り開かれ、3月14日、罰金20万円の判決が言い渡されました。
裁判官からは「飼育頭数が増えたにもかかわらず変更届けをせず、健康状態が著しく悪い猫9匹に対し、獣医師の診療も受けさせず、医療ネグレクトを行い、劣悪な環境に置いたことは、動物取扱業者としての責任に欠ける。既に罰金刑を受けていることを考慮し、このような判決に至った。」と述べられました。
⇒原告、控訴。
令和4年と令和5年に、さいたま地検が不起訴処分とした本件について、当協会は処分を不服とし、検察審査会に審査申立てをしておりました。その結果、令和6年4月23日検察審査会から、以下の議決となった旨の報告がございました。
・令和4年に不起訴処分の届け出義務違反 ⇒ 不起訴不当
・令和4年に不起訴処分の虐待(対象6頭) ⇒ 起訴相当
・令和5年に不起訴処分の猫Aの傷害 ⇒ 不起訴相当
・令和5年に不起訴処分の猫Bの傷害 ⇒ 不起訴不当
・令和5年に不起訴処分の上記猫以外の18匹の傷害 ⇒ 起訴相当
今後検察は、再び捜査を行った上で起訴するかどうか判断することになります。適切な処罰を心より期待します。
(令和6年5月7日)
検察から11月4日付で処分が出されました。
【処分内容】略式起訴、30万円の罰金命令
諸々確認のため、ご報告が遅くなりましたが、当協会が刑事告発していた、劣悪環境で猫の繁殖を続けていた埼玉県さいたま市の猫繁殖事業者の女に、11月4日動愛法違反の虐待罪で略式起訴、30万円の罰金命令処分が出されました。
当協会が告発した44条1項の殺傷罪に関しては現在捜査中で、今後、処分の見込みとのことです。
長年に渡り多くの猫を劣悪な環境で飼養し、病気になっても適正な医療を受けさせず、また病状の悪い猫も次から次へと繁殖に使い仔猫を産ませ利益を生み出していた事業者に対し、罰金程度とは到底納得いきません。
なお、当協会は、今後殺傷罪について不起訴となった場合、その処分を不服とし、検察審査会に異議申し立てを検討いたします。
このような虐待罪の軽微な罰金処分では、被害猫やこれまでの購入者、そして多額の費用をかけ保護飼養してきた動物愛護団体に対し、反省することも改めもせずその事業を繰り返す恐れさえあります。
虐待罪で罰金以上の処分になったため業の取消しが可能なことから、当協会は、この事業者が今後再び同様の繁殖業を繰り返すことのないよう関係各所に要望書を提出いたしました。
(2022年11月29日)
当協会が刑事告発していた、劣悪な環境で猫の繁殖を続けていたブリーダーが、動物愛護法違反容疑で9月28日逮捕されました。
(令和4年9月29日)

昨年2021年10月、当協会に動物保護団体から、猫の繁殖事業者(ネットに仔猫情報を掲載し閲覧した希望者に販売)の劣悪飼養について通報がありました。その事業者の屋号に心当たりがあったので調べてみると、2,3年前にも別の動物愛護団体から同様の情報が寄せられており、これまで当協会以外にも内部通報が多数あった業者でした。当時、警察も行政も既に関与していたとのことで、行政指導及び何らかの処分が出るだろうと予測していましたが、結果、事業の取消し等には及ばず指導止まりで引き続き事業が行われていたことを確認しました。
当協会に連絡してきた猫の保護団体は、人員に対し猫の頭数が多いため、頭数を減らし適正頭数にする必要性から、行政から具合の悪い猫についてオーナーに所有権を放棄させるから持って帰って欲しいと言われ施設に入りました。当時数百匹の猫がいるその施設の一部には、病気で問題のある猫が多数集められた部屋があり、主にその部屋の猫を持ち帰ったそうです。オーナーは、具合の悪い猫は治療に時間も金もかかるため、そのような猫が減る方が都合が良いのでしょう。
保護した猫は体調が悪く、通院治療や入院せざるを得ない状態でした。病状によっては、高度医療が必要な個体もありました。治療と入院をすることで、多額の費用がかかり、動物保護団体のボランティアはその費用を負担したと聞いています。
一方、繁殖事業者は、仔猫を販売し利益を得るために、これまで病状の悪い猫も繁殖に使い、次から次へと仔猫を産ませるだけで、動物の福祉はおろか、基本的な衛生管理すらしていませんでした。頭数を減らせと行政に言われたら、治療が面倒な病気になった猫から手放すのです。
保護された猫は、適切な獣医療措置を受けさせず放置した結果、疾患が慢性、重症化し、中には保護後治療の甲斐なく死亡した猫もいました。感染症が蔓延した部屋に閉じ込められたら、自力で外に出ることは不可能です。医療措置もされずその状態で捨て置くということは、時間の経過と共に命を落とすことに直結し、単なる不適正飼養という「虐待」にとどまらず、死亡する可能性を認識していながらそうなっても構わないといった「傷害」の実行行為であると思われます。
またその事業者は、本告発事件が発生した後である今年4年1月にさいたま市から猫の飼養状況について勧告を受けましたが、従わなかったとしてその後公表(動愛法23条第3項に基づく)されていたにも関わらず、現時点でも屋号を変え現在も猫の繁殖業を継続しています。
当該事業者は、動物を取り扱うプロとしての責務を全く果たしていないどころか、儲けに使った猫が病気になったり繁殖不能になったら隔離するという行為を続けました。命を命を思わない悪質な行為により、これまで被害を被った猫はこれまでに多数いたと思われ、到底許されることではありません。
また長年この事業者について把握していた行政にも問題があるでしょう。病気猫を動物保護団体に一時的に引き渡すことでその時は適正頭数に近づいたとしても、再び頭数が増え疾病の猫が増えたら同じことを繰り返すだけで根本的解決にはなっていません。その責任を善良な動物愛護団体が背負う必要はなく、そのような事業者に対し適正に勧告命令等を行い、問題解決にあたることが行政の役割です。
当協会の刑事告発は、令和4年9月9日にやっと受理されました。今後は綿密な捜査と厳格な処分を望みます。
(2022年9月14日)